第31回ピンク大賞表彰式詳細レポート!
平成元年(1989年)に第1回が開催され、令和元年(2019年)の第31回をもって終了することになったピンク大賞。まさに平成とともに駆け抜けたピンク大賞のファイナル「第31回ピンク大賞」が5月5日、こどもの日に開催。
会場となった東京・上野オークラ劇場には多くのファンが集まり、歴史が一旦幕を閉じる瞬間を共有しました。
今回のピンク大賞は2018年に公開された新作ピンク映画38本(ゲイポルノ含む)が対象。対象作品のうち5本以上を鑑賞した方が投票し賞が選出されました。
まずは第31回ピンク大賞受賞結果をご覧ください。
【最優秀作品賞】
『世界で一番美しいメス豚ちゃん』(オーピー映画・城定秀夫監督)
【優秀作品賞】
『スナックあけみ 濡れた後には福来たる』(オーピー映画・山内大輔監督)
『変態おやじ ラブ・ミー!イッてんだぁ~』(オーピー映画・池島ゆたか監督) ■個人部門
【監督賞】
山内大輔(『スナックあけみ 濡れた後には福来たる』他)
【脚本賞】
山内大輔(『スナックあけみ 濡れた後には福来たる』他)
【主演女優賞】
川上奈々美(『青春のささくれ 不器用な舌使い』)
【助演女優賞】
佐倉絆(『スナックあけみ 濡れた後には福来たる』他)
【新人女優賞】
長谷川千紗(『変態おやじ ラブ・ミー!イッてんだぁ~』他)
霧島さくら(『スナックあけみ 濡れた後には福来たる』他)
【男優賞】
守屋文雄(『世界で一番美しいメス豚ちゃん』)
【技術賞】
土肥良成(特殊メイク・造形『スナックあけみ 濡れた後には福来たる』他)
表彰式は池島ゆたか監督が司会を、和田光沙さん、松井理子さん、きみと歩実ちゃんがプレゼンターを務めます。
池島監督は「毎年、2人のコスプレ姿を楽しみにしていたが、今年が最後」と和田光沙さんと松井理子さんのコスプレ姿を見て名残惜しそうにコメント。表彰式以外のこういった和やかな雰囲気がピンク大賞の特徴でした。
まずは新人女優賞の霧島さくらちゃんが登場。表彰式名物、劇場中央、花道からの登場にファンが沸きます。
「この度、第31回ピンク大賞新人賞を受賞させていただきました。本当にありがとうございます。この賞は山内監督が私を選んでくれて、私のことを少しでも『いいなあ』って思ってくださった方が投票してくださってくれて、みなさんに獲らせていただいた賞なので本当に本当に嬉しいです。いつも自信がない私ですが、今日はちゃんとシャキッと出来るように頑張ります。頑張って立っているんですけど、知っている人を見つけて心を落ち着けているので、みなさん温かい目でお願いします。今日は本当にありがとうございます!」
演技には定評がある霧島さくらちゃんだけに、今後もピンク映画での活躍が期待出来ます。
もうひとりの新人女優賞は長谷川千紗さん。セクシー女優ではなく映画を中心に活動する女優で、今後、ピンク映画では見かける機会が多くなりそうです。
「池島監督にちょうど1年前位にお会いして、いままでセクシーとか言われたことがなく、『いい人だね』とか言われるタイプなんで、まさか自分がピンク映画に出るとは思ってなかったんです。池島さんに『僕の作品に出てみない』って言っていただいて、今日、こんなところに立っているなんてすごい不思議です。見ていただいてありがとうございます」
緊張で声を震わしながらコメントしてくれました。
助演女優賞は佐倉絆ちゃん。昨年、新人女優賞に輝いた佐倉絆ちゃんは2年連続でピンク大賞関連の賞を受賞。
「去年に引き続き、この授賞式に登壇させていただいて本当にありがとうございます。ここ拍手(とファンを笑わせ、会場からは拍手と爆笑が起こる)。来年の3月に引退すると発表させていただいたので、来年、ピンク大賞があったとしても今年が最後の表彰式だったので、みなさまに投票していただいて本当に嬉しいです。ありがとうございました」
最後の表彰式を楽しんだ佐倉絆ちゃんでした。
主演女優賞は川上奈々美ちゃんが受賞! さまざまなメディアで活躍し演技に磨きがかかった川上奈々美ちゃん。満場一致、納得の受賞でしょう。
鳴りやまない拍手の中、受賞コメントがスタート。
