引退を発表し、惜しまれながらもAV女優としての活動を終える美咲結衣さん。その記念として、4月1日から10日まで川崎ロック座で最初で最後のストリップ挑戦が行われています。
今回は引退公演直前に行われたゲネプロダクションにお邪魔をし、今の心境を包み隠さず語っていただきました。
生年月日:1989.11.24
T156cm B90W54H86 血液型:A
出身地:東京 趣味:料理、着物、登山
『美咲結衣、AV引退を記念してストリップデビュー!公演目前の結衣ちゃんが揺れ動く心境を告白!!』
── 初歩的な事からお伺いして恐縮ですが、美咲さんはAVの方は引退されてるんですよね?
美咲 実は引退を発表してから駆け込みでドグマさんからオファーをいただいて、その撮影が4月にあるんです。それに4月には写真展もやりますので、4月末くらいまではAV女優・美咲結衣のままですね
── AV女優として10年以上活動されておりますけど、その中で一番印象に残っている現場や出来事はありますか?
美咲 デビューして12年ですねえ。思い出は色々ありますけど、私にとっては月並みな話になりますが、やっぱりドグマが一番強烈でした
── ドグマはインパクトのある現場が多いとよく聞きますよね。拘束椅子トランスのような特徴のあるシリーズで有名ですが、特にこれという作品はありましたか?
美咲 レズ作品の責めをずっと任せていただいていて、私が固定で相手が変わるという内容で何本も出演させていただきました
── ドグマは特に作品のクオリティにこだわるメーカーなので、そのレギュラー作品の軸に選ばれるというのは、美咲さんが相当信頼されているという証拠ですよね。それにフィスト物など、何かあったら大変なリスクのある内容も多かったじゃないですか
美咲 そうですね、ドグマには私を信頼して、任せて貰っているなという感じがずっとありました。そのお陰で大きな自信を貰えました。AV女優として、人として、信用して貰えている、必要とされているというのは、安心感になりました。この業界で生きる自信が貰えたという感じなんです
── ドグマ現場が人の人生を助ける!
美咲 毒でもあり薬でもあるメーカーですからね(笑)。最初は私が責められてメチャクチャにされるという内容で何本かやりましたけど、気付いたら責める立場になっていて。自分ではあまり自覚は無かったんですけど、ドグマさんを含めて周りの人達には、女の子を責める時の方が生き生きして見えたんだと思います(笑)
── 責めるのと責められるの、どちらがお好みでした?
美咲 自分としてはどちらの立場でも楽しんでやれていたんですが、より素の自分に近いのはレズ作品で女の子を責めてる時かなと思っています。実は私は引っ込み思案で、自分が主役でセンターに立つという役どころが苦手なんです。だからセンターにいる主役の女の子を、どうすればもっとキレイに見せられるかなとか、この子の良いところや可愛いところはどこなんだろうとか、相手の魅力を引き出そうと考えている時の方が、自然な私なんですよ。そういう性格なので、2番手くらいで扱って貰える方が気持ちが楽だし、力が発揮出来るのかなと思っています。それってAVでもプライベートでも同じで、AVをやって改めて自分でそれに気付きました。AV業界では仕事人とか職人なんて言われてましたね(笑)
── それは最高の賛辞ですね。そんな仕事人の美咲さんがストリップに出会ったキッカケは何だったんですか?
美咲 ストリップは、5~6年前にプロレス物のAVで共演した前田ののちゃんと仲良くなって、2人でお茶をするような関係になって、時々『ねえ、なんでストリップやらないの?』なんて言われるようになったんです。そんな感じで3回くらい誘われていて
── そういう誘いを受けるという事は、前田さんから見ても美咲 この子はやれるのになぜやらない?という直感があったのかもしれませんよ?
美咲 まあ……でも、その時の私が持っていたストリップへの印象というのが正しく無かったんですよね。踊りの先生やお姐さん達がいて厳しそうだし、私にはAVと両立させるなんて無理だろうな、失礼な事になってしまうなって。よく知るAVとは全然違う空気感を感じるので、やってはみたいけどAVの方で忙しくさせて頂いていたので、今は難しいなって。ののちゃんもメチャメチャ忙しそうにしてましたし。ただ、頭の片隅ではいいなあって思ってはいたんです。何度か観に行った事もありましたし
── 最初はどこでご覧になったんですか?
美咲 だいぶ前なんですが、確か川崎だったと思います。ののちゃんも私が知る彼女ではなくて凄くかっこ良かったし、他の踊り子さん達も表現している世界観が自由で、憧れの気持ちはありましたね
── 今回のストリップデビューの直接のキッカケは何だったんでしょう?
