「そんなことないです」って言われると、「じゃあ、使わないです」ってなっちゃう
小倉 普段のみぃななさんは親近感があって、話も聞いてくれるんですけど、ステージに立っているみぃななさんは全然違うんです。
川上 おぐゆなもそういう一面はあるじゃん。だから、表に出る人と一般人の違いってガラッと顔を変えられることだと思うし、変えるためにはなにをしたかっていう工程が一番大事なの。変えるためには努力や苦労をして、その顔ができるわけじゃん。だから、私も肌とかを気にしていたけど、なにも気にしないでいこうと意識的にするようになったの。自意識過剰だし、すごく気にするタイプだったの。
小倉 そうだったんですか?
川上 そうだった。メイクさんにもすごく神経質だった。私も容姿から入るタイプで、役を作るには容姿を作らないといけないから、「痴女はできません」って言ったりしていた。でも、それだと自分で自分の幅を狭めているから、なにかを表現する身としてはダメじゃん。
だから、自分で自分の幅を狭めている可能性もあるのかな。そのキレイな見た目としっかりとした礼儀作法があって、自分自身もしっかり持っている中に、もう一つ違うエッセンスを入れたら、もっと幅が広がると思う。
小倉 そうですね。
川上 私がおぐゆなを見てのイメージね。もったいないところがある。
小倉 うん・・・。
川上 「見ている人は見ている」って私がよく言うんだけど、おぐゆなは誉められると、「そんなことないです」って返答するでしょ。
小倉 しちゃいますね。
川上 それじゃない返答をすると周りの環境が変わってくることがあって、もっと広がるの。もっと面白いクライアントもたくさんいるから、その人たちとも会ってほしいし、目に留まってほしいし、そういう感覚を知ったらおぐゆなは仕事ができるから言っているの。結構前にも映画関係者に会わせたことがあったけど、それはおぐゆなだから会わせたの。
小倉 ありがとうございます。
川上 その時に嘘がなく自分のセンスを信じてクライアントと接してほしいの。もっと我が強くなっていいと思うの。だから、「そんなことないです」はやめてほしい(笑)。
小倉 なるほど。
川上 AV業界の人にはいいかもしれないけど、違う世界の人たちにそれを言うのは違うと思う。自分が自信を持ってエンターテインメントして表に出しているものだから、「本当に面白いことをやっているんです」っていうことを評価してもらわないといけない立場なの。
本当に面白いものを作っている人たちは本当に分かるから、「そんなことないです」って言われると、「じゃあ、使わないです」ってなっちゃう。面白いことをしている人たちと仕事をやってほしいから、スイッチをちょっとだけ変えてほしい。
小倉 そうですよねえ・・・。グサッときました。
川上 日本だからそういう言い方にしていると思う。でも、おぐゆなは日本のいろんな人たちや、日本以外の人たちとも関わっていけるから、もっと前のめりに行っていい瞬間があると思う。空気も読めるし(笑)。そうしたら一癖も二癖もある演者だなっていい意味で思われるから。それができる演者って本当にいないから。どんな人たちと一緒に仕事をしたいのか、どんな人たちといたいかっていうのも、すごく重要だと思う。だから、本当の自分をさらけ出せる人がいるのが幸せだと思う。
小倉 そういう人がいればいいんですけどね。
川上 だから、自分自身でやってみることかな。もしかしたらそれができていないんじゃないかなって思ったの。そうなるとあっちからも自分をさらけ出さないし、そういう人たちとの縁があっても深まらないから、プライドや自信のあることはアピールしていかないとダメ。謙虚でいい子ちゃんだとダメなの(笑)。
小倉 なるほど。そうだろうなあ。
川上 逆に不安なことはある?
小倉 プライベートの友達にもいつも「仲良くしてくれて、ありがとう」って言っている気がするんです。
川上 それって実は失礼なのって知っている?
小倉 そうなんですか!?
――友達を低い価値に合わせていることになるんですよ。
川上 そうなんだよ。それは相手に対して失礼なことを言っているの。そこを逆に考えるとすべての見え方が変わってくるから。「こんな自分」っていう自分がかわいそうだと思わない?それに、「価値の低い人なの? そんなこと言われてもねえ」ってなるから、お互いに価値を高めあうべきだし、お互い陽の状態になってハッピーになることも必要だし、それがあってからツラいことを話すようになるし、傷を共有していくのが心が楽になる環境だから、そこは変えた方がいいと思う。みんなおぐゆなのようなリアクションをしがちだから変えていこう。みんなと一緒はよくない。
――日本人は必要以上にへりくだりますからね。小倉さんのその価値観はどこから生まれたんですか?
小倉 えっ! どうしてだろう?
――みんなの憧れの的じゃないですか?
小倉 いや・・・。また「いや」って言っちゃった。
川上 あはは(笑)。
小倉 友達への接し方も「私のために時間を空けてくれて、ありがとう」って言っているし、みぃななさんに言われたことが当てはまるんです。
川上 「私のために時間を空けてくれて、ありがとう」っていう言い方は悪くはないと思うからバランスが大事かな、その受け答えもセンスだね。自分のユーモアをすごく出していってほしい。ヤリすぎたかなと思ったら、「言いすぎました」とか言うこともできるはずだから間違えてもいいと思う。修正できるから。おぐゆなはそれくらい空気が読めるから大丈夫。
小倉 修正できるかな。