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中田秀夫監督『殺人鬼を飼う女』公開記念 主演女優・飛鳥凛インタビュー「撮影では女性キャストに前貼りの作り方講座をしました(笑)」「気を使わないでどうとでも触れられる女性のほうがいいなって思います」

「リミッターを外せ!」を合言葉に、プロジェクト。KADOKAWAとハピネットの共同製作により、あえてタブーとされる題材をテーマに、クリエイター達の感性と才能を思うままに爆発させた、“ジャンル映画”の中でも特にエッジの立った作品を共同で開発、発信していく『ハイテンション・ムービー・プロジェクト』。
その第一弾作品として4月12日に公開される、中田秀夫監督『殺人鬼を飼う女』。映画の公開に先駆けて、デラべっぴんRでは主演女優を演じた飛鳥凛さんをインタビューすることができました。
エロティックなシーンにも体当たりで挑んだ飛鳥さんが撮影でのエピソードを語ってくれました。

 

撮影では女性キャストに前貼りの作り方講座をしました(笑)

── 中田監督の映画作品では『ホワイトリリー』(日活)に続いての主演となりますが、最初に中田監督に会ったときと今回で、演出違いや変化はありましたか?

飛鳥凛(以下、飛鳥) 中田監督はシーンごとに役の感情をなぞりながら、その場その場で一緒に映画を作っていく手法で、『ホワイトリリー』のときも、今回も演出の方法自体は変わらずでした。わたしはその方法がすごく好きで、一緒に作り上げているんだなという気持ちで撮影にのぞみました。

── 今回の脚本を読んだときの感想は?

飛鳥 まず最初に、原作小説を読んで、そのあとに脚本を読んだのですが、ココがこう変わっているんだなーと比べながら読めて面白かったです。

四人の人格を四人で演じますとあらかじめ言われていたので、シンプルに「これってどうやって撮影進んでいくんだろう? 誰が誰をどういうふうに相手するんだろう?」と頭の中で映像を浮かべて、ドキドキ感と緊張と楽しみといっぺんにきゅっと詰まった感じになりました。

主人公のキョウコが複数の人格を持っているという設定で…わたし、そういう、人間の自分の知らない自分がいるっていう状況がすごく興味があって…大好きなんです(笑)。
なので、今回それを自分で色々調べたりして、すごく面白かったです。
調べているときに、見つけたジョニー・デップの昔の彼女が出てる、今回の設定と似ている映画、えーっと…あ、『ザ・ウォード/監禁病棟』だ! その映画を、四人の人格を演じた女性キャスト四人で見ました。

集合して一緒に見たわけではないですが、共有してお互い役作りを深めていきました。こういうふうに見えたら面白いんだなとか、こういうふうなイメージで、という共有のビジョンとして見れたのが良かったです

 

── 飛鳥さん自身、今回の四人の人格のうち仲良くなれそうな人はいます?

飛鳥 みんな強烈でしたからねー…。うーん…この中だったら…ハルちゃんかな(笑)
キョウコは闇が深すぎて、たぶん助けてあげられずに泥沼にはまりそうだし。
ああ、でも直美がいいかな、好き嫌いがはっきりしてるから付き合いやすそうです。

── 直美役を演じた大島正華さんは、今回はじめてレズビアンの役を演じたいうことですが、前作も踏まえて経験者である飛鳥さんがリードするというようなことはありましたか?

飛鳥 教えたことといえば…前貼りの作り方講座をしました(笑)
「こうしないと結局写って、シーンがカットされちゃうからこのサイズで作っとこう」とか、ひーちゃん(ハル役の中谷仁美)はそういうシーンがないから、みんなの前貼りを作ってくれました。「できたよー♥」って(笑)

ラブシーンに関してはリハーハルもやったんですが、実際女性のほうが度胸があって「いつでもいけます!」って感じでした。しょうかちゃん(大島正華)もあいり(ゆかり役の松山愛里)もとても堂々としていましたね。
なにより、どういうふうにしたらキレイに見えるのかっていう監督の指導についていくのが必死で…。
映像ではキレイに見えるんですが、実はとんでもない体勢だったりして。腕折がれるんじゃないかって感じの体勢も多くて…。みんな集中してやっていました。

── ラブシーンというと本編の見どころの一つであるラストの4Pのシーン。魅せ方が非常に難しいシーンだと思うのですが、演技や演出などで苦労されたところはありますか?

飛鳥 監督に絵画を見せられました。
まずはこの絵とおんなじポーズしてみてって言われて。
「この腕もうちょっと上げて、足はこっち!」ってツイスターゲームみたいな感じでやってました(笑)。
あとは、監督に「虎のように! ガオーーーー!って感じで」って言われたのが印象的ですね。

 

女性のほうがいいなって思いますね

── 女性とのラブシーンが多かったですが、男性との違いというのはありますか? 気を使う部分とか?