美咲 昨年9月に引退すると表明した後に、プライベートでののちゃんに会う機会があって、そこでトドメとばかりに『このままストリップに上がらないまま引退しちゃうの?』って(笑)
── のの姐さんこだわるなあ、ものすごい猛アタックじゃないですか(笑)
美咲 何でそんなに私にこだわったのか分からないですけど(笑)、とにかく『もったいないよ!』と言われて。『もう美咲結衣の名前も使わなくなるんでしょ? その前に絶対に乗った方がいいよ!』って、とても熱のこもった感じで言われたので、そんなに言って貰えるならと少し考えたんです。彼女が言うように、この名前ももう使わなくなるだろうし、こういう活動も出来なくなると思うんですね。じゃあ今やるしかないのかって。最後のお仕事として、クラウドファンディングで写真集を撮ったり、最後のAV撮影が入ったりバタバタだったんですけど、やってやれない事はないかなと無理やり詰め込みました
── のの姐さんイチオシの新人という事になりそうですけど、ダンス歴などはあったんですか?
美咲 むか~~し、子供の頃にちょっとバレエをやっていた経験はあるんですが、本当にちょびっとかじっただけなので、今は跡形もないです(笑)。だけど、何となく踊ることは好きだと思ってます。後は中高の頃に演劇部に入っていたんですが、劇をやらない時はダンスをやる事があって、そこで踊っていた程度です。専門の厳しいレッスンを受けたという経験がないので、完全に素人ですね。それをののちゃんにも言ったんですよ、私全然踊れないよって。そうしたら『うん、全然踊らなくて大丈夫。上手く踊ろうなんて思わなくていいから』って(笑)
── ストリップなのに踊らなくていい!
美咲 彼女が言うには『結衣ちゃんはデビューなんだし、観に来るお客さんも上手に踊る結衣ちゃんなんて求めてないし、音楽に合わせて身体を揺らして動いてれば大丈夫だよ』って(笑)。そんな訳はないだろと思うんですが、お陰で気軽な気持ちでチャレンジしても許されるのかなって気持ちになれて、敷居を跨がせていただく事になりました
── なるほど、ストリップに対して美咲さんが芸事の厳しい業界だと思ってたから、それを緩めたんですね、凄いなのの姐さん!
美咲 でも実際に始めてみたら意外で、もっと劇場の方達から提案があるものだと思っていたんです。演目を作って貰ってそれをやるみたいな。それが言葉は悪いですけど思った以上に丸投げで。『使う楽曲を選んだら振り付けを考えるから連絡してね』とだけ言われて(笑)。何曲使うのかとか、何分踊るのかとか、あまりカッチリ決まってないんですよ。『だいたい3~4曲かなあ』とか『尺は全体で16~17分くらいかなあ』とか。
それで何をやっていいか困ってしまって、何度か川崎ロック座に通って、お姐さん達のステージをお勉強させていただいて、気になるところを全部紙にメモして覚えました。場面転換のタイミングや、衣装を脱ぐ流れとか、踊りの特徴とか。このお姐さんはこういう楽曲で出て来て、何分の時に衣装をこう脱いで、何分で前の盆まで出て来て……って、私なりに調べて自分の演目の流れを決めましたね
── そこまで熱心に研究してデビューした新人って珍しいと思いますよ
美咲 ののちゃんなんかは『好きにやりたい事をやればいいんだよ』と言ってくれたんですけど、その好きなやりたい事が分からないから(笑)、最初はそれこそが難しいというか、逆に悩みました。意外と私って型にハメられた方が動きやすい人間なので、全部自由にと言われても、感覚だけで全部やれるって事ではないみたいなんですよね。だから自分のデビュー演目を考え始めた時はそこに戸惑いましたね。自由にってなんだろうって
── 最終的にどんな内容になったんですか?
美咲 楽曲を決めて、衣装は和服で赤い着物で踊りたいなんて要望を出して、スタッフさんに文章にして送りました。そうしたら『和装なら雅麗華先生だね』と紹介していただいて、麗華先生が振り付けを担当してくださいました
── ロック座のリビングレジェンドがデビュー演目を担当してくれたんですね
美咲 最初に麗華先生のダンス教室に2回くらい行かせていただいて、踊りの基礎を教わりました。その後に振りを付けていただきました
── デビュー公演で見て欲しいところはありますか?
美咲 自分が好きな楽曲を選んだので、全部を見て欲しいです。着物でジャズを踊るという組み合わせなんですけど、「引退はするけど、みんなの前から消えるわけじゃないよ」という思いを込めました。私をずっと応援してくださったファンの皆さんに、この気持が伝わったらいいなと思います
── 今後の活動について決まっている事はありますか?
美咲 次に、AV女優を辞めてやる事は決まっているんですけど、周りの方達には『本当に辞めるの?』と言われ続けてます。仲の良いお友達に踊り子の先輩が多くて、たとえばみおりん(みおり舞)とか、椎名アリスちゃんとか、熊野あゆちゃんとか。みんなが口を揃えて「結衣ちゃんが乗ると決めたんだったら一度だけじゃもったいない」と言って来るんです(笑)
── のの姐さんだけじゃなかった!
