川上 私は『となりの川上さん』という4年間を追った写真集でニキビ顔やメンタルが崩壊しているところを出してみたの。すごい不細工な顔だと思うけど、それを出したことによってたくさんの評価が返ってきたの。それを受けて映画のオファーも来たから、そういう作品を出すことで人間の奥行きが見えるらしい。私はお尻に黒いあざがあってコンプレックスだったけど、それも見せようと思ったの。それを見て「あの子がコンプレックスを見せているのなら、私もできるかもしれない」っていう子も出てきたし、それはコンプレックスじゃなくてチャームポイントだと思ってほしい。
加美 この仕事をしないと自分の身体と向き合うことってないですよね。私もお尻が嫌いだったんです。
川上 見たことあるけどめっちゃキレイだよ!
加美 恥ずかしい。「お尻が大きい!」って言われていたんです。新体操にはお尻や胸の肉はいらないっていう考えなんです。だから、先生に「お尻を痩せろ」ってすごく怒られていたんです。でも、骨格だから痩せなくて、ずっとコンプレックスで隠していました。
川上 違う視点から見たら、世の男性を引き付けるのはボリューミーなお尻じゃない。だから、「最強!」って思わない?
加美 この仕事を始めてお尻を褒められたから、むしろ、「良いことだ」って気づかされました。
川上 それを聞いて思ったけど、加美ちゃんには周りへの気遣いや無駄な労力がたくさんある(笑)。
加美 それはいらないと。
川上 いらない(笑)。
加美 もっと自分を中心にするべきなんですかね?
川上 そう! あと優しすぎるのもあるのかな。だから、間を楽しむこと。
加美 それはすぐにできますからね。
川上 うんうん。
加美 観察じゃないけど、相手を見ることですね。
川上 いずれ自分のことは理解してもらえるんだから、そんなにすぐに理解してもらおうと思わなくていいんだよ。残る人は残るし、見ている人は見ているから。だから、そんなにしゃべらなくてもいいんだよ(笑)。
加美 ちょっと落ち着きます(笑)。でも、まだまだいろいろ聞きたいくらいです!
川上 ははは(笑)。
――もっと話したいところですが時間がきまして、最後に川上さんがあと数カ月でアダルト界を去ってしまいますが加美さんからなにか言葉はありますか?
加美 悲しいです。もっと早く知り合って、いっぱい話したかったです。
川上 これからも話せます!
加美 本当ですか? 話してください!
川上 こっちの世界とはつながっていたいので。
――引退してからの方が話しやすいこともありますからね。
加美 客観視したお話もほしいです。行き詰まった時に川上さんだと的確に話して下さるし、言葉のチョイスも勉強になりますし、良い部分をすごく学びたいです。身近にそういう方がなかなかいないんです。保守的な言葉を言う方はたくさんいるじゃないですか。「そこは大丈夫、平気、平気」って。でも、その言葉を求めているんじゃないんです。ダメなところはダメ、こうした方が良いよって言ってほしいんです。
川上 一生懸命やっていれば周りにそういう人が増えてくるから大丈夫だよ。あと、自分も相手にちゃんと言うことだよね。加美ちゃんは言えなさそうだね(笑)。
加美 あまり人には言えないかも。上の人に言うのはキツいかも。
川上 あと何年かAVをやっていればきっと見えてくるはずだから、「これってこうじゃないですか」って提案してもいいかもしれない。
加美 分かりました。これからも聞いてください!
川上 もっと無邪気になっていいと思う。
加美 分かりました! ありがとうございました!
川上 たくさん話してくれてありがとう!