飛鳥 いや、女性のほうがむしろやりやすかったです。バストとかも見慣れてるものですし、気を使わなくていいなと思いました。

男性のほうが気を使うんです。というか向こうが気を使ってくださるんです。とても。
裸のシーンだとすぐにバスローブを掛けてくれたりとか、そんなに気を使ってくれないでいいのに、気の使い合戦になっちゃって…。

それが大変なので、気を使わないでどうとでも触れられる女性のほうがいいなって思いますね。色んなシーンをやっていても。

 

── 母親役の根岸季衣さんと喧嘩をするシーンがすごい迫力でしたが、撮影前に打ち合わせや根岸さんからアドバイスなどありました?

飛鳥 殴られるシーンは現場に入って、キョウコの心情を監督と話し合っているときに、隣で根岸さんが、衣装はこっちでこうだよねって打ち合わせをしていて、「今日は私、赤色のパンツ履いてるからね」って言っていて、実際に喧嘩のシーンでコケる演技のときに赤いパンツが見えてて、それがすごい迫力があってリアルで…そのシーンは結局カットになったんですけど、全部自分で下着も含めて役作りをやっているんだなと。

その後のシーンも、喋り方も髪型も化粧も全部怖くて、実際殴られるシーンでパチンと当てられたくらいなのにすごく痛く感じて、ボロボロボロボロ涙が出てきちゃって…。

長回しで撮ったんですが、監督も横から「バチーンバチーン」って声を出されていて力の入った演出をしていました。
あの親子喧嘩のシーンは凄く好きです。

あと、好きなシーンを言うと、田島先生(水橋研二が演じる小説家の田島冬樹)から「私のなかの私」という本をもらうシーンがあって、そこも好きです。

キョウコ的には、生まれてはじめて自分のことをわかってくれる人ができた、嬉しい、ハッピーな感情のピークなので。

 

これからも自分に素直に自由に生きていこうと思います

── 最後になりますが、今回の『殺人鬼を飼う女』は「“リミッターを外せ!”を合言葉にした“ハイテンション・ムービー・プロジェクト”」の一つということですが、撮影中ご自身でリミッターを外せたシーンや瞬間はありましたか?

飛鳥 今回の映画では主要キャスト4人で一緒に、リハーサルやって打ち合わせして、全力でぶつかりあいました。
中田監督とまた一緒にお仕事できるってことで、「死ぬ気でやってやろう」って自分自身でのパワーを振り絞ったりもしました。

全力で役に取り組んだ結果。この、キョウコって子に逆にすごくパワーをもらったりもして、映画を見終わって思ったことなんですけど、自分自身が自由であっていいとか、人の意見に左右されなくていいとか、他人から見たらバットエンドでも、自分がハッピーエンドのこともあるし、自分の幸せを貫いていいんだ、自分はこのままでいいんだってことを感じられたんです。

撮影中は大変でしたけど、映画を見て、こうあってもいいんだっていうのをすごく感じて、今まで周りや、自分自身が「こうあるべき」と思っていた圧や外せなかったリミッターを外して、自分自身生きたいように生きて、突き進んでいこうと思うことができました。

これからも自分に素直に自由に生きていこうと思います。

『殺人鬼を飼う女』
2019 年 4 月12 日(金)テアトル新宿/池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー
◉公式HP:http://satsujyo-movie.jp/
【ストーリー】
キョウコはビストロで働く美しいギャルソン。だが幼い頃義父から性的虐待を受け続けた過去により、複数の人格が潜んでいた。別人格はキョウコを愛するレズビアンの直美、自由奔放なビッチで母親と同じ名を名乗るゆかり、そして虐待を受けた小学生のままのハルという様々な人格と辻褄を合わせながら暮らしている。
母親の友香里は若いころから異性関係に奔放で、年下の彼氏がいながら、娘の職場にまで金をたかりくる有り様だが、お互いに嫌悪感を抱きながらも離れられずにいた。これらにより異性を好きになることのないキョウコであったが、ある日マンションの隣人が憧れの小説家・田島冬樹と知り恋心を抱き始める。そして二人の距離が縮まるにつれ、田島の周辺に不可解な出来事が重なり、別人格たちは田島の前にキョウコに近づかないよう忠告し、母親は「あの子は普通じゃない…」と助言をし、田島は次第に解離性同一性障害のキョウコを受けとめようとする。
だがある日、キョウコの腕に“殺す”という恐ろしい文字が真紅の口紅で書かれ、何かを察したキョウコは動きにでるが、今まで保たれていた均衡が大きく崩れ始めようとしていた―。

(取材:デラべっぴんR編集部)