ロック座出演中の川上奈々美にインタビュー!
いまやセクシー女優の枠を超え映画、ドラマなどで大活躍の川上奈々美ちゃんが今年も浅草ロック座に帰ってきた!
現在絶賛公演中の『PEACE LOVE ROCK VOL.3』(9月20日まで)。6回目の登壇となる今回のステージは「ロック」がテーマ。懐かしいロックナンバーにのり、踊り子さんがパワフルかつ妖艶な姿を見せてくれるのだ。
川上奈々美ちゃんは5景、8景に登壇。どのようなステージなのかを熱く語ってくれた。
今年の公演タイトル『PEACE LOVE ROCK』について
「昔、『PEACE LOVE』公演があったみたいですけどなくなったので、今回、新しい試みで“ファースト”、“セカンド”、“サード”という形でやっているんです。私は“サード”なので最終章の公演です。みんなで繋いでいくのもテーマなんです。
いままでは“ファースト”、“セカンド”しかなくて、『どちらが面白いか?』くらいの対決だったんです。でも、今回は“ファースト”がまゆ(南まゆ)、“セカンド”がかみしお(神咲詩織)、“サード”が私でバトンを繋いでいるので、そういう流れを感じさせたいんです。
コロナの自粛期間があり、みんな会えなくなって人との繋がりが恋しくなり、人との繋がりを大事にしたいよねって思いを伝えたいから、私の提案で今回の公演が始まったんです。
以前から9月にステージに立つことは決まっていたんです。本当はかみしおと二人での特別公演のはずだったんですけど、それは来年にしたんです。まゆが浅草ロック座でずっとトリを務めていたんですが、私やかみしおと特別公演を一緒にやったことがないから、今回、初めて“サード”という形でやろうとなりました。
私たちが出るときは振り付けが独特なんです。毎年、新しいものに挑戦させられているので、その女の子のスキルに合わせて挑戦させる課題を毎年、毎年、もらっているんですけど……。えーっと……、何から話しましょうか? 今回は思い入れがありすぎるんで。話すことがありすぎるんです。(笑)」
ステージのアイデアやダンスについて
「まずはロック座の社長から『今回は、まゆも一緒でいいか』って言ってもらったので、せっかくだからバトンを繋いでいこうって私が提案しました。5景の私がバーレスクの格好で踊るんです。カーテンの両端にまゆとかみしおの姿を映すことを提案したり、まゆとかみしおの魂を色に例えて、それを光で表現し踊りで使ったらどうですかと提案しました。
今回、ベッド(ストリップの一番の見せ場)を初めて自分で振り付けすることになったんです。6年目にして初めて自分で振り付けをするなんて、すごく甘やかされた踊り子なんですけど、回る前盆(移動する丸い舞台)に入る前に一度、二人の魂を飲み込んでから入ろうっていう振り付けを考えたんです。
一人でやってみて、いままでのベッドはベッドじゃなかったんだなって気が付きました。ベッドは職人技なんだなって思いました。全員で踊るダンスがそれほど得意じゃなくても、前盆に立った瞬間、スイッチが入る踊り子さんがめちゃめちゃいるんです。これは長い経験を重ねないとできないものなんだなって思い、今年はちょっとでもその域に近づけたらなと思って、4景の中トリの沙羅姐さんと矢沢ようこ姐さんのベッドを勉強したんです。お二人のように壮大で包容力のあるベッドにしようとイメージしながら、自分で振り付けを作ってみたんです。すさまじく大変でした。
ベッドは普通のダンスと全然、違うんです。使う筋肉も違うし、ゆっくりと動いているか動いていないかくらいじゃないとキレイに見えないんです。その、めちゃめちゃゆっくりした動きが、めちゃくちゃしんどくて、地味なポーズをやっていても筋肉がプルプルするんです(笑)。でも、それをやることでやっと踊り子のベッドに近づけたかなって思っています。
ロック座の会長が今年、亡くなって、6景の最後に会長の写真が投影されるんです。実は会長が、今回私が5景でやっているバーレスク衣装での演出を、ずっとロック座でやってみたかった思いがあったそうで、そそれを聞いたわたしが『じゃあ、やりましょうよ』って言って実現したんです。初日直前には舞台、ドラマ、映画で共演した階戸瑠李さんが亡くなったりもしたので、いろんな思いをのせてやりました」
聖地・浅草ロック座
「ここに来ると『違う人にならなきゃ、ちゃんとした人にならなきゃ』って思います。それは永遠と続くし、続かせないといけないと思っています。
ロック座もいい意味でも悪い意味でも変わってきているんです。私がロック座デビューしたあとに上原亜衣ちゃんがデビューして、特別ゲスト公演が続いて、踊り子ではない特別な演者さんが出てきたから、しきたりがちょっと乱れてきているんです。
社長は『もういいだろ』って言うんですけど、社長が『いいだろ』って言ったらダメなんですよっていう話で、礼儀や敬意があってこその芸事だと思うので、そこだけは本当に守っていかないといけないと思います。踊り子社会はすごく難しいんですけど、それでいいんだと思います。
