連載開始時から話題沸騰! 2022年2月にアダルト界から引退する川上奈々美ちゃんが毎月、様々なセクシー女優と真剣勝負の対談を敢行! 人生の酸いも甘いも嚙み分けた奈々美ちゃんが気になるゲストを呼び、今後の人生設計やプライベート話をガチンコで聞き出すのだ。
第3回目のゲストは事務所の後輩である八木奈々ちゃんを指名。尊敬する大先輩を前に緊張する奈々ちゃんだったが次第に打ち解け、内容はアダルト話のみではなく人生の深い話にまで広がった。15,000文字に及んだ、人生のぶつかり稽古をご覧ください!
▼前回の対談はこちら!(ゲスト:神咲詩織)
川上パイセンカウントダウン対談カウント8・前編!
── 今回で「川上パイセンカウントダウン対談」も3回目です。今回も川上さんの指名で事務所後輩の八木奈々ちゃんに来ていただきました。
八木奈々(以下、八木)すごく嬉しいです。
── 川上さんのイメージはどういうイメージですか?
八木 アダルト業界に入るまでAV女優さんは誰一人として存じ上げていなくて、有名な方やメディアで活躍されている方すら誰がAV女優さんか本当に分からなかったんです。川上さんのことも本当に存じあげていなかったのですが、デビュー前にお話をさせていただく機会があったんです。
川上奈々美(以下、川上)メーカーさんの忘年会だよね。
八木 失礼かもしれないですけど、その時、川上さんとお話しさせていただく中で先輩女優さんとしてではなく、一人の人として惹かれて好きになりました。
川上 嬉しい! 嬉しいよ!
八木 でも、あまりお仕事でご一緒したことはなくて、忘年会をきっかけにいろんな場所で少しずつお顔を拝見することはあったんです。直接お話しさせていただく機会は少なかったのですが、その忘年会でいただいた言葉や、浅草ロック座を観させていただいた時にお話させていただいた言葉がいまでも濃く記憶に残っています。すごく親しい間柄ではないので、川上さんの名前を出してSNSに書くのは失礼かと思い避けてきたのですが、これまでもイベントやSNS以外の場で「私は川上さんを尊敬しています。好きです」と、ずっと言い続けていたんです。
川上 そうなんだ!? それが私に伝わってきたのか。ファンが「八木ちゃんが川上さんのことを話していた」ってツイッターに書いてあって、私のことを話してくれて嬉しいって思っていたの。
八木 あと、マネージャーさんには川上さんの話もしていました。インタビューやイベントでの質問で「事務所内で仲のいい女優さんは誰ですか?」と聞かれるんですけど、私はプライベートで交流のある女優さんはいないんです。
川上 単体女優はみんなそうだよ。
八木 かつ、(人づきあいが)あまり上手ではないので一緒にいたとしても仲を深めることが得意ではないんです。だから、そういう質問をされた時に名前を出すのに迷うんです。
川上 迷うよね。私もデビュー当初は(仲のいい女優は)いなかった。
八木 その時に「憧れている女優さんで、過去にいただいた言葉を心に留めているのは川上奈々美さんです」と言わせていただいています。だから、今回、呼んでいただけてすごく嬉しかったです。
川上 浅草ロック座で会った時に「自分のままで自分のいまの限界を出せばいい」って言葉を言ったのは覚えている。
八木 川上さんからいただいた言葉をずっと覚えていて、それがいまのこの仕事を頑張れている理由の一つでもあるので本当に感謝しています。
川上 そうかあ、嬉しいなあ。
八木 その時、その時の悩みってあるじゃないですか。それに対してアドバイスするというよりも、川上さんは「私はこうだったな」って経験談から引き出しを一つ置いていってくれる感覚があって、それが鋭い中にも優しさがあり、受け取りやすい言葉でした。そういう意味でも今日は色々なお話が聞けるのを本当に楽しみにしていました。
川上 言葉を選ばずなんでもいいよ(笑)。
八木 川上さんはAV女優としても有名ですし、いまも多くのドラマや映画に出演されている女優さんの印象なんですけど、デビュー当初からお芝居をやろうと決めていたのですか?
川上 演技に興味があったわけではないし、芝居をやろうと思っていたわけでもないの。この業界に入る時に「役者はおばあちゃんになってもできる仕事だよね」ってポロっと言われていたの。
本当は小中高とバンドをやっていて音楽をやりたかったの。でも、デビュー3作目でドラマ作品を撮った時にDVDを観たら、自分の芝居がめちゃくちゃ下手だったの。私は理想を高く抱くし、できないことをできるようにしたい負けず嫌いな性格だから、芝居をできるには何をしたらいいか考えたの。
舞台に出れば360度から観られて、イヤでも芝居ができるようになるだろうって考えて、やりたかったわけではないけど、自分の弱点を消したかったから芝居を始めたら「才能があるね」、「お芝居ができるね」って言葉をもらい、自分の特技を見つけたかもと思ったんだ。私は自分の特技を見つけるのが早かったのかもしれない。でも、デビューしてからの7年間は役者一本でやっていくとは全く思っていなかった。
八木 そうなんですね。
川上 AV業界は歌もAVもストリップもマルチにできたし、恵比寿マスカッツもできて地上波に出られたから、この状態でいろんなことをやっていこうと思っていたの。でも、ある日、これは同じことの繰り返しじゃないかなって思って、それが好きじゃなくて他の活動を削っていったんだよね。
そこで、自分の特技と言われ、最後までやりたいかもしれないお芝居が残ったの。ドラマの『全裸監督』がきっかけで名前が広まって、周りからの期待もあったからお芝居一本でやろうって、つい2、3年前に決めた。
そんなにすぐに方向性は決められるものじゃないし、挫折や悔しい思いをしてからじゃないと自分を掻き立てられないし、けじめをつけられないし、覚悟ってなかなか決められないんだよね。
だから、覚悟を決めるって言っても絶対に決められない10年間だったの(笑)。このままじゃいけないって思う時が来ると思うし、そこを誰よりもアンテナを張って時間を大事にするかで次が変わると思うの。
八木 でも、次を考えていた時間は数カ月ではなくて数年ですよね。次のステップを考えるのは本当に難しいですよね。今回、AV女優を引退して完全にお芝居の道に行くという決断もいままで積み上げてきたものを手放すじゃないですけど、これから大きく環境も変わりますよね。その決断に至るまでのこの数年間はやっぱり不安でしたか?
川上 不安だよね。でも、それを乗り越えたくない? 八木ちゃんも負けず嫌いでしょ?
八木 そうなんです。小中学校の時から負けず嫌いで、勉強でも絶対に1位を取りたかったし、点数や資格などの言葉ではない視覚的な評価が欲しかったんです。1位になれなくても自分の精一杯を目の前のことにあてていました。例えば学校の授業で言うと、家で次の授業で習う項目を事前にノートにまとめて、分かった状態で授業を受けていたんです。ズルいんですよね、私。