── でも二日間というスケジュールで、SNSで女性を見つけて出演交渉をして、さらにOKをもらって撮影をするというのはかなり難しいことだったと思うのですが、みなさん勝算はあったのですか?
松尾 何とかなるだろうと思ってましたね。これはいつもの悪い癖でもあるのですが、マイナスを考えたら絶対にできないので、いつもそこは考えていないんです。なんとかなるでしょ!っていつも思っていて、それが何とかなってたんです(笑)!
梁井 日本はこういったSNSで出会いを求めている女性が多いので、1~2人は見つかるだろうなって思ってましたね。
松尾 むしろパパ活みたいなことがアプリでガンガンにおこなわれている時代なので……、コロナだろうが何だろうが必ずいますからね。二日目に何人かが新宿に来てくれたんですが、街に人が全くいない分、そういった出会いを求めている人たちが逆に目立ってたくさんいるように見えたんです。別に人数が増えた訳じゃないんでしょうけど、いつもこれぐらいの人がいるんだなって驚きましたね。
── 普段は人に埋もれていてあまり目立ってないですが、それがわかりやすくなっていたのですね。
松尾 何メートルか置きにポツポツと携帯をいじっているそっち系の子が、大久保病院の側とかゴジラの裏の公園とかの端っこにいるんです。格好もだいたい、ユルフワ系かゴシック系の2種類が多いのでわかりやすかったですよね。まあこっちの子はパパ活というより、援交の子だと思いますが。
梁井 印象としては、援交はかなり廃れているような感じがしますよね。そこにお金を使っていた男の人は、最近ではパパ活で使うようになっていると思うので、「ホ別いくら」みたいな援交の市場は明らかに小さくなっていて、パパ活に流れているのだと思います。
── たしかにちょっとした普通の女の子でも、風俗ぐらいの料金感覚でパパ活をやっていると言いますよね。
松尾 これはコロナのせいもあると思いますし、軽い気持ちで入ってくる人も今の時代は多いと思うんです。
梁井 実際にパパ活は「食事だけで帰っていい」っていうのが担保されているのが、裾野を広げている一因ではあると思います。
松尾 そうだよね。だから女の子からしたらアプリのスピード感が増して絶対にやりやすくなったと思います。でも昔からある「●ッピー●ール」とか、これもまだ全然動いているんですよ!
── えっ!? 「●ッピー●ール」は一世代前の方がやっていたようなイメージだったのですが、まだやっている人はいるのですか!?!?
梁井 動いているには動いていますが、若い人は入ってきてない感じがありますよね。当時使っていた人が今でも使っていて、こういうのは時代の変化と共にどんどん規模が小さくなっていくものだと思います。
松尾 これはテレクラもそうで、テレクラの番号を知っているのは50代しかいないですからね(笑)。だからこういったツールには役割があって、その世代に登場したモノはその世代が引きずっていくものなのだと思います。「DVDを買うのはおじさんだけ」みたいな。テレクラ、出会い系メール、マッチングアプリって順番にその世代世代に紐付いてる訳ですよね!
── 歴史がありますね!ちなみに私はテレクラには行ったことがないのですが、どんな場所なのですか?
松尾 一言で言うと、地獄ですよ(笑)!!
── 10歳ぐらい年上の知り合いからテレクラの体験談を聞いたことがあるのですが、部屋にいたら電話がかかってきて「錦糸町の丸井の前に集合ね。それからエッチしよ♡」と言われたのでウハウハで行ったらしいのですが、待てど暮らせど女の子は来なかったと言っていました。こんなことはよくあったのですか?
松尾 そんなことばっかですよ(笑)! そんなロスばかりがあるんです。
── な、な、なるほど。それを防ぐ方法はあったのですか?
松尾 遊んでいる時はそれでもいいのですが、僕は撮影の時にはロスをしたくないので「俺の番号を教えるから、直接電話して」って言っていました。それでもう一度電話が来たら会いに行くんです。
── さすがプロですね!!!抜かりが無い!!!
