放送コードギリギリです(笑)。それこそ『全裸監督』のような世界でした
小向 なんにも覚えていない。みぃなながかわいくて、「お前は田舎っぺだな。田舎娘」って言ってポコポコしていたのは覚えている。
川上 完全に田舎っぺだった。
小向 服装が田舎っぺだったからなあ。あはは(大爆笑)。
川上 ヤバかったですよね。
小向 いや、そこがめっちゃかわいいんだよ。
── 当時の川上さんつるんつるんなイメージでした。
小向 そう、めっちゃかわいかった。
川上 つるんつるんって(笑)。でも、くそダサかったです。そこでマネージャーが「怖がっているから、やめなさい」みたいなことを言っていたのも覚えている。
小向 ああ、「一緒に帰るか」って言ってたからね。
川上 当時の事務所はいろいろありすぎましたよ(笑)。
小向 本当だよね。
── 「小向美奈子の妹分」という売りはアリスJAPANが作ったんですか、それとも事務所が作ったんですか?
川上 いまの前の事務所だと思う。
小向 うん、事務所が作った。
川上 対照的な妹分がデビューするってことでしたよね。あと、「みぃなな」のニックネームもマネージャーが付けて、「みぃななの『ぃ』は小さい『ぃ』で、『ー』じゃないから」ってこだわっていたんです。あの頃はなにも分からなかったし、独特な事務所でした。こむさんはどういう思いでした?
小向 「この子大丈夫かな?」って思ってた。
川上 そうですよね。いちばん最初に話したときに、こむさんが「大丈夫?」って聞いてきたのを覚えているんです。
小向 「大丈夫? なにかあったら言いな」って言ったの。本当に分からない業界にきたからね。
川上 「なにが大丈夫かな」って思ったんです。
小向 事務所がだますようなことはしないけど、特殊な事務所だったから大丈夫かなって思ったの。
川上 その言葉を言われて心配してくれているんだなって思いました。
小向 なにも分からない状態から、「ああしろ、こうしろ」言われていたから、そうなると「はい」か「いいえ」しかないじゃん。それが分かっている子たちをAV女優として扱っているけど、なにも知らない子は普通引くだろうと思ったの。
川上 いろんなことに引いていました。
小向 限界がきて電話もかけてきたよね。
川上 そう、そう、そう!
小向 「どうしよう!」って。もっと早く電話してよって思ったよ。
川上 「どうしたらいいですか?」って相談したら、こむさんがマネージャーをやるかって話にもなったんです。
── 後見人みたいな感じですか。当時の川上さんの印象はどうでしたか?
小向 頑張っているなって思っていましたよ。だから、いま状況はこうですって聞いた時には事務所に対して「ふざけるなよ」って感じでした。
川上 当時、私は枕営業させられると思っていたんです。
小向 させないし、AVの世界で枕営業はないから(笑)。
── そもそも裸のお仕事ですから。
川上 当時、マネージャーから「白金のスパを予約したから、あの人と一緒に行って来て」って言われたんです。私の中でスパにはいろんなイメージがあったんです。
小向 ただのリラクゼーションマッサージじゃないと思ったんだ?
川上 そう(笑)。それを聞いた時に「こいつら終わってるな。ヤラれる」って思って逃げ出したんです(笑)。帰宅してショックすぎたから、こむさんに電話して、「私、こんなことされました」って相談したんです。
小向 それでマネージャーに「お前たち、なにしているんだよ。訳の分からないことさせるなよ」って、すぐに電話したの。
川上 結局、なにもされてはいないんですけどね。
── すごく怖い世界だと思っていましたか?
川上 マネージャーも見た目がギラギラしているし、テカテカして日焼けサロンに行っている人もたくさんいたし、「危ないところに来たんだ。東京はそういう場所なんだ」って思って、私はこれをくぐっていかないといけないんだって我慢していました。
── 昔はヤバい感じの事務所もありましたからね。
小向 当時の事務所はヤバいわけではなかったですよ。
川上 昔のAV業界の話をしましょうよ(笑)。面白いじゃないですか。
小向 私の誕生日パーティーは火が着くくらいだよね。
川上 あああ!
── どういうことですか(笑)?
小向 ソファーが何脚か燃えるみたいな(笑)。あはは(笑)。スピリタスに火を着けるとか。
川上 もう放送コードギリギリです(笑)。それこそ『全裸監督』のような世界に思われるかもしれない。私は『全裸監督』を観ていて、そこまで不思議じゃなかったんです。
小向 あの時代はまだギリギリ、AV業界の景気がよかったからできたんだろうね。あれが最後だったと思う。