バブル時代の王道アイドルのような清楚系AV女優に対する、狂おしいまでの愛憎を感じさせる3つの作品。
雑誌版『デラべっぴん』の伝説企画“オナマイド”を生み出した名デザイナー・ほうとう氏が選ぶAV秀逸パッケージ♡
彼女に対する狂おしいまでの愛憎が加速していく…
今週、僕の視線をとらえて離さなかった新作AVのジャケットは、いかにもアイドル性の高いルックスの清潔感溢れる美少女が、真っ白いビキニショーツから、真っ黒い陰毛をボムッ!っとハミ出しながらも、ナチュラルに微笑みつつ、こちらに目線を飛ばしてくる…という、今まで観たこと無い斬新な要素を盛り合わせたジャケ写がインパクト大な、オーロラプロジェクトさんの『テニス部で評判のベリーショート美少女を、放課後にラブホに連れ込んでみたら、ドMでなんでもヤラセテくれるビッチちゃんだった! 向井藍』です。
向井藍さんのルックスに、僕はなんとも言えない大物アイドル感を感じてしまうんですね。というのも、1980年代のバブル全盛時代には、《アゴが尖って目鼻立ちがキリリッとした美少女の髪の毛を、あえてバッサリと切り落とし、ベリーショートにさせて中性的な感じを演出・強調させる》という様式美が、メジャー系アイドルのメインストリームとしてあったのです。
思い浮かぶままに名を挙げるならば、小泉今日子、松田聖子、原田知世、酒井法子、荻野目洋子、浅香唯、モデルですと甲田益也子、椎名桜子、メジャーかつカルト系では戸川純といったあたりでしょうか。
1988年には、金子修介監督が『1999年の夏休み』という映画で、宮島依里、大寶智子、中野みゆき、深津絵里という美少女たちを短髪に刈り込んで美少年を演じさせるという、文学的かつ倒錯的なプレイを映像化し、当時のアイドルマニアからの喝采を集めたものです。
いまでは記憶の彼方に忘れていたそんな映画のことを、フッと思い出させるような、向井藍さんの少年性もある凛々しいルックスには、そういった、かつてのメジャーアイドルが醸し出していたきらめき感に通じる “魔力” があるナァと、現在、50歳を過ぎたオッサンは思うのでした。
で、繰り返しになりますが、そんな清潔感とメジャー感溢れる美少女が、真っ白いビキニショーツから、真っ黒い陰毛をボムッ!っとハミ出させながら、こちらを見つめて微笑んでいるワケです。
これは、堪らないものがあります。
しかし本編の場面写真を見ますと、藍さんの陰毛は処理されているのか、範囲は広いものの、あまり毛の密度が感じられません。
しかし、ジャケ写は十分にモジャっとした陰毛ならではの存在感をアピールしており、この写真を捉えたカメラマンの技量とセンスを感じずにはいられません。
「ショートヘア美少女 + アンダーヘアはタマラナイなあ」と心底感心しながら、さらに新作AVのジャケットを流し見しておりましたら、またもやビビッとくるジャケが! これまた、オーロラプロジェクトさんの『この娘、壊してやる。 向井藍』じゃないですか!
乳首も陰毛も丸出し状態になるイヤらしい黒下着姿に、首輪と鎖で陵辱されているものの、キリリとしたその顔立ちと、スッとした立ち姿が、何をされたとしても穢すことなど出来ないような気高さを放っています。『この娘、壊してやる。』と大きなタイトル文字で凄んでみせても、藍さんの存在感が打ち勝っています。
さらにもう1点、これは陰毛も乳首もいっさい露出していないんですが、三度オーロラプロジェクトさんの『この娘、犯してやる…。 向井藍』が、僕のハートをノックしてきました。
藍さんの、細く、やわらかそうな毛質や、こじんまりと綺麗にまとまった肉薄の耳、その手前の微かなもみあげなどを的確に捉えた写真が、実にスバラシイ。『この娘、犯してやる…。』という白抜き明朝の大文字タイトルとの対比もシンプルで、構成上は今回挙げた3点の中で一番好きなデザインです。
『この娘、犯してやる…。』というタイトルはシリーズ物で、この藍さんの主演作で3作目のようですが、『この娘、壊してやる。』は、藍さん単独のためのタイトルのようです。2作品とも桐島蘭監督作品でして、桐島監督の「向井藍を俺が犯してやる、いや、壊してやる!」と、彼女に対する狂おしいまでの愛憎が加速していく様が僕には感じられ、じつに興味がわきます。
もし、オーロラプロジェクト製作、桐島監督による3作目がつくられるとしたら、どんなタイトルや設定になるのか、これは是非とも観てみたいです。
また、藍さんを中心にベリーショートの女優を4人集め、『1999年の夏休み』のオマージュ作品なども観てみたいなあ。『この娘、犯してやる…。』のジャケットの白い夏服を観て、強く思いました。
ほうとうひろし◎エロメディア活動歴28年のエディトリアル・デザイナー。 雑誌版オリジナルの『デラべっぴん』には、 同誌創刊2年後の1988年ころから参画。 同誌名物となったエロ紙工作企画「オナマイド」 を10年以上にわたって連載した。 「オナマイド」 の連載を再構成した単行本は計4冊出版されたが、すべて絶版。 その企画の成り立ちや、当時の『デラべっぴん』 編集部の事情に関しては、 有野陽一氏の取 材によるインタビュー集『エロの「 デザインの現場」』(アスペクト・刊)に詳しい。