「なぁさんのスター性に気が付いたし、誰からも愛される人だなぁと知るほどに思うの」
――テレビを通しての共通点はたくさんある2人ですが、そもそもの出会いはなんですか?
川上 映画関係者の忘年会か新年会で内田(英治)監督や窪田(将治)監督に紹介してもらった。でも、なにをしている人かは分かってなかった。
灯 その頃は役者をメインでやっていたと思う。
川上 でも、そうしたらインスタグラムをフォローしないと思う。
――それは役者同士だからですか?
川上 うん。
灯 あはは(笑)。
川上 ハッキリ言うでしょ。
――制作者側の人でないとフォローしないんですか?
川上 そう(笑)。
灯 繋がりを作りに行く場で、友達を作りにいく場じゃなかったんだよね。すごく分かるよ。しかも、ああいう飲みの場にいるのはほとんど役者だったし、とっかかりがないと、その他大勢として見ちゃうよね。
川上 確か内田監督に「面白い子」だって紹介されたと思う。
――灯さんは川上さんをご存じでしたか?
灯 正直、全く分からず。
――AV女優ということも知らないわけですか?
灯 全く知らなかったです。だけど、二次会の席でたまたま隣になって。
川上 私は記憶がないの。
灯 その時に私は失言をしたんですよ。
川上 なんて失言をしたの?
灯 いやだから、その時のことは覚えていなくて大丈夫(笑)。
川上 なに? 改めて聞くよ(笑)。
灯 (ためらいつつ)・・・以前ね、ツイッターでバズった向井藍ちゃんのかわいい写真を見たことがあったんです。だから、AV女優さんと言われても向井藍ちゃんしか知らなくて、ミーハーに「向井藍さんに会いたいっす」みたいなことを言ったの。
川上 よく覚えているね。
――目の前に川上なな実(当時、奈々美)というAV女優がいるにもかかわらず、別のAV女優に会いたいって言ったことを反省しているんですね。
灯 そうなんです。
川上 あはは(笑)。結構、お互い自分の失言を覚えていて、気にする方だよね。
灯 だね(笑)。相手に言われてもあまり気にしないけど、「あの時、言わなければよかったな」って自分の失言は覚えているんです。もう2年も前の話。でも、その後はなぁさんのスター性に気が付いたし、誰からも愛される人だなぁと知るほどに思うの。フォローじゃないよ。
――灯さんはAVという存在は知っていたんですか?
灯 業界的にはなにも知らないですけど、芸能界は身近だったので、AV女優さんの存在はAVを観て知るよりも、タレント業をしている姿を見て知りました。あと、大学生の時に電車の中で、ある一作のAVをめっちゃスマホで観ていました。
――どういうことですか!?
灯 『明石家サンタ』で取り上げられてたAV女優さんがすごくかわいかったんです。気になって調べたら、その人が出ている『出会って〇秒で・・・』みたいなタイトルの動画を見つけて。全裸の男の人が発砲スチロールの壁を突き破って登場し、そのまま挿入する作品、その奇天烈さが面白すぎました。
川上 私もその作品に出たことあるよ。
灯 マジ!?(笑) それを疲れた時や、気分が落ち込んだ時、移動中などの隙間時間に見ていたんです。好きな漫才動画を見て、元気を出すのと同じ感覚でした。
――性的な欲求ではなくて?
灯 性的な欲求ではイマイチ見方がわからなくて、お笑い欲求で観ていました。あんなブッ飛んだことを大人が真面目にやってるのが面白かった。日常の小さな悩みが馬鹿らしく思える。子供時代は性に関してはどちらかと言えば怖いものというイメージがあったかもな。
川上 AVの存在が?
灯 性・セックス全般がです。
川上 そうなの? どうしてだろう?
灯 子どもにとっては禁忌とされて、可視化されないものだからかな。
川上 なにかきっかけや変な洗脳があったんじゃない?
灯 親からはなにも言われていなし超放任だったけど、なんでだろう。
川上 学校の教育じゃないの?
灯 逆に学校は、そういうことをなにも話してくれなかったよね。
川上 そうだね。私たちの時代は話さなかったかもしれない。
灯 怖いとか、いかがわしい印象だったのは、セックスが性犯罪に直結していて、ニュースの事件で見るものだったからかもしれない。
川上 それで影響を受ける人もいるよね。
灯 だからこそ、さっき話したAVで出演している女優さんが笑いながらしていたことは、予想外のポジティブな奥行きに感じられたんだよね。もちろん演出なんだけど、犯罪やいかがわしさ以外のセックスの側面を初めて見た気がした。
川上 なるほど~。