ハガキ職人だとウソをついたらどうなる?
そうだ、もしオレがハガキ職人だとウソをついたらどうなるかな。この笑いようならものすごい羨望のまなざしをくれそうなものだし、ちょっとやってみっか。
ただ無名の職人ではあまり効果がないかもしれない。そうだな、有名職人の名前を借りるとしよう。
「あのさ、さっき読まれた『ラジオネーム・●●』ってオレなんだよね」
女の子たちはキョトンとしている。しかし次の瞬間。
「マジで!? えー、すごっ」
「しょっちゅう読まれてますよね! あれ、▽▲に住んでるんでしたっけ?」
何だこの子たち。ハガキ職人の住んでる場所まで記憶してるのか。
「初めて職人さん見ました。写真撮ってもらってもいいですか?」
「いや写真はちょっと…」
「そうですよね! すいません。でもヤバいですねぇ。テンションあがる!」
いやはや、すごい持ち上げられようだ。
そこから質問攻めがはじまった。
「ネタはどういうときに思いつくんですか?」
「やっぱり放送作家志望なんですか?」
「いつも面白すぎて尊敬してます」
などなど。適当に答えるオレに、友人が耳打ちをしてきた。
「そんなウソついてどうすんだよ。ていうかオレはどうすればいいわけ?」
「とりあえずこのあと誘ってみるから、普通に友達としてついてこいよ」
番組終了が近づき、女の子たちも眠そうな顔をしている。
「良かったらこのあと軽く飲みとかカラオケ行かない?」
「マジですか? でもこの辺そういうお店ないですよね」
「あ、そうなんだ。ファミレスとかでもいいけど」
「あの、できれば少し寝たいんで、後日でもいいですか?」
「ああ、別にいいよ」
「じゃあライン教えてください!」
帰宅途中のオレのケータイにラインが届いた。
<●●さん☆会えてホントに嬉しかったです! あの、今日の夕方とかどうですか?>
<大丈夫ですよ>
<友達は用事があるらしいんで1対1でも良ければ!>
……ほう。そのほうがいいです! 夕方、居酒屋に入り、カンパイする。
「いきなり今日とか言ってすいませんでした。でも会えて嬉しかったので早いほうがいいかなって」
「ぜんぜん大丈夫だよ」
「ワタシの友達いたじゃないですか? あの子まだリスナー歴短いんで、私のほうが全然詳しいんですよ。だからホント尊敬してます!」
すごく積極的な子だ。ビールもガンガン飲んでるし。これ、完全に狙われてるよね?
2時間ほど飲み、店を出た。酔いにまかせてストレートに誘ってみる。
「あの、ホテル行かない?」
「え〜、ヤバ〜!」
こうは言いつつもちゃんとついてくるのだから、OKってことらしい。
ホテルに入り、シャワーを浴びてベッドへ。いきなり彼女が上にまたがってきた。
「あの、ワタシからするんでゆっくりしててください」
「え?」
「なんか昔、経験少ないとかってハガキで読まれてませんでした?」
そんなこと言ってたのか! まあ身をまかすとしようか。
(イラスト=清野とおる 記事引用元=裏モノJAPAN)