AV女優がAV女優じゃないところで活躍する嚆矢だった希崎ジェシカ
AV女優になる女子こそ貴重だった時代において、AV女優という存在を、パブリシティ全開にするだけでなく、アイドルとしても一流であると、地上波テレビで活躍したのが「恵比寿マスカッツ」です。
「グラビアや写真集でヌードを披露する」のが最大のパブリシティだった時代に、「服を着て、バラエティをこなし、アイドルパフォーマンスを行う」という彼女たちは、AKBGによってユニットアイドルブームからの派生ではあるけれど、単なるパロディに落とさず、独立してアイドルとしての人気を博したわけです。
そのメンバーのひとりだった希崎ジェシカちゃん。「歌もダンスも苦手」といいつつも、懸命にライブでパフォーマンスする姿に感動したファンが多数ついたわけです。その後、AV女優は、外向けの「AVじゃない仕事」が女優継続するために重要になりましたから、その意味でも、マスカッツメンバーたちの活動はターニングポイントだったわけです。
そこでジェシーの素晴らしかったポイントは、じゃない仕事に比重を置くわけではなくて、「AV女優である」ことを重要視していたことではないかと思います。あらゆるイベントでのトークの中にそれは現れていました。
だからこそ、AVファンも継続してジェシーが好きでした。なので彼女は、
1.「ALLジェシーファン」
2.「AVの希崎ジェシカファン」
3.「バラエティやイベントでの希崎ジェシカファン」
という、3種類のファンを獲得していたと思います。これって活動を考えてるととても理想的だったなと改めて思います。
AV女優がどういう姿勢でお仕事をして、どういう姿勢でファンと接しているのが良いのか。良いお手本として成立していたのが希崎ジェシカちゃんだったのでしょう。
AV女優ではなくなり、表舞台からはいなくなるジェシーですが、「TwitterやInstagramは、わがままを言って継続させてもらいましたので、まだまだつながっていられますから」ということ。本人曰く「寂しいから」という理由でしたけど、ファンのことを考えての結果だと思います。
偉大なるAV女優・希崎ジェシカさん。11年間お疲れ様でした。のんびりと優しいジェシータイムが無くなるのは少し寂しいですが、逆にのんびりとこれからの人生を楽しんでもらえたらと思います。
卒業、おめでとうございます!
ラストには集まったファン、ひとり一人と握手をして、楽しい時間を過ごしてくれたことの感謝を表していたジェシー。最後の最後まで、相手を慈しむ優しい女神のようなAV女優でした。
(取材:麻雅庵)