ちゃんと心を開いてくれる方だとすごく感じるんですよ。
仕事仕事ってされるとダメなんです。自分をさらけ出してくれる人の方がいい。
安田 そもそも映画にハマったきっかけって何だったんですか?
並木 以前につきあってた人と別れた時に、途方にくれちゃって、暇だからひかりテレビを契約して、映画ばっかり見てたんです。時間潰せるし、見てる間は彼のことを忘れられるし。バイトから帰って、映画をずっと見るって日々でした。
大木 現実逃避だったんですね。
並木 それでたまたまレンタルビデオで園子温監督の『紀子の食卓』を見て、すごく好きになったんです。
園子温監督の作品って、いつも女性が強くて美しいんですよ。それに勇気づけられました。
フランス映画も好きなんですけど、あれもやっぱり女性が強いのがいいですね。
安田 あと、城定秀夫監督への愛がすごいよね(笑)。
でも、なかなか普通の女の人は、城定秀夫に出会わないと思うんだけど。
並木 AVデビューが決まった時に、ちょっと見ておいた方がいいかなって、レンタルショップでAVコーナーに入ったんですけど、後をつけてくる男の人がいて、諦めたんです。
それで、じゃあVシネマならいいかなって棚を見たら、そのお店が城定監督推しで(笑)。
大木 そういう偶然だったんですか。
並木 城定監督は、挿入したら終わりって持論があって、そこまでの人間関係とか前戯とかをきっちり描くんですよ。
それは私の感覚と一緒だったんですよね。キスとかすごくエロいんです。
AVのカラミよりも城定監督のVシネの方がエロいんじゃないかと思う時がありますね。
安田 その城定監督作品『恋の豚』(上映タイトル『世界でいちばん美しいメス豚ちゃん』)にも出演したわけだけど、主演じゃないじゃない。
大木 主演がむちむちなマニアック系の企画女優の百合華さんでしょ。
本来ならバリバリ単体の並木さんと立場が逆なのではと思いましたよ。
並木 私は基本的にバイプレーヤーかなって思ってましたから。
前に出ないことで、個性を出せるキャラだと思ってます。
だから何でもやりたいですよ。お母さん役でも、その辺で寝ているホームレス役でも。
安田 でも『恋の豚』での並木さんはすごくよかったですよ。やっぱりピンク映画は面白いですか?
並木 AVって撮影して販売したらそこで終わりって感じがあるんですけど、ピンク映画は公開されてからが始まりなんです。どんどん広がっていく。気に入ってくれたら何回も足を運んでくれる人もいるんですよ。
作品自体に愛を持ってくれる人が多いんですよね。
AVの面接の時に、目標はピンク映画に出たいって言ったくらいですもん。
辞めた方がいいよって、みんなに言われましたけど(笑)。
安田 ピンクは大変だもんねぇ。
並木 三日間徹夜とか平気でありますもんね(笑)。
でもAVのお仕事も大好きですよ。仕事なのに、こんなに美味しい思いしてもいいのかなって思う時があります。
大木 それは撮影でも本当に気持ちいいってことですか。
並木 正直、相手にもよりますよね。ちゃんと心を開いてくれる方だと、すごく感じるんですよ。
仕事仕事ってされるとダメなんです。自分をさらけ出してくれる人の方がいい。
安田 なるほど。……もう一杯くらいいきますか?
並木 まだまだ行きますよ!
大木 つ、強そうだ…。
まだまだ飲み足りない並木塔子さんの居酒屋インタビュー
後編は明日公開
(掲載:「月刊FANZA」2019年1月号)