松尾 もし番号を教えたくないって言うなら、テレクラの前に呼び出します。いちいちテレクラを出るのはめんどくさいのでね(笑)。
梁井 本当に来る気があるならってことですね(笑)。
松尾 この辺は色々とやらないといけなかったんです。なんでここまでやっていたかって、当時の90年代は女子高生が、おっさんをからかうためにテレクラに電話するっていう遊びが定番だったんですよ(笑)。服装などの目印を伝えるのですが、それを遠目から見てケタケタ笑われるっていうのがしょっちゅうあって。
── めっちゃ恥ずかしいやつですね……。
松尾 でも待ち合わせ場所っていうのはだいたい決まった場所だったので、逆にすっぽかされた女性もいて、「相手来ましたか? 来てないなら僕とどうですか?」って誘って、すっぽかされ組で一緒になるってこともあったんです。
さらに言えば、テレクラの待ち合わせっぽい子がいたら声をかけて横取りしちゃうパターンとかもあったんです! まあでもこれは、それぐらいやってる人が多かったテレクラ黄金時代の話ですけどね。
── 横取りって凄いですね(笑)。電話の雰囲気で相手が本気かどうかを見極めるのも重要だったのですか?
松尾 それはもちろんです。声しか情報が無いので「この子はダメだな」みたいなことを判断するのも大切なポイントでしたね。テレクラは文面じゃなくて唯一、声が聞こえるのツールなのでめちゃくちゃ耳が研ぎ澄まされるんです。
梁井 でもブルセラとか援交が盛んになったのってテレクラと同じタイミングじゃないですか? その前はこうやって売買する方たちの場ってあったんですかね?
松尾 いや~、ないだろうね。あったとしてもナンパだけだと思うから、何かツールを介して出会うっていうのはテレクラが初めてじゃないかな。
梁井 そういう意味ではテレクラキャノンボールって、出会いツールの歴史になっていますよね!
── あと今回の『おうちでキャノンボール2020』にはニューハーフ的な方も多く出てらっしゃいましたよね。
松尾 そうですね。2013年のときにも、そのときブームだったものをルールに取り入れたりしたんですが、今回はネットというテーマだったこともあり「ジェンダーレス」もOKにしてみようと思ったんです。映画のオープニングにチラッと「男でも大丈夫ですか?」っていうやり取りがあるんですけど、実はアレは僕のやり取りだったんですよ。
── あったあった! アレは松尾監督がゲットした人だったのですね!!
松尾 この時に「このルールにして良かったな!」って思いましたね。
梁井 でも昔だったらジェンダーレスの方って表に出てこなかったのかもしれないですよね。一定数はいたと思うのですが、昔は表に出にくかったんだと思います。
── たしかに今回は別にニューハーフ向けの掲示板とかではなく、一般の出会いの場を使って出てこられた訳ですもんね。
松尾 普通の平場でやってあれだもんね。
梁井 ジェンダーレスの方は前までは自分たちのコミュニティの中だけでやっていたと思うので、そういう意味で言うと今回の結果は今っぽいのかなって思いますね。
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中編はここまで!!
年確がTSUTAYAのカードと卒アルという合わせ技の時代があったなんて、今じゃ考えられません(笑)。そんな古き良き時代から続く人気シリーズ『テレクラキャノンボール』の新作『おうちでキャノンボール2020』大爆笑必須な内容でしたので、ぜひ劇場に行って見てみて下さい!
明日公開の後編では「35歳でAV監督としての考えが変わる」という興味深いお話をテーマに、お二人のAV監督さんとして年齢を重ねたことによっての心境の変化をお話頂いております! ぜひお楽しみに!!
カンパニー松尾 @company_matsuo
AV監督。
ハメ撮りAVの第一人者。『テレクラキャノンボール』シリーズ、『私を女優にして下さい』シリーズなど数々のヒット作を持つ。近年ではアイドルとコラボレーションした劇場作品なども監督している。
梁井一 @HMJM_yanaiC
AV監督。
カンパニー松尾 監督率いるAVメーカー・HMJMに所属しているが、他社メーカーでも多数監督している。『テレクラキャノンボール2013』にも出演。
インスタ @yanaihajimee
リボルバー・ヘッド @RevolverHead01
ピン芸人。
代表ネタは、山田孝之演じる全裸監督の村西とおるのモノマネ。吉本若手マッチョ部としてクリスタルジムでパーソナルトレーナーも務める。
YouTube『リボルバーチャンネル』