アリスJAPANから外に出たらアットホームじゃないって思っていた
── 小向さん自身がその最後の景気を生みだしましたから。
川上 こむさんが流れを作って元芸能人の子がデビューしはじめたんです。そこからアリスJAPANもバブルになって、『真★美少女』シリーズの葵つかさちゃん、小島みなみちゃん、そこから私もポッと出たんです。「アリスた〜ず★」っていうアイドルユニット知ってます?
小向 知ってるよ。
川上 アリスた〜ず★を葵つかさちゃんと、こじ(小島みなみ)と、辰巳ゆいさんと、優希まことさんで結成したんです。あの頃は毎週、アリスJAPANの人たちと飲んでいました。
小向 名物営業マンもいたよね。仕事ができる風の(笑)。
川上 でも、おっちょこちょいなんです。
小向 酒を飲むとクソ(笑)。
川上 その名物営業マンがバブル感を引き立てていた感じがするな。
小向 楽しかったよね。
川上 アリスJAPANの社員は真面目でおとなしくて酒の場でもどんちゃん騒ぎしない人たちだったから、唯一、その名物営業マンだけ、酒の場で騒いでガンガン飲む人だったんです。酒の場があったらとりあえず名物営業マンを入れておけばいいっていう感じで。「俺の話を聞け! 聞け!」ってずっとしゃべってるの。
小向 「聞け! 聞け!」ってね。それで、人が食べているものを手づかみで食べだしたりするんだよね。
川上 口からいろんなものが出てくるから、目の前にあるものは全部食べられなくなるんです(笑)。
── 昔のビデ倫営業マンっぽい感じのバイタリティある人なんですね。
小向 そう、そう。
川上 それで、こじは当時、名物営業マンのことをめっちゃ怖がっていて、「お酒飲んじゃダメ、絶対にダメ」って言うんです。
── アリスJAPAN時代、地方のDVDショップにお二人で行かれたことはありますか?
小向 ない、ない、ない。
川上 イベントはすれ違いかな。
── その後、お二人はアリスJAPANから別メーカーに行くんですが、メーカーの性格の違いはありましたか?
川上 その頃は自分でいっぱいいっぱいだったからなあ。でも、アリスJAPANから外に出たらアットホームじゃないって思っていた。こじと二人で洗脳しあっちゃってたの。
── 洗脳とはどういうことですか?
川上 二人で「アリスJAPANは本当にアットホーム。外に出たら本当にシビアだから」って。
小向 そんなことしゃべるんだ!? 女優同士って。
川上 そう。ずっといい子ちゃんじゃないといけないとか、自分を売り込まないとアリスJAPAN以外のメーカーは契約が長く続かないみたいな話をこじとしていたんです。
小向 すごいな(笑)。
川上 こじと私はハワイに一緒に行ったんです。
小向 なんで?
川上 旅行でハワイに行こうねってなったんです。二人とも英語がしゃべれないのに海外旅行に行ってみたくて、プライベートで。
小向 ハワイは英語しゃべれなくても大丈夫だろ。
川上 男性も誰もつれていかず二人で行って、その時にめっちゃこじと話しました。こじが先に「S1」に移籍することになって、「本当に怖いんだけど。どうしよう、私、営業頑張らないといけない」みたいな話をしていたんです。こじはプロデューサー脳なところもあるんです。
── 実際にアリスJAPAN以外のメーカーはそういう感じでしたか?
川上 いや、違いました。あはは(笑)。
小向 二人とも仕事がくるだろ。でも、そこまで考えているんだ。
川上 だから、めっちゃ気を張っていたんです。『S1』にこじが行った時はめっちゃ気を張っていて、「スキを見せちゃいけない。女優さんの集合写真の時には気を抜いちゃいけない。それが疲れる」って言ってました。
小向 あはははは(大爆笑)。でも、そうか大勢の女優さんが出る作品があるんだね。
川上 そうなんです。
小向 恵比寿マスカッツもあったからね。
川上 そうなんです。こじもマスカッツにいたから。競争みたいな感覚だったんですよ、私たちの中では。同期の女優はみんな自分を売り込んでいると思ったんです。
── 2010年頃はデビューする子も多いし、いまでも活躍している強力な女優さんが多かったですからね。
小向 競争じゃないけど、前へ前へ出ていかないといけないプレッシャーはあったんだ?
川上 ありました。
小向 へえ。
川上 アリスた〜ず★はそういうユニットじゃなかったんです。私だけ爪痕を残さないといけないと思って、「はい! はい!」って前へ出て痛い子になってました(笑)。
小向 うふふ(笑)。
川上 マスカッツは33人横並びでいて、グラビアの子もいるし、誰が前に出るのかわからなくてあの頃はライバル心がすごかった。
対談中編は明日公開!!