関西最大の遊郭として古くから親しまれている飛田新地。現在でも日本の観光名所として知られた場所だ。しかし、その一方、ある関係者は「マイナンバーの施行や高級デリヘルの台頭で飛田は今、窮地に立たされている」と語る。その言葉の真意とは?
音もなく消えてゆく関西最大の遊郭の今を探る!!
■古き良き風俗も 今や時代の産物
日本最後の遊郭と言われる飛田新地。いくつにも分かれる通りには延べ約100軒もの置屋が並び、道行く男性客を中へと誘う。
「飛田のプレイ料金は15分1万1000円から。この1000円は税金として店が納めているもので、こういう取り決めをしっかりと守っているからこそ本格的な摘発にならないと言われています」(在阪の風俗ライター)
飛田は短時間で高額に稼げることから全国から指折りの嬢が集まる盛り場として知られている。だが、ここ最近はその状況も変わりつつあるという。飛田関係者は「飛田は時代の産物となりつつある」と警笛を鳴らす。
■引き抜きに引退…姿を消す飛田嬢
飛田の危機を語る関係者は続けてこう話す。
「大阪は法令上、本番が可能な風俗は飛田だけとなっている。でも、その裏では多くの過激店が本番プレイを行なっている。男性客もわざわざ飛田へ来る理由がなくなっているのが現状。ただ、これは随分前から飛田内で言われている話です」
本番店の増加から客足も減少傾向にあった飛田だっだが、昨年10月に大打撃を受ける出来事が起こる。マイナンバー制の施行だ。在阪の風俗ライターはこう説明する。
「施行前から知り合いの風俗嬢たちから『マイナンバーが施行されれば身バレするのでは』と頻繁に相談があり、現場ではパニック状態となっていました。店側は『身バレはない』と説明していたようですが、女のコたちは『信用ならない』と聞く耳を持たなかった。基本的にはマイナンバーで身バレはしないと言われていますが、なにぶんマイナンバーは誰もが初めてのことですから『絶対にバレない』とは言い切れません。中でも飛田は働く前には嬢の情報をきっちり登録するため、記録が残りやすい側面がある。その憶測から『就職に影響が出るかもしれない』と飛田嬢が施行前にお店を辞めるケースが相次いだんです」
店の要である嬢の不在で、置屋は女のコの回転ができず窮地に立たされることとなる。さらにマイナンバー制に付随して追い打ちをかけるように台頭してきたのが高級デリヘルだ。
「デリヘルは女性の個人情報を登録しない店が多く、マイナンバーで身バレを怖がる嬢たちにとってはうってつけの場所。実際、デリでは施行後に風俗嬢の数が増えています。加えて近年は関西でも高級デリヘルの需要が高くなっており、お店でも嬢の人気具合によって星をつけ、特別指名料を取るシステムが採用されている。この星のシステムを使えば、飛田よりも高い値段で稼げることが可能になりました。その理由から事実上、飛田から引き抜かれ、高級デリヘルへ流れる嬢が急増しています。現在は中国人観光客の増加でなんとか客足をまかなっていますが、首の皮が一枚繋がっているだけ。中国経済が傾けば飛田の現状も全く分からない」(前出・在阪の風俗ライター)
この危機的状況に対し、関係者は肩を落としながらこう漏らす。 「このままいけば飛田はきっと壊滅する。これも時代の流れなんでしょうか」
最後の遊郭と呼ばれる飛田新地が姿を消す日もそう遠くはないかもしれない。
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