――韓国人は日本のAV女優に対して根本的にどういうイメージを抱いているんですか?
小倉 「やくざ」、「クスリ」、「だまされている」、「人生終わっている」、「親はどうしているの?」とかです。
川上 ヨーロッパもそうでしたし、どの国もそうでしたけど、アメリカはポルノ女優がいっぱいいるでの「明るいポルノ女優でしょ? セックス好きなんでしょ?」って感じなんです。日本のAV女優は人間らしさがすごくあるし、普通の人であるけれどすごいこともできるじゃないですか。だから、海外の対応は困ったなと思いました。
ストリップを観ると分かるんです。白人のストリップと日本人のストリップは全然違うので、日本の場合は見てはいけないものを見ているみたいな感じがあるんです。奥ゆかしさなのか、他のなにかなのか、背中や生きざまを見せている感じなんです。「人間」が踊っているというか。アメリカは「キャラクター」、「ダンサー」に徹しているんです。
浅草ロック座は踊りが踊れない子も踊るし、それは「人間」が出ているからなんです。その感覚って海外では絶対に理解されないよね。
小倉 そうですね。
川上 日本映画もそういう人間味が面白いんだし。
――コロナ禍でいま韓国でなかなか活動ができないこともあるので、小倉さんの将来的なことを聞きましょうか。
川上 やっていきたいことの話をしようかな。海外で暮らしたいんだ?
小倉 もし生きていたら(笑)。
――韓国で暮らしたいんですか?
小倉 いえ、税金が低い国がいいです。
川上 英語圏がいいの?
小倉 英語圏ですかね?
川上 そうなんだ! アジアじゃないんだね?
小倉 そうですね。自分一人だったらマレーシアあたりがいいと思っているんです。いまは結婚願望がないけど、将来、一緒になる人がどこの国の人かも分からないし。
川上 そういうことか。結婚は海外の人もOKなんだ。
小倉 そうです。でも、いつかは日本じゃないところがいいと思っているんです。
川上 どうしてか聞きたい。でも、長くなりそうだな。
小倉 あはは(笑)。
――日本人がイヤなんですか?
小倉 そうではないですよ(笑)。生きづらさを感じるんです。
川上 生きづらさを感じるよね。
――お二人はもっと大きなところで活躍した方が似合っています。
川上 私も将来的にそうだから。やっぱり生きづらいです。
――どういうところが生きづらいですか?
川上 まともに見られないです。
小倉 どこに行っても、なにをするにしてもそうですね。
川上 職業を言ってしまうと、全く違う対応になっちゃうんです。
小倉 うん・・・。それこそ気軽に引っ越しもできないし、フラっと美容院にも行けないんです。
川上 会話をしないといけないからね。
小倉 そうなんです。だから、私を「小倉由菜」と知っている人のところにしか行かないんです。
川上 ああ!
小倉 ちょっと足が疲れたからマッサージに行きたいなって思っても、会話をしないといけないからやめておこうかなと思って、自分でマッサージをするんです。出前もいまは玄関先に置いてもらえるんですけど、前は直接、受けとらないといけないじゃないですか。それで何回か「小倉由菜」であることがバレちゃったんです。
AV女優じゃなくても芸能の方もそういう気苦労はあると思いますけど、そういうところは生きづらいです。ひっそり、こっそり、なにも不自由なく生きていくのには日本だと、多分、難しいかなと思うんです。
対談後編は明日公開!!