── それでは「劇場版 おうちでキャノンボール2020」の話をさせて下さい! まずは5月13日まで新宿で上映かおこなわれていましたが、現時点での反響はいかがですか?
松尾 まず3月から一週間上映をして、4~5月のゴールデンウィークにかけて三週間やったんです。大きな映画だったらシネコンとかでドカンとやるんでしょうけど、うちらの映画はインディーズで作っているので、僕の理想だとミニシアターのレイトショーで一日一回の上映で、なるべく長く続けたいんですね。シン・ウルトラマンとかだったら毎日何百館で何百回と上映をするのでしょうが、もちろん規模が違うのはありますが、それとは違う形でやりたいと思っているんです。
── 普通の映画の公開方法とは違う訳ですね。
松尾 そうですね。まずは6月18日から関西で上映をするのですが、まあサーカス団みたいなイメージなんです(笑)。東京でちょっとやって、地方を回って、最後はまた東京に戻ってこれたらいいなって思っています。うちらは小さななバンドみたいなもので、大きなホールやドームでやるバンドとは規模が違うので、小さなライブハウスを回っていく感じですね!
── 松尾監督的にもそちらの方がやりがいを感じるということですか?
松尾 というより、規模の問題というか、お客さんの数ですよね(笑)。適正なお客さんに適正な場所をって考えたら、まあこんなもんだろうなってことです。
── なるほど!
松尾 映画の興行というのは東京二週間、その翌週に地方一週間の計三週間がプログラムでセットされて、ドンっと開いて終わるっというやり方がよくあるのですが、それはしたくないんです。徐々に徐々にゆっくりやっていきたいですね!
── 梁井監督は舞台挨拶で「この映画は(上映期間が)終わってもずっと言われ続ける作品」とおっしゃっていましたよね。
梁井 そうですね。たまたまこの日に一般の現場で撮影をさせてもらったのですが、そこの技術さんとかにも言われたんです。違う畑でお仕事をされている方には特に言われることは多いですね。
松尾 それは『テレキャノ2013』の影響が大きかったんだろうね。
── やはりその時の反響は凄かったのですか?
松尾 今上映している『おうちでキャノンボール2020』はマニアックな好きな人が見ている感じですが、2013年の時はそうじゃない人たちも一気に見てくれて、観客動員数で言えば1万4千人ぐらいを記録したんです。ミニシアター系で言うとヒットにあたる数字で、完全に我々のキャパを越えたんです。
── 想定はどれぐらいの数だったのでしょうか?
松尾 2千前後でいいところだったと思います。なので5~6倍の人が見てくれて、そのお陰で後々にDVDがかなり売れたというとこともあって。あそこで一回我々のキャパを越えちゃった感じがありましたね。
── たしかに私もDVDはすぐに買いましたし、AV好き芸人でやっていると「『テレキャノ2013』って面白いよね!」って話しかけられることも数多くあったりします!!
梁井 僕の体感だと5~6倍じゃきかないぐらいの反響があったと思います!
── 今回の『おうちでキャノンボール2020』はコロナ禍真っ只中の2020年5月におこなわれたとのことですが、この時期にあえてやろうと思ったのはなぜだったのでしょうか?
松尾 正直、最初は全くやる気が無かったんです。
── えっ!? 意図してやった訳じゃないのですか?
松尾 元々は2020年は東京オリンピックが開催される予定だったので、おそらく強制的に街は盛り上がっていたと思うんですね。なのでそのオリンピック開催中に「実は東京ってこういう側面もあって、オリンピックの裏ではこんなこともあったよね」みたいなことをやりたいと思ったんです。
── シンプルな『テレキャノ2020年』版を予定されていた訳ですね。
松尾 そうですね。なので緊急事態宣言が出た段階で、撮影をやる気は無かったんです。そんな時に知り合いから「緊急事態宣言を活かした企画を募集しています」というメールが届いたんですね。それを見た時にようやく「AVは休みだけどルールを守れば可能じゃないか? これは逆に面白いんじゃないか?」と発想をキュッと切り替えることができたんです。
なので、「緊急事態宣言下で何ができるのか?」とは書いているのですが、そこにあえて挑んだというより、「今やったらどうなるのかな?」というぐらいの平熱でやった感じでした。どっちに転ぶかわからなかったので、あまり大きくやらずに、期間も一週間やるとかじゃなくて二日間に絞りましたし、東京からは出ちゃいけないというルールもあったので、とりあえずやってみようっていう気持ちではじめたんです。
── 梁井監督は松尾監督からこのお話を最初に聞いた時、率直にどう思われましたか?
梁井 正直あまり覚えていないのですが、覚えてないってことは「え? やるんですか?」みたいなことはなくて「なんか楽しそうっすね!」ぐらいの感じで力みは全く無かったと思います。
── 他のメンバーの方の反応はどうでした?
梁井 どうだったかなー……松尾さんと僕は力んで無かったので、それがちゃんとレース結果に反映されていると思います(笑)。
でも、ちゃんと力んでいた人はいたと思います!
松尾 しっかりと力んでいる人はいたね!
── これから見る人はぜひそこにも注目してみて下さい(笑)!!
梁井 まあでも力んだ方が正解とか、力まなかった方が正解とかは無いと思っていて、「こういう結果だったから、今回はこのやり方が正解だったね」っていうだけなので、全てが結果論だとは思っています。
—————
前編はここまで!! 一度は撮影のやる気を無くされたというお話でしたが、緊急事態宣言というピンチをチャンスに変えた松尾監督の発想の転換はさすがでございました。明日公開の中編では、映画のミドコロや裏側をたっぷりとお話いただいております!ぜひお楽しみに!!!
カンパニー松尾 @company_matsuo
AV監督。
ハメ撮りAVの第一人者。『テレクラキャノンボール』シリーズ、『私を女優にして下さい』シリーズなど数々のヒット作を持つ。近年ではアイドルとコラボレーションした劇場作品なども監督している。
梁井一 @HMJM_yanaiC
AV監督。
カンパニー松尾 監督率いるAVメーカー・HMJMに所属しているが、他社メーカーでも多数監督している。『テレクラキャノンボール2013』にも出演。
インスタ @yanaihajimee
リボルバー・ヘッド @RevolverHead01
ピン芸人。
代表ネタは、山田孝之演じる全裸監督の村西とおるのモノマネ。吉本若手マッチョ部としてクリスタルジムでパーソナルトレーナーも務める。
YouTube『リボルバーチャンネル』