「私たち2人はテレビっ子なんだよね。テレビっ子のノリってあるよね」
灯 なぁさんも小説を書いたじゃない。
川上 書いた。
灯 それは書きたいという衝動に駆られて書いたんじゃないの?
川上 違うね、違うんだ。私はとっても文字が大嫌いなの。
灯 えっ、そうなの(笑)?
川上 国語の授業は赤点でいいと思っていたから。文字に対して中指を立てていた。
灯 過激派だ。
川上 苦手というよりも嫌いだから。白黒はっきりつけたくて、結構そういうものが多かったの私。
灯 えっ!? 理系なの?
川上 数学が大好きだったから、数字だけ見ていたいと思っていた。
灯 意外だな。
川上 国語と社会は赤点でいいと思っていて、わざと勉強しないで赤点を取っていた(笑)。
灯 でも、国語力がないと数学の問題文も理解できないよね? 単に、テストが嫌いだったのかな。
川上 国語のテストって物語の長い文章が書いてあるでしょ。「これはなにを指しているでしょうか?」っていう設問のために。でも、その物語を読むのが大嫌いだったの。映像を観るのは大好きだけどマンガすら嫌いで、文字を見ることが私にとってまどろっこしくて、すごく時間がかかる行為だったの。
灯 あ~、私も活字嫌いだから、それは分かる。でも、父が週刊誌の記者だったから、自宅に毎週、女性誌が届いてた。それが私の唯一の愛読書で、だから小学校1、2年の頃の作文では、よく体言止めを使っていた(笑)。
川上 文章テクニック使っているじゃん。
灯 自然とコラム記事ばっかり読んでたからね。なぁさんはどういう本に触れてきた?
川上 最近、高畑充希さんがヘレン・ケラーを題材にした舞台『奇跡の人』を観に行ったら、このマンガだけはちゃんと見たなって思った。昔、お兄ちゃんや友達から「あれをやれ、これをやれ」って言われることが多かったの。『Mr.FULLSWING』や『BLEACH』や『世紀末リーダー伝たけし!』を読めって言われてすごくイヤだった。
だから、マンガや文字が嫌いになったのかもしれないけど。そこから全く本を読まなくなって、この世界に入ってから吉田豪さんの『サブカルスーパースター鬱伝』と石田衣良さんの『娼年』を読んで、その2冊だけはめちゃめちゃハマったの。
灯 それは自分の世界と近いからかな?
川上 そう! 近いから共感した。そこからサブカルにハマり、リリー・フランキーさんやみうらじゅんさんが書いている本は全部読んだ。
灯 なぁさんは「サブカル女」なんだよねぇ(笑)。
川上 そう(笑)。だから、死の話や自殺願望の話や、そういう話をずっと「分かる、分かる」って読んでいて、重い話をしているのにすごくあっけらかんとしていることに感動して、「私もこうなりたい。私もリリー・フランキーさんになりたい」って思ったの(笑)。
灯 全然、路線が違うけど、そうだったんだ。でも、役者もやりつつ、ものを書いたりしている部分は重なるね!
川上 リリー・フランキーさんがなんでもやっている人だから、私も両立したいと思って、「絶対にリリー・フランキーさんに会えるように頑張るんだ」ってずっと言っていた。そうしたら『全裸監督』で会えたの。
灯 役者としては結構早く願いが叶ったわけだ。
川上 そう! それで、私たち2人はテレビっ子なんだよね。テレビっ子のノリってあるよね。
灯 分かるかも。何事もエンタメベースで物事を捉えている感じ。映画より先にテレビを好きになっているし、なかでもお笑いに最初にハマっているのも共通点だよね。小学生の頃、お笑い第5、6世代のブームがあって、『笑いの金メダル』、『エンタの神様』、『爆笑レッドカーペット』、『爆笑レッドシアター』、『爆笑オンエアバトル』を全部録画していた。VHSを2台並べて、ネタごとにCMやトーク部分を切って編集して、編集するうちにネタを完コピしたり(笑)。あと私、その頃に漫才コンビを組んでいたよ。
川上 私もやっていた! 私は『めちゃ×2イケてるッ!』が好きだった。
灯 そうなんだ! 私は、土日のゴールデンタイムだけは、バラエティを見ていなかったんだよね。
川上 常にテレビが流れていたの?
灯 共働きの一人っ子で、遊び相手がテレビだった。
川上 ああ! そういうことね。
灯 1日7時間くらい観ていたかな。この対談自体が『ボクらの時代』みたいになっている?
川上 『ボクらの時代』が私はいちばん好き。
灯 出なよ!
川上 出たいよ(笑)。でも、ここ1年は日本のテレビを観ていないんですよ。
灯 また、この人は「日本のテレビ」とか言うんですよ(笑)。
川上 ここ1年間、アメリカの番組しか観ていない。