本来の開通よりも4年遅れの連絡橋
およそ50キロ離れた香港とマカオを橋で繋ぐ。この壮大な計画に中国政府は、2兆円以上もの巨費を投じ、中国の威信を賭けた国家プロジェクトとして工事を進めている。現在は、海上部分の工事が終わり、海底トンネルの開通を待つだけとなっているが、この海底トンネルが難事業。本来は2016年に開通しているハズだったのだが、4年の延期を発表。延期になったのは残念だが、完成すれば香港~マカオの往来が便利になる。
中国への返還がもたらした弊害
ただ、この連絡橋の完成に戦々恐々と見守っているマカオの人々もいる。マカオで風俗店をやっている経営者たちだ。
マカオが中国に返還され早や18年が経とうとしている。中国に返還された事で中国本土からの観光客が激増して、マカオは中国バブルに湧いたが、その一方で「50年間は現状を変えない」と言っていた中国政府は約束をなし崩し的に解消。次々に改変案をマカオ政府に押し付け、こんなハズではなかったと、その政策に息苦しさを感じる住民も少ないのである。
そして、その被害を最も被っていると言われるのが風俗店業界なのだ。
リスボアホテルの隠れた名物と言われたフリーランス女性たち(ホテル内の同じ場所をクルクル回っていたので回遊魚と呼ばれていた)は、ホテルへの出入りを禁止されたし、ホテルの入口に風俗店が入居していることを知らせるセクシーな看板も、そのほとんどが撤去。これまでマカオで夜遊びしていた方々なら、このホテルに夜總会があった、エロサウナがあった、と看板なしでも店へ行くことができるが、初めて来た観光客にはどこにエッチな店があるのか、皆目見当もつかなくなってしまったのだ。
こうした中国政府から押し付けられた風俗店隠しの政策によって、遊びに来る観光客が激減。耐えられなくなって閉店する風俗店が増えている。
また、中国本土との行き来が自由になったことで、マカオのライバルは中国本土のお店となり、高級志向の夜總会などは中国本土に客を取られて閑古鳥が鳴く始末。全盛期には30軒以上もあったマカオの夜總会は、ほんの数軒を残すのみとなってしまった。これで連絡橋が開通すればマカオの風俗店への締め付けは更に加速するのは必定。まさに崩壊の危機なのだ。
〜後編につづく〜
(記事引用元=ズバ王)