手相占いとか、どこ行っても「周りに助けられて生きてます」って言われるんです(笑)
── 実際、フリーになって変わったりした?
あみ 連絡が取りやすくなりましたね。いろんな人たちと。
── フットワークが軽いから、ちょっとした細かい仕事は頼まれやすくなるだろうね。
あみ そうなんですよね。そういう仕事は増えました。それと、それこそ出版社の人やテレビ局の人から、直接電話来るし。
── かさいあみが目指す仕事の流れに、フリーの立場は合っていたかもしれないね。
あみ 私は「AVだけを生業にしていく女優さん」を、もうあきらめているから、そうじゃないところ、「AV女優だから、何々できない」ってところを、壊していきたいんですよね。逆にAV女優の肩書きを使って、いろいろやっていくことが重要かなって思って。
── 今、徐々にAV女優さんがAVだけをやっている時代ではなくなってきてるじゃないですか。そういう意味であみちゃんがそのモデルケースの1つになっているかもしれないね。
あみ みんな、この世界に飛び込んでこれる勇気があるんだから、きっとなんでもできると思うんですよね。
私だって何にもできなかったのに、「DJやってください」と言われれば、なんとか練習してやってみようとするし、「絵を描いてください」と頼まれれば、絵なんか落書きぐらいしか描けなかったのに、「できます、はい」って言って頑張ってみるし。みんな何もできないところから出発してるから、女優さんで仕事が無いからといって「私はほかに何も出来ない…」みたいな感じで、逆に安易な仕事に流れてほしくはないですね。
── 端から見ていると、あみちゃんはつながりたいところへの情熱がハンパないよね。それがたとえば今は自転車でしょ。そこからJ SPORTSの番組枠…。
あみ 去年、1年はいろんなところに(自転車関連の)企画書を送ったんですよ。「こういうイベントやりたいんですけど…」とかやったら、全部に断られちゃって。小さいイベント会社とかに「私、こういうことイベントがしたいんです」っていうと、「いや、ちょっとAV女優さんは…」って言われてしまって。結構、難しいな、切り開くのがって。
── そうだよねぇ。
あみ でも、自転車界隈のAV女優って私ぐらいしかいないから、どうにかして一個、道を切り開いて、そのあと誰かが続いてくれたらいいなっていう淡い期待もあって…。
たとえば映画も、BLがすごく好きで、BLの番組をニコ生でずっとやらしてもらっていたら、そこから映画を作る話を頂いたり、出来ないことって、もうAV女優だからって関係なくってできるじゃんって、そういうことを一個、そのモデル(ケース)になれたらいいなぁって。紅音ほたるちゃんみたいに、街でコンドームとか配って、AV女優でもエイズ(撲滅)の活動してるんだね、すごいねって、そういう風に私、思ったから、私を見てそう思ってもらえるんだったらいいかなぁって感じです。
── あと助けられている感じはしますね。すごく愛されてるじゃないですか、周りから。
あみ なんか手相占いとか、どこ行っても「周りに助けられて生きてます」って言われるんですよ(笑)
人間だからみんなそうなんだけど、私はそれが特に濃い気がして。
── まあ、あみちゃんのキャラクターによるところが大きいですけどね。
あみ あと私はみんなにも言いたいんですけど、「1回、もらった恩は絶対に忘れない」という、だからすぐ縁を切れる人の気持ちがまったくわからないんですよ。(笑)
── 義理堅い(笑)
あみ 飲み会とか私はフランクなのですぐ行っちゃうじゃないですか。すると、LINEで友だちに「それ行って意味あんの? 時間の無駄じゃない?」「お金がもらえるの?」とか言われちゃうんです。
でもお金をもらえない飲み会の方がきっとタメになることがあるし、たとえば制作会社でアルバイトしている人が今、プロデューサーとかになってて、10年ってそういうことだから。
── それと、かさいあみと言えばフリー女優連盟もやってるけど、あれは誰かに声をかけられたの?
あみ いや、違います。自分からやりたいって言ったんです。1回、フリー女優さんって、どれぐらいいるんだろうってコツコツ調べたら、まあまあいて、この子たちが仕事ができなくなるってなったら……。
── 昨年ぐらいから業界のルールでどこかの事務所に所属していないとAVの仕事ができなくなるって話がありましたね。
あみ 私はどっかに入ればいいけど、絶対に入らないコたちもいるわけじゃないですか。
── 入らないというか、いろいろな理由で入れないコもいますよね。
あみ そう、このコたちどうするのって。その中で誰かが「私、やります」って言うのをちょっと待ってはみたんですけど、勝手に自分の手が挙がっちゃったんですよね(笑)
「ああ、やめてくれ! そ、そんなことしたら、私、私が、大変なっちゃう! やめてくれ!」って思いながら。(笑)
── それで、AVはいつまで続けるんでしたっけ?
あみ 今年の12月31日をもって引退します。
── 最後の日は何かやるの?
あみ 結構、いろんなところから「イベント、うちでやりませんか」って来てるんですけど…。
── すごいね、そんな幸せな女優さん、そんなにいないよ。それで引退ってAV業界そのものを辞めるの?
あみ 表からは一切消えるってことです。裏方に廻ろうと思っています。
── アダルトで顔を出すことは辞めるってことね。
あみ そうです。
── フリー女優連盟は続ける?
あみ それは裏方の仕事だからやります。私が辞めちゃったら誰がやるのって話ですしね。
── 今後は裏方に徹して、その他にやりたいことはあるんですか?
あみ 業界は楽しかったので、そのことを本にしたいなぁとは思ってます。
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