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日本の失われたわびしさがにじみ出るような世界…男のアソコではなくカメラを握りしめ風俗街を歩き続ける元風俗嬢〜紅子の色街探訪記vol.28・大阪西成

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今年で5回目の大阪西成

飛田新地の最寄り駅である動物園前駅周辺には旅行者も利用できる安宿が多くあります。
2,000円〜3,000円程のユースホステルに宿泊し、少しでも旅費を節約していました。
ですが、西成は労働者のためのドヤ街です。
私のような女が歩いていると通りすがりに

「お前みたいなやつがここに来るな」
と怒鳴られたこともあります。

いきなりのことに戸惑いもありますが、それは当然のこととして受け止めています。
この地域はさまざまな事情を抱えて暮らしてる方がほとんどです。
安易にカメラを向けることはできません。

30年前に釜ヶ崎を歩いたときには、まだ違法なビデオテープなどが売られていたり、野良犬の姿もありました。
人だけではなく、犬までもが顔つきが違うことに驚き、まるでアジアのダウンタウンを彷徨っているような気持ちになりました。

そのころ私は吉原のソープ街で働いていたので、大阪から仕事で来たお客さんに釜ヶ崎のことを話しましたが普通のサラリーマンはこの街の存在を知りませんでした。
ネットもない時代、それだけ釜ヶ崎は特別な場所だったのかもしれません。
動物園前駅から飛田新地までの道のりも、日常とは切り離されたような空気漂うアーケード商店街が広がっています。

居酒屋で覚醒剤を売るな!

と書かれた物々しい看板がこの街の現状を伝えています。
昔ながらの銭湯萬盛湯を過ぎたあたりには「理容メガネ」の看板が並んでいました。
まるで漫画家つげ義春の「ねじ式」の世界です。
ちくしょう目医者ばかりではないか」というセリフが頭の中にこだましました。

早朝5時過ぎに歩いたときには労働者の方なのか、布団を片手に歩く男性の姿もありました。
今は中国カラオケの店も多く、午前中から商店街は演歌が響きわたっています。

この街には日本の失われたわびしさがにじみ出るような世界がありました。


紅子10代で売春婦となり吉原、川崎堀之内、歌舞伎町、など関東各地の風俗街を13年以上転々。現在は色街写真家として、風俗街、赤線、遊郭跡地などを訪れ、日本の性文化を記録する。過去の風俗体験を語る『紅子の色街探訪記YouTubeで配信中。
2023年12月写真集「紅子の色街探訪」出版。
現代を生きる私たちに何かを伝えてくれているかのような場所…男のアソコではなくカメラを握りしめ風俗街を歩き続ける元風俗嬢〜紅子の色街探訪記vol.27・飛田新地の歴史を今に伝える「飛田会館」
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