ティッシュ片手に「よろしくお願いしまーす」と駅前で笑顔をふりまくティッシュ配りのお姉さん。
でも、意外と無視されっぱなしで可哀想って現場、よく見ますよね?
人の冷たさが身にしみる?
突然ですが皆さん、街で配られているティッシュ、一度はもらったことがありますよね。でも、そのティッシュを手渡してくれた人……顔や体型、声なんて、まず記憶に残ってないですよね。
もし自分がティッシュ配りの仕事をしたら……受け取ってもらえればいいけれど、ティッシュを差し出しても無視し続けられ、ときには〝通行のジャマ!〟と罵られ……ヘコむだろうな、間違いなく(笑)。
そこで考えてみたんです。人の冷たさが身にしみているティッシュ配りのお姉さんって、絶好のナンパの獲物なんでないの? 優しく接してくれる男というだけで好意を持ってくれるんでないの?
ということで、その日からティッシュを配っている女性を見つけては親しげに声を掛け、携帯のメアドを書いたメモを強引に手渡す作戦に出た記者。
「よろしくお願いしまーす」
「ありがとう。暑いのに大変ですね」
まずはこんなふうに話しかけて相手の様子を伺い、
「いいえー、あ、よろしくお願いしまーす」
と、こちらの顔も見ずにティッシュ配りに戻る女性はさっさと諦める。そして、
「ちょうど買おうと思ってたとこなんですよ、ティッシュ。ありがとう」
「あ、いいえ。お気をつけて」
と笑顔を返してくれた女性に狙いを絞った記者。人数的に言うと15人中3人だったんですが……。この3人に、今度はメアドを書いたメモを手渡す用意をして再アプローチ。
「あ、昨日の方ですよね?」
「実はちょっと気になっちゃって(笑)。よかったら連絡ください」
という具合に強引にメモを渡してその場はバイバイ。すると、ラッキーなことに……ひとりの女性からメールが来たってワケなんです!
神経が細い人は人間不信に?
「びっくりしましたよー。こんな形でナンパされると思ってなかったから(笑)」
記者のナンパにまんまと引っかかってくれたのは、30歳になったばかりだという独身女性でした。仮に名前を真由美さんといたしましょう。
で、そんな真由美さんに素性を白状し、ティッシュ配りのお姉さんに関する取材を申し入れてみた記者。
「えー、取材のためだったんですかぁ。もぉ、ちょっと嬉しかったのにぃ……なんてね、どんな話をすればいいんですか?」
ということで、前述した記者の仮説を説明したんですな。すると!
「あー、あるかも。ずっと無視し続けられることもあるから、神経が細い人だと人間不信に陥っちゃうかもしれないですよね、ティッシュ配りの仕事って」
やっぱりねぇ。真由美さんの場合はどうですか?
「自宅から現場までの交通費込みなんですけど、時給が1400円なんですよ。だから私は割り切ることにしてます。っていうか……深く考えないようになったというか、神経が図太くなったというか(笑)。ティッシュ配りは無視されるのが当たり前ですからね」
記者からメアドを渡されたときはどう思いました?
「初めてのことだったんで、ビックリしましたよ。繁華街でティッシュを配ったりしてると、昼間っから酔っぱらったオジサンに〝ねーちゃん、オッパイでけーな〟なんて絡まれることはあるんですけどね(笑)」
人を見る目が養えるお仕事?
「ティッシュ配りって、人間観察してるようなとこがあって。意外と人を見る目を養えるっていうか(笑)」
という真由美さん。ティッシュを差し出すとき、相手の目を見ながら渡すと受け取ってもらえる確率が上がるのだそうだが……。
「そのとき、ちゃんと私の目を見返してくれて、なおかつお礼を言ってくれる人。こういう人に悪い人はいない感じがするんですよね」
その点、記者も合格って感じだったんですかね?
「うん……だから私の方からメアドに連絡しちゃったわけだしね(笑)」
記者のナンパに引っかかるくらいだから、常に人と接する仕事ではあるけれど、本当の意味での出会いは少ないってことなんですかね。
「そうかも、人の嫌な面を見ることが多い分、人の優しさに飢えてるのかもしれませんねー」
最後に「ティッシュ配りはメンタルが鍛えられる仕事。自分もそうだったが、人見知りを直したい人にはいいバイトかもしれない」と締めくくってくれた真由美さん。
ところで、さっきから真由美さんの巨乳が気になって仕方ないんですが……。
「うふ、せっかくナンパしてくれたんだもん……どっか行きます?」
ティッシュ配りのお姉さん、狙い目ですよ!
(掲載/「実話大報」2018年8月号)