でも、誰一人として見捨てない社会なんです。沙羅姐さんもどんなに大変な女の子が来ても何とかしてあげようってするので、その気持ちはすごいです。
私は今回、いつもよりも俯瞰から見ている感じがします。今回の公演は本当にみんなで作ったなって思っていて、裏方のスタッフさんを含めてチームワークがすごくいいんです。
今回は余裕が出てきたんですかね。いい意味での余裕だと思います。去年あたりから私の感覚がまるっと変わったんです。『あの人はこんなに頑張っていたんだ』、『あの人はこんなに裏でいろいろやっていたんだ』とか俯瞰で見られるようになりました。
今回、衣装を作ってくれたロック座の衣装さんもすごく細工をしてくれたんです。ゲネプロでブーツが脱げなかったり、いろいろとアクシデントがあるんですが、そういうときに『大丈夫です。明日までに全部チャックにして脱ぎやすくしておきますから』って言ってくれて、すごく大変なのに、次の日には『できました。きっと脱ぎやすいです』って気にしてくれていました。
ダンサーさんともいままで話をしたことがなかったんですけど、ダンサーさんのルリさんという方と一緒にベッドを考えたんです。毎年、私のダンスのブラッシュアップを一緒にやってくれるんです。
ダンスに対してもいままで体を酷使するひどいダンスをしていたなって思いました。力が入って緊張感丸出しでガチガチでやっていたので、伸びたり抜いたすることを心がけています。感覚的な話ばかりしていますね(笑)。
今回、1日4公演しかないので、全部、飛ばせるだろうと思っていたんですけどキツいですね(笑)。飛ばしすぎなのかもしれないです。あはは(笑)。
だから、ペースを考えています。体力は毎日、公演をやりながらつけるしかないです。自粛期間もあったので歌えないノドにもなったんです。歌っていないとダメですね。毎日、朝は発声しています。そんなこといままでしなかったけどしています」
熊本県の豪雨支援について
「マスクを1万枚送りました。ロック座が記事にしたから『マジかよ』って思ったんですけど(笑)。マスクはロック座が熊本に送ってくれました。
いま出会う人たちもすごく変わってきて、いままではハッキリ言ってAV女優=下心で応援したいっていう人しかいなかったんです。それに対してすごく警戒心を持ちながら、一緒に仕事をしていたんですけど、もうそうではなくて完全に無償の愛というか、奉仕してくれる人たちが集まってきてくれたんです。私の歌を聞いたり、出演した『全裸監督』を観てくれて。
今回、大阪でマスクを作っている工場の社長さんが私の歌を聴いて、『何かできることはないかな?』って言ってくれたんです。それで、私が『今度、浅草ロック座に立つんです』って言ったら、『AV撮影でもロック座でもいいからマスクを配ったらどうか?』って言われ、足で踏む消毒器もいただいて、『川上さんが売れてくれるのがお返しだから、とりあえず売れてくれ』って言われたんです。
いま、私がAV女優、ストリッパーから普通の女優になっていくことが、すごく楽しみで応援したいっていう人が目に見えて増えているんです」
今後の目標について
「それ、すごく聞かれるんです。ツイッターにも書いたんですけど、底知れない人間になりたいだけです。あはは(笑)。
いろんな復讐心や見返したい気持ちがあったんですけど、それじゃあダメだと思ったんです。それこそAV業界への見返しもあったし、なんで私の話をきかないんだよって言うこともあったんです。でも、それはそうだよね。もうちょっと名前が大きくなったら聞いてくれるかなって思ったんです。
とりあえずは、やったことがないことをしてみたいと思っていて、みなさんに夢を与えたいです(笑)。最後の部分は『(笑)』って書いてください(笑)。あはは(笑)。
壮大に生きたいです。本当に小さい世界にいた苦しみをすごく味わったので。幼少期の頃からそう思っていて、田舎に住んでいたので、真実を見ないでうやむやにして小さい世界に生きていたのが息苦しかったんです。
私は真実を全部見たいなと思い、こんな世界に来てしまって、もう『見たるわ!』みたいな感じになって、そこから見ていたらキャパオーバーになってしんどい時期もありました。でも、しんどく生きているのも面白くないし、みんなに夢とか人の怖さを知ってもらうとか、愛を知ってもらうとかで私が手助けできればいいなって思っています。
ちゃんと私が形になったら『あの人どうやってそこまで行ったんだろう?』って思ってくれてほしいな。大変だから生きるのは。あはは(笑)」
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川上奈々美ちゃんが出演する『PEACE LOVE ROCK VOL.3』は9月20日まで絶賛公演中! 魂の女優のコメントを読み、ステージを楽しもう。
(写真・構成:神楽坂文人 インタビュー協力:浅草ロック座 マインズ)
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