2018年に「3日間シリーズ」が空前の大ヒットを果たし、今最も〝監督名で作品が売れる〟と言われる朝霧浄監督!前、中編では、現在Twitterで話題となっている『朝霧流AV演出』の「強い逆光、ワンシーン・ワンカット、定点観測、スマホ主観、感情の流れ、決めカット、食欲と性欲、マッチカット」のお話をして頂きました!
ラストの後編では、「回想入り、階段を登る」そして、朝霧監督ご本人よりオススメ作品を複数本ご紹介頂いております!では、その一部始終をご覧下さい!!
↓前編&中編はこちら
「映像の面白さっていうのは〝深読みができる〟っていうことですね」
—— では、お次は「回想入り」について教えて下さい。
朝霧流AV演出⑨ 回想入り
物語の冒頭を回想シーンから始めることによって、登場人物の背景や関係性を簡潔に表現し、結末への伏線を張っておくことができる。
AVは早送りできるコンテンツなので、とにかく冒頭から視聴者に興味を持ってもらい、飽きさせない工夫をすることが大事。 pic.twitter.com/Dvgq5axl3U— 朝霧浄(AV監督) (@asagirijoe) December 3, 2020
朝霧浄監督(以下、朝霧)今の時代、皆さんYouTubeを観られていて、5分でもつまらないとすぐに飛ばしちゃうじゃないですか。それを、エロだからとはいえ120分の長さのものを観せるには、「少なくとも工夫はいるよな」ってことです。一番最初がつまらなそうだと思われたら、すぐ早送りされてしまいますからね。なので冒頭から、「何の話!?何が始まったの!?」って思ってもらえるような工夫をしています。早送りせずに観てもらえれば、多分面白いはずなので。
まだ処女だと思っていた最愛の妹が僕の友達全員の中出し玩具にされていた。 松…
朝霧 例えば冒頭のシーンで、「ん?これは何の話をしているんだ?知らないオッサンにおさげ髪の女の子がイタズラされてるぞ?」みたいな回想から入ることによって、場面がパタンと変わった時に「じゃあ、あのシーンは一体なんだったの?」、「あのシーンの秘密はこの後出てくるに違いない」と少しでも興味を持ってもらえれば、しばらく早送りしないでみてもらえるかなと思っています。
でも、こういった努力や工夫は、AVに限ったことではないと思うんですよ。今回話している10個の技法っていうのは、映像や映画を作る際に「面白いってなんですか?」っていうのを考えた時に、確実に当てはまる何かだと思っています。
朝霧 僕から言わせると今までのAVっていうのは、「どうせ女の子の裸が出てくるから」と、サボっていたんですよ。そうやって映像作りからサボらずに「面白いもの」をしっかり考えると、こういう工夫を自ずとやるようになると思うんですよね。
でもね、もっと言うと、今言ってきた色々な技法なんてのはどうでもいいんですよ。本来、一番大切なのは、「女優さんのキャラクター」や「その女優さんの最も魅力的なところを見せる」っていうことだと思っていて。女優さんっていうのは、今その時にしか撮れない魅力というのがあるんですね。まさに一期一会で。たまたま僕が撮らさせてもらうので、「この女優さんはここが可愛いんだよ!ここが魅力的なんだよ!」っていうのを逃さないようにするのが一番大事なことです。
朝霧 技法っていうのは女優さんの魅力を引き出す為のただの料理法なので、一番大事なのは「素材(女優さん)がその時に持っている味」なんだよ、ということです。料理と一緒で技に頼ってはいけないと常に思っています。重要なのは、素材を見極めて旨味を逃がさない、ってことですね。
技法のインタビューを受けながら技法はどうでもいいって話をしちゃいましたが、そういうものなんです(笑)。
—— では、ラスト10個目の「階段を登る」について教えて下さい。
朝霧流AV演出⑩ 階段を登る
二人で階段を登ることによって、二人の関係が別のステージに変化していくことを暗喩している。
女の子だけが先に上がっていく場合は、変化していく女の子に追いつけない主人公の淋しさを表現している。
…という理屈はともかく、階段ではいい絵が撮れる。 pic.twitter.com/RLqJndbbxm— 朝霧浄(AV監督) (@asagirijoe) December 6, 2020
—— まず、撮影に使っている階段は毎回探しているのですか?
朝霧 はい。探し回っています(笑)。スタジオを決めたらその周りに、階段か橋か、なんでもいいから高低差があるところはないかなって見ますね。
これもAVに限ったことではありませんが、映像っていうのは、1カット1カットに裏の意味っていうのが必ずあるんですよ。それが映画や映像の面白いところで。「この画から何を連想する? さあ深読みしてみてね」っていう、言葉では説明しない面白さですよね。こういう、2人で階段を登っているシーンを見れば視聴者が何かを感じると思うんです。「どこに行くのかな。このあと、二人はどうなるのかな」みたいに。折角の映像なので、言葉で説明しないでいいところは「画の力を信じる」みたいなことはやっていますね。これに限らずですけど、映像の面白さは〝深読みができる〟っていうことですね。
—— 10個の技法を詳しくお話頂きありがとうございました!
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