ピコったトラックに乗せて実体験を元にしたほろ苦リリックをパンイチ、スキンヘッドの五十路男がアジる異能のミュージシャン・パフォーマー。
一部好事家から熱狂的支持を獲る関西スカムの秘密兵器クリトリック・リスことスギム。
巷で話題の最新MVからニューアルバム、目前に迫った日比谷野音ワンマンライブへの
意気込みを聞いてみた。(全3回 中編)
メジャーから見捨てられたんで自分でやるしかなかったんです
▼インタビュー前編
── 今回のアルバムは全くのインディーなんですか?
スギム 1枚目はタワーレコードで、2枚目はソニーやったんですけど正直言って売れなかったんですよ。
で、もうメジャーから出すのは厳しいやろうなぁと思って、メジャーって中でコンプライアンスもきつくて色々録音しても取り直しになったりして……。
この曲は入れられないとか言われたりして。もうそれやったら自分で責任とるんで自分で出したいと思って。
メジャーから見捨てられたんで自分でやるしかなかったんです。
── 歌詞以外でメジャーだとダメだった事ってあるんですか?
スギム 実は今回のアルバムのジャケットもメジャー時代に提案してるんですけど難色示されたし、性的な表現以外にもこの曲が誰かの曲にちょっと似てるからマズイなぁって言われたり。
歌詞も「子供達、その肌色のクレヨン、本当にそれは肌色なのか?」この表現が引っかかったんですよ。全然差別ではなくて逆に差別はアカンと言う表現やったんですけど、それさえもダメだと。
クリトリック・リスと言う名前で活動する事自体に制限があったんで、今回はリミッターをかける事なく解放した感じなんですけども、幾分僕も年齢を重ねたんでマイルドになって来てるかなぁとは思います(笑)。初期に比べると!
── 歌詞はどんな時に書くんですか?
スギム 歌詞は日記みたいなもんですね。初期の頃は歌詞だけを山ほど書いてたんですけど、今はメロディーやトラックも作れるようになったので、そこから引っ張ってきて曲を合わせたりしてます。
── 曲と歌詞どちらが先ですか?
スギム 完全に歌詞が先です。初期の頃は音楽経験も無かったので曲は作れなかったですから。AメロBメロCメロって概念も無くて、素材のループに歌でもない言葉を乗せてただけですから。
それが上手いこと韻とか踏んでたらヒップホップになるんでしょうけど、僕はそこには全然影響も受けてないですから。ポエトリーリーディングでもない、微妙な音楽にもならない得体のしれない音やったんがDTMの普及と僕が年齢を重ねることによって曲っぽい物が作れるようになって、今はさらに手伝ってくれる人がおって曲になってきたかなと。
トラックもベースは僕が作って最後の味付けだけをプロにお願いしてます。80年代90年代の音楽に影響を受けているので抜けというより温かみのある音を意識しました。