テレホンセックス の相手は何者か?
ある日、編集部員のKがこんなことを言い出した。
「少し前ですが、深夜に電話が鳴ったと思ったら、すぐに切れちゃったです。いわゆるワン切りってやつです。そんなことが数回あったんですけど、どうにも気になっちゃって架空請求を覚悟でかけ直してみたんですよ。すると向こうからは女のアエギ声が。それも録音されたものではなく、生のテレホンセックスだったんです。その後、請求書が届くようなこともありませんでした」
季節外れの怪談のようなノリだが、相手の声は、40代前後といった感じで、深夜だったこともあり、背徳感にムラムラして、思わず彼もテレホンセックスに付き合ってしまったそうだ。
男女の出会いといえば、テレクラだったのも今は昔。80~90年代にかけて全盛期であったが、不倫や援交の温床となり、規制が強化されて店舗数が激減。それに代わって出てきたのが、インターネット系のツールだ。
テレクラのように集客の地域格差もなく、自宅でも手軽にできるのが魅力。出会い系サイトはご存知の通り、男女の出会いを目的としているが、こちらもテレクラと同様、その弊害が指摘されるようになってきており、利用者にもモラルが求められている。
寂しさを埋めるために毎晩…
電話を使った犯罪などに詳しいフリーライターに、このワン切り現象について聞いてみた。
「ワン切りは、90年代後半に爆発的な流行を見せた現象です。音声ガイダンスなどを流し、不当請求や架空請求をするのが主なパターンでした。この場合、業者側が番号通知して、リダイヤルさせる手口でしたが、社会問題化し、規制強化でその数は激減したんです。ですが近年では、番号非通知のワン切りが増えているようです。目的は不明ですが、おそらく有効な電話番号のリストを作成するためではないかといわれています」
最近では、自宅番号を電話帳に掲載しない人も多いため、こうしたリストが裏で売買されているらしい。読者諸兄の携帯電話にも、よく分からないセールスの電話がかかってきたことがあるのではないだろうか?
さて、実際にテレホンセックスの相手から肉体関係になったというOさんの証言によって、どうやら実際にワン切りから出会いに発展するケースがあることも分かった。彼は独り身の寂しさから、思わず受話器を取ったのだ。ならば仕掛けた方の女もまた、同じように寂しさから声の温もりを求めたのではないだろうか。
そこでテレホンセックスを実体験した編集部員のKがこう提案した。 「電話は出てくれないので、今度はショートメールを送って連絡を取ってみましょう」
いかに自分が寂しい毎日を送っており、そんな中で電話で話すことができたのがどれほど嬉しかったのか。どうしてもあなたと会って話がしたい。別に危険な目に遭わせるつもりはないし、話を聞けるだけで構わない。
そんな熱いメッセージが功を奏したのか、数日後、相手の女性から返信のメールが届いた。
『こんなに熱心なメールが来るなんて思ってもいなかったので笑っちゃいました。あなたも私と同じだったんですね』 『あの日はとても楽しかったけれど、電話を切った後ですごく寂しくなったんですよね』
『私もそうなんです』
こういったメールの往復が何度かあった後、彼女は都内に住む独身女性であることが判明。さらに再三の交渉によって、実際に会う約束を取り付けることに成功した。
しかし、当然のことながらズバ王の取材であることは伝えていない。こちらの真意を伝えれば、その時点で相手の女性は殻に閉じこもって、もう二度とコミュニケーションを交わすことは不可能になってしまうだろう。
すっかり相手の女性に特別な感情を抱いているK。せっかく信頼を勝ち得ているのに騙すのは心苦しいだろうが、これも仕事なのだ。
かくして約束の日、待ち受けるKの前に現れたのは、一見すると真面目そうな雰囲気の妙齢の女性であった。
ーーー後編につづくーーー
(記事引用元=ズバ王)