男と女がああいう「なんだかなあ」っていう時間を過ごすからハネたセックスが撮れるっていうのもあると思う。
梁井 高槻れいさんも俺は結構好きでしたけどね。
—— 『からだがかたりたがーる 裸の未亡人』ですね。最後のセックスでバックしながら亡くなった旦那さんのことを思い出して泣きそうになったって言ってましたよね。あれもすごいエモかったですね。セックスと会話を重ねていったから出てきた言葉ですよね。
梁井 あれは確かにエモい。エモいってそういうことか(笑)。でもセックスって仕事でやってても、ちょっと仕事の枠からはみだしちゃうんですよね。
—— ああ、それいいですね。
梁井 仕事としてセックスを遂行しきれちゃう人もいて、それはそれでプロのエロいものになるんですけどね。よーいスタートで仕事として始めるけど、お互いに良くなっちゃって仕事からはみ出しちゃうのも何かいいよね。
—— そういうガードを外せなかった時のテロップもまた面白いですよね。
梁井 言わないと納まらないっていう。言い訳(笑)。
—— そうだったんですね。
梁井 実際エロは即物的でいいと思うんですよ。99%のAVはエロい体とエロいプロの絡みでいいと思う。でも自分が撮るのは1%でいいと思ってるから。女の子の暗い話とかちんこ萎えますよね。でもそういうのが好きだし、そういうのもあっていいと思ってやってる。
—— 梁井さんの作品って男から観てもグッとくるみたいで、セフレとセックスの合間に観るとその後盛り上がるんですよ。
梁井 そうなんですか? しんみりしないですか?
—— そんなことないですよ。身の上話からのセックスに観てる方も流されるというか触発されてる感じです。
梁井 男と女がああいう「なんだかなあ」っていう時間(女優さんの重めのエピソードを聞くこと)を過ごすから、ああいうハネたセックスが撮れるっていうのもあると思う。だから確かにヌキ辛いかもしれないけど、セックスが弾けるための大事な助走だよっていう。
—— そうですよね。だから観てて揺り動かされるんでしょうね。で、またヤリはじめちゃう。
梁井 いいAVの使われ方ですね。そういえばひとつイイ話があるんですよ。ハマジムファンの夫婦がいて、お互いに子供を望んでるんだけどずっとセックスレスだったらしくて。でもハマジムのビデオ見てセックスができるようになって、子供ができたらしいんですよ。なかなかそういう話ないですよね。
—— ハマジムベビーじゃないですか!
梁井 ビックリしましたよ。AVがこんなに人の役に立つことってそんなにないですね。珍しいケース。
—— でもハマジムの作品ってセックスしたくなるAVですよね。オナニーしたくなるっていうよりは、人と密着したくなります。
梁井 まあセックスしに行ってますからね。そういうのがちゃんと伝わってるならいい話です。ありがたい。
—— ところでずっと疑問だったんですけど、ハマジムの衣装っていつも体にピタッとした超ミニワンピースとかですよね。あれは誰が買ってるんですか?
梁井 俺と松尾さんが買いに行ってます。
—— ああいう服はなかなか街中で見かけないんですけど、売ってるとこあります?
梁井 新宿のサブナードにあるんですよ。トレンドに左右されずにああいう服がいつも置いてある店があるんですよね。
—— あんなエッチな服を着せられたらそれだけでちょっとエロい気持ちになりそうですよね。
梁井 そういう自意識の子もいる。そういう人がやっぱりいいですよね。いやらしい目にさらされてるっていう自意識でちょっとモジモジしだす人がスケベですよね。
—— 今度サブナードに買いに行ってみます!
(テキスト:Betsy)