最初の撮影のときは嬉し泣きしました! 3年の努力が報われて(笑)お坊さんやめてもいいし、このまま死んでもいいって思いました。
── と、言いますと?
かとう 元々自分の性別に違和感は持ってました。それ以上に助けないといけない人が居たからです。ホントに助けないといけない人はお寺には来れないんですよ。
私はお寺に来れない路上生活者に方に声をかける活動をしてたんですけど。男性の方はまだ日雇いの労働とか仕事があったりしてマシなんですけど、ホントに悲惨なのは下の下に落ちた女の人なんですよ。
彼女たちに上がりようがないと言われまして、この人たちの力になりたいと思ったんです。最初は最下層の立ちんぼの人達に挨拶することから始めたんです。まぁ、殆どの無視されてましたけどね(笑)半年くらい毎日毎日挨拶してたら向こうから話しかけてきたんですよ。
貴女たちに寄り添いたいとお話ししたんですけど、有名な大学の学生さんの貴方に中卒の私達の気持ちが解る訳がないと言われてしまったんですよ。
それで、私の中でパチンっとパズルのピースがハマったんですよ!これはAV女優になるしかないと!
友人が私の携帯でAVメーカーの面接に応募したんですよ。応募したからにはもう面接行くしかないじゃないですか! 綺麗に女装して。ただ、その当時ブルースリーに憧れてた男が女装してもゴリラがカツラ被ったようなものですよ(笑)
── カツラ被って行ったんですか?
かとう カツラは被ってないです。スキンヘッドから大分のばしてましたから。
でも、その面接で散々バカにされまして…顔が悪いとか体が悪いとかくびれがないとか…あげく説教されました。仏教用語を使って。まさに坊主に説法です(笑)
その面接した方に、僕の言ってることは苦海浄土って本を読めば理解出来るからと言われたんです。面接の帰りに本屋さんに直行しまして1500円位したんですけど半日で必死のパッチで読みまして。
水俣病の話なんですけど、要は面接落ちたのは誰のせいでもないので俺を恨むなと遠回しな嫌味だったんです。なのに次の日電話がかかってきたんですよ。明日撮影なので備えてくれと…昨日面接落ちたのに撮影するんですか?って聞いたら……間違いだったんですよ!
腹たちましてねぇ…絶対この業界に入ってやるって決めたんです。1年、いや1年は無理なんで3年後にと。ちょうどその頃にさっきお話した画家さんに出会ったんです。もう、悔しくて必死に肉体改造に取り組みました。アバラ折ったりとか。
── アバラ骨を!? どうやって肋折ったんですか?
かとう 剣道部の後輩に折ってもらいました。1本万円で!折れなかったらどうなるかわかってるなっ。って脅かして(笑)まず鉄棒にぶら下がりまして…凄い痛かったのに木刀だと綺麗に肋骨に当たってもしなるんで折れないんですよ。
ここまで来たからには折らないわけにはいかないので次の日ホームセンターのコーナンでバールを買って来まして、これでダメならハンマーしかないと思って。あんな物でやったらかとうさん内蔵ぐちゃぐちゃになりますよ!とか言われたんですがなんとかバールで折れまして。凄い音しました。
あれ、お腹の中で音がするんですねぇ。最初の1本は物凄い痛いんですけど2本目からは慣れるんです。もう興奮状態なんで後輩にさらしを巻かせて耐えました。
みんな病院行った方がいいって言って来るんですけど医者に直されたら君達に払ったお金が無駄になるって、ウイスキー飲んで耐えました(笑)ウイスキーはアーリータイムズだったんですけど段々と効かなくなってワイルドターキーの50年になりました。あれは50°くらいあるんで
── 度数の問題なんですね(笑)
かとう 度数が高ければ傷も消毒されるじゃないですか。そこからAV女優になるために肉体改造に走りました。それで、私の話を聞いてくれなかった立ちんぼの女性達が私とわかるように本名でデビューするって決めたんです。まぁ、デビューしてもその女性からは一向に連絡もらえないんですけど(笑)
── どんな感じの人だったんですか?
かとう 50代のおばちゃんとかチャイナ服を来たヒゲのおじさんとかです(笑)
AV女優になってその人達と同じ立ち位置になりたかったんです。エロ業界を一つ下の世界って差別してる人を見返したいとか寄り添いたいって思ってたんですけど今は少し目的が変わってきて楽しいです!
── 最初の撮影ってどうでしたか?
かとう 嬉し泣きしました!
3年の努力が報われて(笑)お坊さんやめてもいいし、このまま死んでもいいって思いました。
── お坊さんの位で言うとどの辺にいらっしゃるんですか?
かとう それ言ったら色々バレてしまうんで言えないです(笑)宗派とか師匠に迷惑かかるんで。
── 今、見た目完璧に女性ですけどバレてないんですか?
かとう 感づいていても私も認めないし、誰も認めたくないので言ってこないですね(笑)忠義がありますから。
── 3年かけて女性化する間は檀家さんとの関係はどうだったんですか?
かとう 離れて行きましたね。見た目じゃなくて人間を観てくれる方は残ってくれますけど。普段からこの見た目でお坊さんやってますからね。
残ってくれた方とは家族ぐるみのお付き合いをしてます。修験者とか除霊とかもやってるんで弟子にしてほしいって依頼も多いんです。
ただ、簡単には受けてません。凄い人も来ますよ。
修行をしてるならこのくらい避けられるはずだって刀でいきなり切りつけてきたり(笑)
インタビュー中編は明日公開!
T164(Eカップ)
1995年1月23日生まれ 大阪府出身
特技:剣道、居合、カスタムナイフ制作、仏具の製作
趣味:釣り、仏教経典の研究、様々な人や支援者との交流
「前代未聞の真の菩薩行に見を転ずるニューハーフAV女優の僧侶」
◉Twitter:@ReiTS14
(インタビュー :清水和彦)