美咲 今はやりたい事が他にあるから、コンスタントに踊り子としてというのは無いと思うんです。だけど人に見られる仕事を12年もやってきた自分が、突然オフィスに通って普通にお仕事をして、それで自分らしくいられるのかなという疑問はちょっとあるんです。だからこそやってみたいんですけど、お客さん達の前に出られる場所が恋しくなったらどうなんだろう……。そういう時にロック座にチャンスをいただけたら、また乗らないとは言い切れないかもしれません
── 第二の人生で普通のお仕事をしてみて、それに疲れたら第三の人生で戻ってくるかもしれない?
美咲 引退宣言して言うのも申し訳ないですけど、正直に言えばありえますよねそれ。周囲の方達に言われるんです。『ストリップは技術さえ身に付けば何歳になっても出来るよ』って。それに自分の性格をよく知ってくれている人には『ストリップ業界の空気にハマっちゃうんじゃないの?』とも。『演目を作って10日が終わると、結衣ちゃんの事だから何か掴めて来て、そこで終わってしまうのがもったいないと感じると思うよ』なんていう事も言われています
── 美咲さんは現在進行系で何がどうなるか悩んでいる真っ最中なんですね
美咲 練習でどれだけ上手にやれても、実際にステージに上がってお客さんの前に立ってみないと分からない事が多いですし、今はドキドキで胸が張り裂けそうです。一応、AV女優は引退、この芸名もここで終わりというつもりではいます。ただ、不誠実だと思いますけど、気持ちが乗ってしまったら、自分でもどう判断するか分かりません。もしストリップに未練が出てしまったら、少なくとも美咲結衣の名前は残しておく事になりますよね。AV女優ではなくなるけど。とにかく今は未知数ですね。明日のデビュー公演以前に、今これからゲネでちゃんと踊れるかも心配なので、1~2ヶ月先なんて未来は分からないです(笑)
── こんな迷ってるど真ん中のタイミングの取材で申し訳なくなって来ました。公演が始まって2日目くらいに「どう?」と聞くのがちょうど良かったかもしれませんね。最後にファンの皆さんへ言っておきたい事はありますか?
美咲 12年もAVをやって来た私なので、この後も好きな事を好きなだけやっていると思います。そんな自分なので、ファンの方に応援されてストリップが楽しくなってしまったらちょっと……『この場所いいかも、3ヶ月に1回くらい呼んで欲しい』なんて思っちゃうかも(笑)。周囲のスタッフや友達だけじゃなくて、ファンにも聞かれるんです。『本当に一回だけ?』って。だけど女ってそういうもんじゃないですか(笑)。人生の選択肢にちょっと余裕を持たせておきたい。AV女優は辞めるけど、楽しい事や気持ちいい事に争っても仕方ないと思うんです
── ファンが舞台で踊る美咲さんを見て、応援してくれて、気持ちが乗ってしまったら、後はもうどうなるか分からないと
美咲 そうですねえ、私はみんなでひとつの物を作るのが好きなので、みんなには『結衣ちゃんの性格だと浅草の舞台に上がったらおしまい(抜けられない)だよ』と言われています。浅草の舞台はお客さんとして観ているだけでゾクゾクワクワクするんですよ。それを知ってか、最初ののちゃんは『浅草乗ったら?』と言って来ていたんです。そんな簡単じゃないだろと思いましたが(笑)。こんな私なので、これからも感じるままに生きたいと思うので、まず4月1日からの10日間を楽しく気持ちよく過ごしたいです!
当初は「AVを引退する記念に1回だけ上がる」というお話でしたが、話を聞いてみるとこの先の事は自分でも本当に分からないという状態でした。
ただ、話の中に何度も登場した前田ののさんら先輩の踊り子だけではなく、振り付けを担当したロック座のリビングレジェンドである雅麗華先生も、ゲネ終了後に美咲さんをこのように評価していました。
「最初に私の教室に2回来て貰ったんだけど、出来ないなりにでも最後まで私に喰らい付いて来てさ。しっかり着いて来ようとしてたよ。あの子はいい根性してる。今日のゲネも新人として考えたら素晴らしかったよね。よく練習して来たんだなって伝わって来た。私が見て来た新人の中でもデビュー公演のゲネとしてはトップクラスの完成度だと思うよ
美咲さんの人生なので、あまり無責任な事は言えませんが、ここまで周囲のあらゆる人間に認められ、惜しまれている事こそ、美咲結衣の類まれな才能ではないかと思います。
「作り手」としての欲求が抑えられず、このまま踊り子として定着してしまいそうな雰囲気が漂っていましたが、ここまでポジティブで幸福な “引退詐欺の予感” を感じた事はありません。
おそらく踊り子としても得難い才能を持っているはずなので、ぜひ皆さん川崎ロック座にお越しになって、踊り子・美咲結衣を気持ち良くしてあげてください。その結果によっては、彼女は本当に人生の設計図を書き換えてしまうかもしれません。
(協力:浅草ロック座 )