「世間知らずのまま、東京に行かせちゃってごめん」
川上 私は最近、親と和解したんです。誰かが言っていたんだけど、こういう仕事をしている親子の関係がよくなる一つの儀式があって、親が子どもに謝ることなの。私はこの10年間ずっと私に謝ってよって思い続けていたの。親に見返したいと思っていて恨みつらみしかなかったの。
最近、電話で私の10年間の出来事を全部話したら、「世間知らずのまま、東京に行かせちゃってごめん」って言われたの。それを言われて、「どうしてその言葉が10年間もの間、聞きたかったんだろ」って思うと同時に、「親に言わせちゃった」っていう感覚がわいたの。
でも、その言葉を言われただけで全部まっさらになったし、親に言わせる必要性もないって思った。どこかのタイミングで親とは交わえるから、それに対しての希望は抱いていていいと思う。血のつながった家族だし。
生田 母親からは謝りのメールも来ているし、電話がめっちゃかかってきた当時も「ごめんね」って言われているんですけど、結局、何日か経つと「やっぱり考え直したんだけど、早く帰ってきて、いつ仕事は辞めるの」って堂々巡りで元に戻るんです。
だから、「変わらないんだな」って思うし、謝られても上からだし、親が信じられなくなっちゃったんです。
川上 そういうことかあ、ツラいねえ。
生田 父親は私のことを第一に動いてくれるので、片方が味方してくれるからまだましな方かと思っているんです。だから、実家に帰れないことも不安材料で、引退することもできないんです。
川上 帰る場所がないからかあ。それって健康的な考えじゃないよね。親の言うことは全部聞いている感じなの?
生田 前は聞いていました。だから、初めて歯向かった結果、いまがあるんです。
川上 歯向かい続けていいと思う。それでいいよ。子どもに親は育てられることもあるし逆もあるし、家族だから離れることはないから当たりたいだけ当たればいいと思う。母親の子どもなんだから、いくらでもぶつかった方がいいと思う。「いろいろ言っちゃったな」って後悔する必要はないと思う。
コントロールできないくらい、いろいろと言うことは必要だと思うな。気を遣っていたらいつまでたっても本当の自分は出てこないし、本当の自分が出てこないと自分を知れないし。
私が言うのもなんだけど心配することはないと思う。家族は絶対に一番のサポーターだから。切っても切れないから。いまの母親とのけんかはお互いに必要なことだと思うから、向き合える時に向き合って、向き合えない時には逃げていけばいいと思うし、家族と自分にはワガママになればいいと思う。
生田 家族はそれでいいんですけど、撮影現場ではなにかトラブルがあると仕事がもらえないかもしれないから、あまり目立つことはするなって感じなんです。
川上 仕事がもらえなくなったら不安かな?
生田 不安です。
川上 その先に目標があれば不安じゃなくなるよ。
生田 おおお!
川上 失敗しても「OK、大丈夫、次やればいいから」って考えれば、すごくいいパフォーマンスができるよ。