エロ、グロテスク、SF…猟奇的な作風でヨーロッパでも評価・支持されている“奇想”漫画化・駕籠真太郎氏。
映画好きでも知られる氏がいろいろな映画をエロ目線で斬ってみたらこうなった…
画面から抜け出ようとした貞子がつっかえてしまったら?
『リング』1998年、中田秀夫監督。
今では考えられないが今作は続編『らせん』と二本立てロードショー公開だった。
公開当時、口コミでその怖さが広まり大ヒットしたと言われているが、同監督の前作『女優霊』が公開されてたり、ビデオ『ほんとにあった怖い話』シリーズがホラー好きの間で話題になってたりと、ヒットする下地は着実に築かれていたと言えよう。
貞子がテレビから出現するシーンばかりフューチャーされたおかげでギャグキャラと化してしまった感はあるが、そのクライマックスに至るまでの地道な盛り上げなどあったおかげで劇場では悲鳴に近い声が上がっていた。
観客全員が凍りつき、場内温度が3〜4度下がったと思う。いや大袈裟でなくほんとにそんな感じだったんですよ。この頃は前年1987年公開の『CURE』があったり2000年にビデオ発売された『呪怨』があったりと和製ホラーが花盛り。
その後、『リング』シリーズの続編や類似作品が何作も作られJホラーブームを盛り上げるが、さすがに初期作のディープインパクトを越えることはできずやがてブームは終了する。
安易なホラー作品の粗製乱造ぶりがブーム終了の一因になったとも言えるが、その独特の恐怖演出方法は海を越えアジア諸国やハリウッド映画に多大な影響を及ぼしたのである。
ところでちょっと前にネットで『貞子vs伽倻子』なるタイトルを見かけた。実現すれば『リング』と『呪怨』の二大ホラーキャラの競演となるわけだが、果たして現実化するのかどうか‥‥。
仮に出来たとしても見たいかと言われると微妙なような‥‥。まあ『エイリアンvsプレデター』『ジェイソンvsフレディ』なんてのもあるくらいだし、一時の話題作りくらいにはなるかもしれない。
(画・文/駕籠真太郎)
PROFILE 駕籠真太郎(かご・しんたろう) 1969年~東京都出身 人間という存在を弄り倒す人体改造や人体破壊をネタに狂気的な世界を描いている。 公式HP『印度で乱数』 ツイッター (@shintarokago)