風俗にもお国柄ともいえる個性はどのまちにも垣間見える。名古屋を中心とした東海地区においては見栄と意地が挙げられる。伝統と都市としての誇り、裏風俗でもそうなのか。
◯風俗未開の地と言われる松坂で見つけた本サロ
満足の名古屋風俗の余韻を引きずりながら、近鉄電車で松阪に移動する。急行にて四日市や津を経由して90分弱で到着。客はかなりまばらになっていた。日中の時間なのに駅まわりも人影はあまりなく、閑散とした光景は冬の寒さをさらに感じさせる。
初めての松阪ということで目当ての風俗街までをぶらつく。15分ほどで現れた愛宕町という繁華街ではキャバクラやスナックに混じり、ピンサロやヘルスなども確認できた。しかし駅まわり以上に人気がなく、ごくたまに学校帰りの学生が自転車で横切る姿があるだけだ。客引きでもいればこの街の実情を探ることもできるのだが、全く無人状態。話し相手は木枯らしのみというところか。
8軒ほどの風俗店で事前に本番が確認できた店は2軒。三重風俗としては以前に四日市に本サロが何軒かあったが、当局によりほとんど壊滅してしまったらしい。ネット社会により大概の情報は入手可能だが、裏風俗情報はかなり制限があり、実際に現地に足を運ばなければリアルな情報は分からない。
時間帯が悪いせいかもと思い立ち、日が暮れるのを待って、改めて愛宕町を調査する。相変わらず人影もネオンの明かりもなく、まるで計画停電みたいな一帯だったが、目当ての店はさびしい明かりに客引きが幽霊のように立っていた。
「お兄さん、遊ばない?」
「どんな遊びがあるの?」
そういえば今日初めて他人との会話だ。ゴルフウェアみたいな私服にパンチっぽいベタな身なり。ほかに通行人はいないから記者に向かってくるのは当然だ。「ここはヌキや」といった後に記者を入り口奥に手招き、声を潜めて「本番できるよ」とにやりと笑う。
白々しく「そんなサービスがあるの?」と尋ねるとクリアファイルにある料金表を見せて「Bコースってのがあるんやけど、これがそのお遊びやな」と自慢げに説明してくる。「それじゃAコースは?」という野暮は言わなかった。
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