女性専用車両など、対策はされているものの、依然としてして減らない痴漢被害。
そんな中、露出サイトへの「なりすまし」書き込みで痴漢に陵辱された女性がいた……
仲良しだった同期入社のA子
「私、友だちだと思っていた職場の同僚OLの恨みをかって、痴漢マニアのえじきにされたんです……」
同じ女性である記者の前で、恥ずかしそうにそう語るのは、都内在住のOL、田崎美和子さん(32歳・仮名)。目線が入っているものの写真をご覧の通り、色っぽい唇が印象的なしっとり系の美人だ。
確かに、同性の記者もうらやましく思う容姿ではある……しかし、控えめな話し方で、決して出しゃばりな性格にも見えない彼女。一体、彼女のどこに、同僚をして痴漢を差し向けさせるまでの恨みを抱かせる理由があったのか……。
「たぶん、私の結婚が決まったからだと思います」
美和子さんが同僚のA子と知り合ったのは、今から約9年前、彼女が23歳のときだったそうだ。大学を卒業し、新社会人としてのスタートを切る、入社初日のことだった。
どちらかというと人見知りな性格だったという美和子さん。そんな彼女に、
「初めまして。私はA子、これからよろしくね」
と、一番最初に声をかけてくれたのがA子だったそうだ。自分とは正反対に、明るい笑顔が印象的だったA子。
「私は社交的な性格ではないので、友だちができるか不安だったんです。でも、A子ちゃんが声をかけてくれたことですごく安心したのは今でも覚えています」
当時を振り返り、そう語る美和子さん。そして、同期入社のOLたちが次々と結婚し、寿退社するのを仲良く見送ったのもふたりだった。
「次は美和子ちゃんかなぁ」
「私はムリ。性格が暗いからモテないもの。絶対にA子ちゃんの方が先よ」
そんな会話をしてお互いを慰めていたそうだ。ところが……。
「昨年の夏、ある男性から告白されて付き合うことになって……3ヶ月でプロポーズされたんです」
美和子さんに遅い春がやってきたのだ。
結婚報告した後豹変したA子
「A子ちゃんには悪い気がして、付き合い始めたことも内緒にしてました。でも、結婚するとなると黙っているわけにもいかず……ある日、彼女を飲みに誘って事情を説明したんです」
美和子さんは、きっとA子が祝福してくれるに違いないと思った。しかし……。
「やっぱねぇ、抜け駆けするんだ。私は大丈夫だよ、前から美和子はそういうヤツだと思ってたから」
A子は美和子さんにこう言い放ち、以来口をきいてくれなくなったのだとか。
「その1ヶ月後からなんです。立て続けに痴漢に遭うようになったのが……」
4日連続で痴漢に遭遇!
「学生時代も何度か痴漢されたことはありましたが、3日続いたときに少しおかしいと思いました」
という彼女。そして、少し日を空けた1週間後。
(やだ、また痴漢……え、ひとりじゃないの? え、どういうこと?)
まずは右後方から伸びてきた手に尻にをまさぐられた。そして、ほぼ同時に左後方から前に回ってきた手が、彼女の左胸をまさぐった。そして、さらに驚いたことに、目の前に立っている男の手が、彼女のスカートに侵入してきた。
(さ、3人に囲まれてる!)
恐ろしくなった彼女は助けを求めることもできず、ただ成すがままにされてしまったのだ……。
こうして、満員電車で身動きが取れない中、3人の男に囲まれて痴漢された彼女。次の駅で電車を降り、力が抜けたようにホームの隅にしゃがみ込んだ。
「すると、そんな私に男性が声をかけてきたんです」
男性は20代前半の若者だった。そしてその男性から、美和子さんは思いもよらない事実を聞かされることになったのだ。
「横で見てました。助けられなくてすみません。でも、これを書き込んだのはお姉さんではないのですか?」
「え……?」
若者が彼女にスマホを向けた。思わず手に取って画面に目を凝らした彼女。
「そ……そんな、私、こんなこと書いてません!」
彼女が見せられたのは、露出系のネット掲示板。そしてそこには、信じられない文句が書き込まれていた。
『美和子です。ショートカットで、白いカーデガンを着ています。この後A駅からS線に乗ります。後ろから4両目の真ん中辺りに乗ります。私は痴漢願望のある変態女です。できれば複数で私のことを辱めてください』
信じられなかった。混乱する頭の中を整理しながら、彼女は考えた。確かに自分は白いカーデガンを着ている。しかし、通勤電車とはいえ、乗る車両を毎日決めているわけではない。目の前の車両が混んでいれば、その隣の車両に乗ることもある。ということは、これを書き込んだ人間は自分のことを尾行して、乗る車両を確認してから掲示板に書き込みをしたということになるのでは?
慌てて書き込み時間を確認すると、8時27分……正に自分が先ほどの電車に乗り込む直前だった。
「恐らく、数回続いた痴漢も、全てA子の書き込みが原因だと思います。でも、彼女の仕業だという証拠がないんです」
彼女が寿退社するまであと半年、警察に相談すべきかどうか迷っているという。
(掲載/「実話大報」2017年6月号)