どうせ女からの誘いの電話などサクラから一本ぐらいかかってきて終わるだろうと、平日の昼間に二時間だけ池袋のテレクラに行ってみた貧乏ライターの財布には五千円しか入っていなかったワケで……
いや~、まさかの展開とはこの事。編集部の担当氏との打ち合わせでも、まあ結果はショボいだろうけど、今のテレクラはこんなもんでした的な脱力ネタでいきましょうか、みたいなお話だったワケです。
ところが、真っ昼間ですよ、それも平日の。受付で二時間ぶんの料金2,900円を払って、コール待ちの暇つぶし用にエロDVD『素人ナンパ240分』を借りて、オナニーにふける気まんまんで狭い個室のドアをあけた瞬間、すかさずプルルルル、プルルルルっと電話からお誘いコール。まさかの入室直後!
女一人目・しおり・職業不明・推定年齢30代前半
俺「もしもし、こんにちは!」
しおり「こんにちは…」
俺「えーっと、何ちゃんって呼べばいいかな?」
しおり「はあっ?」(妙にドスのきいた声で)
俺「あ、名前…なんて呼べばいいかな?」(ちょっとビビッて)
しおり「しおり」
俺「しおりちゃんは今おうちから電話してるの?」
しおり「そうだよ。でも会えるよ。北千住までこれる人?」
俺「北千住! …ごめん。ここ池袋だし、ちょっと…」
しおり 電話ガチャ切り、終了。
なんだよいきなり…足立区民が。それにしても、入室した途端ですか。あわてて出たので会話録音用のスマホアプリを起動するヒマもなし。気を取り直して、録音用のアプリを入れたスマホと、ペットボトルの水をテーブルに置いて準備が整った瞬間、二本目のコールが!
女二人目・マキ・会社員・推定年齢20代半ば
俺「もしもし、こんにちは! えーと…何ちゃんって呼べばいい? ぼくのことはこいけちゃん(仮名)と呼んでください!」(精一杯あかるい口調で)
マキ「マキです…」(低めのトーンで)
俺「マキちゃんっていうんだ。マキちゃんは今どのあたりから電話してるの?」
マキ「池袋」
俺「あ、池袋からなんだ。近いですね。今日は暑いけど外から電話してるの?」
マキ「そうだよ」
俺「えー、そうなの? 今日、外は35度ぐらいあるから大変でしょ。マキちゃんは何をやってる人? OLさんとか家事手伝いとか?」
マキ「会社員」
俺「あ、会社員なんだ。じゃあ今日はお休みなんだ。よくここに電話するの?」
マキ「よくでもないけど…」
俺「自分はね、今日はじめてここに来てみてね、こういうトコってどんなもんなんだろうかなーなんて…アハハ」(おちゃらけた雰囲気を醸し出してみる)
マキ「ふーん。どんな人なの?」
俺「あ、自分はね…ひきこもりっていうか、その…一人でデザイン関係の仕事していてね、それで今日はちょっとね…」
マキ「あの、あなた何を希望しているひとなの?」(低いトーンで問い詰めるように)
俺「えっ? 希望…ですか? 希望は…人とおしゃべりをしたくて……」
マキ「会う気ないの?」(さらに問い詰めるように)
俺「え、ああ…じゃあさ、会ってデートとかしちゃうかんじ?」
マキ「割り切りにきまってるじゃん」(※割り切り=Hしてお小遣いもらう的な行為)
俺「あ、そうなんだ…そっかそっか…。それじゃあ…あんまりおしゃべりすることとか興味ないよね」(あまりにも唐突な会社員マキの豹変ぶりに完全にビビる)
マキ「おしゃべり? いいよ全然、ただし割り切りでね。外で会ってどっかのお店とかでしゃべってもいいし」
俺「ああ、割り切りでね…アハハ…。それじゃあさ、ちなみに聞くけど、割り切りするときって、例えば大きいの1枚(万円)とか、みんないくらぐらいでやり取りしてるものなの?」
マキ「知らない。人のは見たことないから。でも1万って…それ、40代とか50代の女ならそれでOKするけどさ、あとデブとかね」
俺「あ、そうなんだー。じゃあ20代とかで可愛いコとかなら2万以上したりとか?」
マキ「知らない。人のことは解らないし。でもみんな交渉じゃない?」
俺「アハハ…じゃあ、ちなみにマキちゃんだったらどんなもんなのかな~なんて、聞いてみてもいいかな…アハハ」
マキ「そうね、2(万)って言いたいところだけど、アナタなら1.5にしてあげる…特別だけどね、ウフフ」(にわかに声のトーンが明るくなる)
俺「アハハ…ありがとう。でも、う~ん…今日はやめときますわ」
マキ「え! 会わないのになんで聞いたの?」(急にムカついた声になって)
俺「あ、いやいや、お金が足りそうだったらぜひ会いたかったんだけど…すんません、今日はちょっと、ごめんなさい…はい」
マキ 電話ガチャ切りで終了
音声はこちら…
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