── なるほど。それに気が付く前の川上奈々美という存在は、どうアダルト界に接していたんですか?
川上 2015年からトリプル専属(アリスJAPAN、アタッカーズ、アイデアポケット)になったときは「トリプル専属なんていままでないよ」って言われたんですけど、撮影現場が好きじゃなかったので、どんどん苦しくなってきたんです。これじゃダメだなと思って、無理矢理、感情を入れ替えました。
── どう入れ替えましたか?
川上 すべての怒りや、喜びや、気持ちよさや、痛みを快感に変えようとしました。「この世界に来て、今日、脱いでいる私はチョ~気持ちいい!」みたいな(笑)。全部を快感に変えてやろうと思って臨んだんです。そうしたらいい方向に転びだしました。
トリプル専属になる前は引退しようと思ってたので「最後だし、気持ちいい思いで辞めてやろう」って思っていたんです。もう、捨てるものも、隠すものも、なにもなくなって「もう、エエわ! なるようになるわ!」って思っていたら、いい開放感が出て、作品の数字にも反映されて楽しくなってきました。そこから恵比寿マスカッツにも出て知名度も上がってきましたし、「認められた! やっと私、認められたんだ」って思いました。
── それまでは認められていないと思ってたんですか?
川上 はい! 売れていなかったので……。私の理想が単純に高すぎるんです。売れていたのかもしれないし、大型新人という触れ込みでデビューさせてもらったんですけど、自分は全くそこに対してよしと思っていなかったんです。いま思うと、求めていた世界じゃなかったんでしょうね。意地でも売れたいっていう気持ちしかなかったです。
── 当時の川上さんを見ていると、確かにそのギャップは感じました。引退作はどういう作品を撮るんでしょうか?
川上 普通がいいです。すごくクオリティが高いドラマ作品を撮って終わりたいです。何十人もファンを集めてとかの作品はないです。前はバラエティ的な作品にも出たかったんですけど、私のいる場所はそこじゃないのかなって思ったんです。
でも、やりたくてもそういう作品はできなかったから、こうやって言っているのもあります。つまり、やりたいんですよ(笑)。
── 今後、アダルト業界出身ということでぶつかる壁があると思うんです。これは「頑張ればいい」とか、「偏見を気にしなければいい」とか、きれいごとではなかなか片付けられないことなんです。その壁を川上さんはどう越えていきますか?
川上 私はいままで自分が壁を作ってきたことに気が付いたんです。いろんなアダルト関係者と同じで、私も世の中をすごく斜めから見ていたんです。「どうせ……」っていうことがずっとあったんです。
アダルト界に依存していたんです。だから、とりあえず動いてみようって動き始めたんです。そうしたら、とんとん拍子でいろいろ仕事が決まったから、自分の気持ちが大きいと思います。
── 外部からの直接的な偏見は感じませんか?
川上 偏見の目で見られることはあります。下品なことを言われることもすごくあります。でも、すごく厳し言い方をすると、自分の見せ方が足りないんです。舐められちゃっているんですよ。「舐められたくない」という表現はどうかと思いますが、舐められたくなければ、自分で知識を入れて、容姿も姿勢もアプローチもしっかりして、相手と真摯に向きあっていると、「この人にはこれを聞いちゃダメだ」ってなってくるんです。
あと、他業界の人に「AVやっているんだって? 俺とやろうよ!」って絡まれると、「え~、マジですか。じゃあ、これ(お金)下さい」っていうユーモアを身に付けました。私も私で、それを楽しんでいるところがあります。
それを周りの方が見ていて、「しつこい人だね。大丈夫?」とか、「川上さんの対応は素晴らしいね」って言ってくれて、また、お仕事に呼んでくれるんです。ユーモアをすごく身に着けたかもしれないです。
私のやっていることは間違いじゃないし、素晴らしいことだから、それを信じてユーモアを交えたり、スカしたりして、表には感情を出さず、俳優として真摯に、しっかりと人と関わっていきます。
── そういう意味ではアダルト業界引退までの1年間、アダルトの仕事に誇りをもって挑めますね。
川上 ストリップは見れば変わるし、来れば変わります。来てもらうまでは私たちの努力でしかないから、それは今回のツアーで動いています。絶対、見ている方にいっぱいあげるものがあるから!
── まだアダルト業界引退までには1年以上ありますが、今後も活躍を期待します!
生年月日:1992年10月14日 身長:160 スリーサイズ:B79・W57・H80
血液型:AB型 好きな食べ物:牛タン 好きな場所:お花屋さん
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