『本田真琴 恋の聖域』(スパイスビジュアル)
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この連載の前回で、ぼくが褒めちぎった『処女 最後の日』シリーズにも通ずるテーマである“ブルセラ”系かつ“着エロ”系の別メーカーによるシリーズものを、今回あらたに発見しました。前回と似通った批評になるでしょうが、採り上げずにはおられませんッ!
それがスパイスビジュアルさんの『恋の聖域』というシリーズでして、調べたところ、2013年5月発売の『夏海葵 恋の聖域』に始まって、今年4月発売の『滝下美和 恋の聖域』まで16タイトルもリリースされていました。このタイトルで出せば、確実に売れる人気タイトルであることが伺えます。
そう、このタイトル『恋の聖域』が、まずスバラシイ。
「聖域」とは…
《1 聖人の地位または境地。2 神聖な地域。神社・寺院の境内、神が宿るとされる所など。「―を侵す」3 それに触れてはならないとされている問題や領域。》(goo辞書より)
という意味合いの言葉です。
もちろん本作は、観る者がイヤらしい気持ちをこめて鑑賞するために作られたビデオですから、この言葉が指し示すトコロは、ブラやパンツによって保護された身体の器官に他なりません。しかも、《触れてはならない》という意味が付帯されていますから、いやがうえにも“処女”を想起してしまいます。
で、それを無理矢理犯すのもAV的には一興でしょうが、そんな野蛮な手段はとりません。
《聖域》という言葉に、《恋の》という、なんとも甘くロマンティックな言葉が接続されているからです。
「冒してはならない聖域を、壊さないように、傷つけないように、遠くからやさしく憶う」。そのような意味合いが、この絶妙なタイトルからは受け取られ、その類い稀なネーミングセンスに、まずは唸らされたのです。
だから、ぼくはこのシリーズの本編はおろか、サンプル動画すら観ていないのですが(ちなみにこの「ジャケット時評」は、ジャケットに記された写真と文字情報のみをたよりに、あれこれ妄想を膨らませて語っていく、というのが編集部からぼくに託されたルールです)、電マのような下世話ものが、“処女”たちの“聖域”を冒すようなことは絶対にしていないでしょう!
無理矢理イカせたり、処女を奪うような手荒なことがキライな、“見守りたい”系とでも呼ぶべき、やさしい性格の観客層を、本作のようなシリーズは獲得しているのではないでしょうか(個人の勝手な想像です)。
『恋の聖域/本田真琴 』(ブルーレイディスク/スパイスビジュアル)
今回、全16タイトルのなかから、初期の作品である『本田真琴 恋の聖域』がブルーレイ化されたばかりということもあり、このジャケットのデザインをもとにして、すこし解読してみましょう。