── 1コーナー目は、貞松さんや玉木さんが多い印象ですが、その辺りが起用されている理由なのですね。
紋℃ そうですね。1コーナー目でこっちが意図している演出を、女の子に理解してもらうって感じです。割と、動いて理解してもらう方がいいかなって思っているので。当然、「こういうアクションを入れると、日本人に無いような雰囲気が作れるよ」みたいな演出を、男優と一緒に引き出していくんだよ、みたいな説明はしたりしますが。
── なるほど。動いて感覚を掴んでいってもらうというやり方なのですね。
紋℃ 最後のコーナーで、一番女の子が積極的になってるという、シリーズの良さを出せればいいなって思っているので、後半に向けて上がっていくような演出を意識しています。ラストに、「まさか、こんなオッサンをベロベロ舐めるのか」みたいになれればいいので、卓さんや銀次さんを最後にもっていったりしていますね。
最初からできる子は、いきなり飛ばしていくこともありますが、そうでない子がほとんどなので、育てていくというイメージでやっています。
── このシリーズは、台本が一切無いノーカット撮影ですが、紋℃監督はどの辺りまで、女優さんと男優さんに演出を付けられるのですか?
紋℃ 実際にノーカットで撮っているので、カットをかけられない分、手を抜けないっていうところはありますね。なので「よほど命の危険が無い限り止めないからね」とは伝えています(笑)。
普通の撮影だと止まっちゃうこともあるので、「一心不乱にやるんだよ」ってちゃんと女の子に伝えて、止まることがないようにしていますね。まあ短距離走みいなものですよ。一気に駆け抜けるぞみたいな。
── 始まったら、演者さんで完結しないといけないから本当に大変そうですよね。スタッフさんも大変なのでは?
紋℃ 全員が一丸とならないと撮れない撮影なので、リハーサルからしっかり確認して、直前にも改めて皆んなで「大丈夫だな」と確認します。機材トラブルとかも一切ダメですからね。
この作品の元々のイメージは、「凄く会いたかった二人がよくやく久しぶりに会って、ヤリたい気持ちを我慢しながら、部屋に入ってきた瞬間がスタート」みたいな感じなので、動きがかなりあるんです。それをバレないように、照明だったりを作っていかないといけないので、スタッフはちゃんと準備しないと始められないんですよね。
── たしかに玄関から入って、服をその辺に脱ぎ散らかしたり、持っていたカバンを放り投げたりして、一気に情熱的にキスをするシーンから始まりますよね。撮影前の女優さんにはどれくらい演出のお話をされますか?
紋℃ 一発目の前は、結構長く話して伝えます。最低限外してほしくないところはちゃんと伝えなくちゃいけませんからね。例えば「相手の目を見てキスしてほしい」という話をして、「何故そうするのか?」みたいなところまで説明します。
でも、あまり詰め込み過ぎると動けなくなっちゃうので、最低限三つくらいを伝えます。それで一絡み目が終わったら、「次こうやったらもっと良くなるよ」みたいな感じで、加えていきながら伝えていき撮っていっています。
── その三つというのは、監督経験を重ねるうちに確立していったやり方なのですか?
紋℃ そうですね。最初の頃は相手に伝える能力が低かったので、それを補おうとたくさん説明しちゃっていましたね。そうするとダメだなというのが色々わかってくるので、最終的には「二人を信頼して撮る」ってところに行き着くんですけどね。