世界に名立たるニッポンの『フーゾク』は、世界で唯一進化し続けているオンリーワンの存在だ。そんな日本の風俗史を探る第九回は『シロウト風俗の時代』をたどる!
松本雷太のニッポン風俗史講座
第9回「シロウトたちの時代へ」
ヘルス?テレクラ? ノーパン喫茶の後釜は…
◯欲しいのはお金? 元援デリ嬢の行方
部屋に入るなりベッドの上に座り込み、スマホに見入るデリ嬢。シャワーを浴びるでもなく服を脱ぐわけでもない。サービス精神も接客の心得もない、なんて無作法な女だと思いつつ、服を脱がし、そのままブスッと。
終わったあとの快感も、満足感も何も残らない一発に、素性を聞くと、 「こないだまで援デリやってたんだよね」 「…援デリ?」
7年ほど前の話だが、不覚にもその時筆者は「援デリ」の名称を初めて聞き、不埒な商売が流行りつつあることを知るのだった。
ご承知の通り「援デリ」とは、出会い系サイトに出入りする女のコのフリをして書き込み、全く別人の女のコを男性と引き合わせて手数料をかすめ取る、管理売春の業者であり詐欺師集団のことだ。
援助交際×デリヘル=援デリが語源である。果たして、女のコはなぜデリヘルではなく、援デリに入ったのか?
売春→援交→ウリはイケてる女子の定番
◯新風営法が 生んだリアル出会い系
最初に「援助交際」という言葉が使われたのは最近のことではない。1950年代後半に発売されていた男女交際誌に、愛人を募集する広告としてすでに使われていたようだ。しかし、「売春」という意味で使われる様になったのは、80年代後半からである。
80年代初頭、ノーパン喫茶から始まったニュー風俗ブームは、それまでの「風俗=ブス、デブ、ババア」というネガティブな常識から、イヴや早川愛美の出現により「若くてカワイクてスタイルいい美女がいる店」という大変革を実現させた。働く女性の裾野が格段に広がり、素人の女のコが風俗へ入りやすくなったのだ。
と同時に、売春に対する意識も低下する結果となった。「愛人バンク」が登場し、話題となったのもその頃である。女子大生がお小遣い欲しさに、罪悪感薄く売春を行う時代の幕開けとなった。
そして85年、新風営法施行により風俗の規制が始まると、素人女性と男性客の間を取り持つ初めての出会い系「テレクラ」が開業した。「援助交際」という言葉が、今度は「売春」の意味で使われる様になったのだ。
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