千葉県の某繁華街で老人夫婦が営むなんの変哲もない居酒屋。
しかし、週に2日だけ、その居酒屋が怪しい連れ出しスナックにその姿を変えていた!!
あまり人には言わないでね…
最近、昼間は立ち食いソバ屋で、夜は立ち食いスシ屋になるという変わり種の店がテレビで紹介されていた。季節により作物を植え替える畑になぞらえて「二毛作」系の飲食店と呼ぶそうだが……。
とある居酒屋がトンでもない二毛作営業をしているという情報が寄せられた。場所は千葉県某所の繁華街。情報提供者のS氏はこう語る。
「私の行きつけの居酒屋で、年老いたご夫婦が営んでるんですがね。年齢的にキツいからと週休2日にしたんですよ。ところがある夜、定休日だということを忘れて店にいったら、知らない女性3人が接客してたんです」
女は3人とも三十路絡み。一体これは……そう思ったS氏がカウンターの中で酒をつくっていた女に聞いてみた。
「定休日の2日だけ、店主のおじいちゃんにお願いしてお店を借りてるんです。あ、お料理は簡単なものしかありませんけど……普段のメニューじゃなくて、こっち見てくださいね」
と答えた女。メニューは本当に簡単なものが数品あるだけだった。おしんこに乾きもの、料理らしい料理は肉じゃがにキンピラと、作り置きできるものばかりだったそうだ。そして、S氏が「とりあえず」と瓶ビールを注文すると、ひとりの女が隣に座り、まるでキャバクラのようにビールを注いでくれたそうだ。
ほかに客は30代の男性がひとり。S氏の顔見知りではなかったが、楽しそうに笑顔を浮かべながら女性と話を弾ませていた。
(臨時のスナック営業って感じだな)
そう思いながら、チビチビとビールを飲んでいたS氏。すると、男性客が「お会計」と立ち上がった。そして男性は支払いを済ませると、会話が弾んでいた女性を伴って店を出たのだ。
そして、ふたりを見届けた後、S氏は何気なく話し相手をしてくれていた女性に聞いてみた。
「あれ、あの女性はさっきの男性客の連れだったんだ?」
「あぁ、お客さん初めてですもんね……どうしようかな、まぁいっか。実はね……」
この後、女性は「あまり人に言わないでくださいよ」と念を押してから、S氏の耳元で思いもしなかったことを口にしたのだ。
私たち3人とも主婦なんですよ
「さっきお客さんと一緒に出て行ったコも含めて、私たち3人とも……その、大人のお付き合いっていうのかな……近くのラブホテルに連れて行けるの。簡単に言えば、連れ出しスナックって感じ?」
ならば、女性たちは最近ヒマでお客が付かない風俗嬢といったところか……S氏はそう思ったそうだが、それも違った。
「私たち、3人とも主婦なのよ。ダンナにはちゃんと居酒屋でバイトしてるって言ってるわよ、だって本当のことでしょ(笑)。それに、もしダンナが店に来ても、黙って接客してればここが連れ出しスナックだなんて気づかれないしね。お客さんだって、さっきのふたりを連れだと思ったわけでしょ?」
女はそう言って笑ったそうだ。S氏が続ける。
「料金は、飲み代と別にイチゴ。もちろん、ホテル代別です。ま、飲み代はホントに居酒屋価格なんだけど、ホテル代を合わせると2万円をちょっと越えるからね。決して安い遊びじゃないけど、なんか新鮮な感じがしてね(笑)」
そして、事情を明かした女性を連れ出すことにした……S氏の話はここまでだ。しかし、気になることがいくつかある。本来の店の経営者はこのことを知っているのか。また、3人のほかに女性メンバーはいるのか、どんな客でも連れ出せるのか。
「なんならお店の場所、教えますから行ってみます?あ、連れ出し営業は月、火ですから」
記者はS氏から店の名前、最寄り駅からの簡単な手書きの地図を受け取り、店に潜入することにした。
店の主人には連れ出しは内緒
「いらっしゃいませー」
夜7時、店を訪れると先客はひとり。楽しげに茶髪の女性と話していた。
「すみません、ビールね」
「はーい、ちょっとお待ちくださいね」
S氏の言っていた通り、一見すると普通の居酒屋スナックといった感じだ。ほどなくビールを持って隣に座った女性がお酌をしてくれる。そこで話を切り出した。
「実はSさんって人の紹介できたんだけど」
すると女性は、
「あ、そうなんですね、少しお待ちくださーい」
とカウンターの中へ消えた。話は聞こえないが、奥でもうひとりの女性とヒソヒソ話をしているようだ。ほどなく、30代後半と思しき女性が記者の隣に座り、小声で説明をし始めた。
「初めましてぇ。里子です。今、テーブル席にいるふたりは、このあと出て行っちゃうから。これから大丈夫なのは私か明子ちゃん。すぐ決めなくてもいいですよ。もちろん飲むだけでもオッケーですから(笑)。金額は聞いてます?」
「ホ別でイチゴでしょ」
「話早くて助かるぅ。2時間以内に女のコを返してくれればいいから」
「じゃあ、里子さんお願いしますよ」
「やだぁ、あたしでいいの?」
「あはは、タイプなもんで」
こうして、四十路絡みの熟女をホテルに連れ出した記者。セックスをした後「月火以外はおじいちゃんがやってる居酒屋なんだってね」と、何気なく店の事情を聞いてみた。
「そうなの。2日だけ間借り営業してんの。売り上げの5%入れるって約束で。でも、おじいちゃんには連れ出しってことは内緒だけどね。女のコ? 全部で5人だけど、店にいるのは3人って感じかな。そんな大勢のお客さんが来るわけじゃないし」
さらに、お客について聞いてみると……。
「女のコ相手に話している感じを見れば、話に乗る人かそうでないか分かるじゃない。スケベそうなお客だと、そっと声を掛けてみるの」
間借り営業を初めて3ヶ月だそうだが……果たしてこんな店がいつまで続けていけるのやら……。
(掲載/「実話大報」2017年9月号)