「ビックリしています。本当に・・・。これは感動しますよ! 主演女優賞に選んでいただき本当にありがとうございます。震える~。(再び鳴りやまない拍手)。ピンク映画に初めて出させていただいたんですけど、あのう・・・、本当、何でしょう・・・、これワンマンショーでしゃべっていいんですか? 尺とか気にしなくて? ピンク映画に出るのがこんなにも遅くなったことにすごく私は悔しい思いでいっぱいなんです。すごく機会はあったんです。私、調子に乗っていたんですかね? いっぱい映画とかに出ているからって(笑)。
いろんなのがあってフィルム(撮影)の時期を逃してしまって、私はその時代にピンク映画に出たかったっていう思いが本当にあり、悔しい思いがいっぱいなんです。私の話をすると2015年にこの仕事辞めようと思った時期があるんです。もうこの先ないなあって思って。これ以上、上にあがれないなあって思ったんです。この業界に入って『有名になりたい!』ってミーハー心でいたんです。そんなんだったんです。すごい調子ノリの。
それで、2015年に浅草ロック座にデビューしたんです。ロック座のお客さまとピンク映画のお客さまってすごく歴史があって熱くて似ているなって感じたんです。当時はロック座にデビューするのがいやだったんです。『いやだなあ、いやだなあ』と思いながらデビューをしてみたら、ロック座のお客さんがすごい待っていてくれて。踊り子さんたちが体を張って、すごいパフォーマンスをしていて、すごい大袈裟な話をすると踊り子さんたちは体を張って稼いでるというか、食っているというか、そういうのにすごく感動したんです。
私も脱いでいる仕事をしているんだと思って、それくらい覚悟を持って生きるって大変だなあって思って、もっとこれから頑張れないかなと思って、心を入れ替えて、恵比寿マスカッツもやり、いまの事務所に来て、ピンク映画やりたいですって話をして。竹洞監督からちょうどお話をいただいていて、そしたらこういうステージに立つことが出来て・・・本当に嬉しいですね。こういうことをライブ感というか、いっこいっこ大事にしていかないと長く出来ないんだなって本当に思いました。この仕事をして。
ピンク大賞の表彰式が今回ファイナルと聞いたんですね、すごいビックリして悲しいなと思ったんです。でも、主演女優賞を最後に選んでいただいて、私はもちろんAVも続けていきたいですし、まあ、それも難しいことがあります沢山。だとしても、役者としてならお婆ちゃんになっても、亡くなるまでも出来たりするので、ピンク大賞主演女優賞をずっと掲げながら、映画業界に行っても沢山の賞を獲りたいなっていう気持ちもあります。もちろん、また新しいピンク映画にも出たいなって思います。いい作品、みなさまの心に響く作品に携わりたいなってすごく思うので、志高く、いいバランスでブレずに、生意気なこと言わないように。いい作品を作ってみんなの琴線に触れるものに携わっていければいいなと思っています」
と感動のコメント! そして、作品賞は優秀作品賞2作と、最優秀作品賞の『世界で一番美しいメス豚ちゃん』の出演者、スタッフが登壇。
最優秀作品賞の『世界で一番美しいメス豚ちゃん』の監督を務めた城定秀夫監督は「最後ということで最優秀作品賞を獲れて嬉しいです」とコメント。作品で助演女優を務めた並木塔子さんは「すごいいい作品に出られて嬉しいです」と喜びをあらわにしました。
表彰式はファイナルということもあり終始盛り上がり、予定より1時間もオーバー。しかし、ファン、出演者、スタッフ全員が「これで終わってくれるな」という雰囲気に包まれ、誰一人として帰らない光景が印象的でした。
年々、ピンク専門の劇場も制作数も減少している業界ですが、多くのファンがピンク映画の世界観を楽しみにしています。AVの過剰で過激な作風とは違い、叙情的、官能的なピンク映画の作風を愛するファンは多いのです。
全国の劇場にぜひ足を運び、ピンク映画独特の世界を味わってみてはいかがでしょうか! ピンク大賞は今回でファイナルを迎えましたが、ピンク映画はこれからも健在です!
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(撮影・取材 神楽坂文人)