実際の結婚式場を借りてウエディングドレスを着てお嫁さんになって引退します(笑)
── あとはピンク映画も出ましたよね。作品も観ましたし、舞台挨拶も取材しました。ピンク映画のデビュー作はいきなり名作でした。「あの映画こそ、あべみかこだ!」って評価が高いです。
あべ 言われますね!(力強く)
── 田舎の・・・。
あべ ツンツンした少女(笑)。
── でも、実は初心な感じがまさにあべさんでした。ピンク映画にも興味はありましたか?
あべ AVでドラマ作品をやるようになってから演技が楽しいと思い始めたんです。セリフを覚えるのが苦手なんですけど、エロ以外のシーンも大事にするようになりました。そこでエロ以外の演技もやりたくなった時にピンク映画のオファーが来たので、「よっしゃ!」と思いました。
── しかも、その作品で「ピンク映画ベストテン2019」新人女優賞を受賞しましたからね。
あべ 獲りましたねえ。しかも翌年の「ピンク映画ベストテン2020」では主演女優賞もいただきました。
── 演技でものすごく評価されていますからね。
あべ まだピンク映画には2本しか出ていないですけど、2本とも賞を獲らせていただきました。
── AV引退後もピンク映画はオファーがあれば出演しますか?
あべ ぜひ、出たいです。
── それはファンも安心ですね。そして、あべさんの演技と言えば舞台稽古から取材し、映画は5回観た「無慈悲な光」の話は欠かせません! あの作品はあべさんの演技に観客は全員泣かされましたから!
あべ ふふふ(笑)。私が泣かしたという話は何人からも、何回も聞かされました。
── ものすごく難しい役でした。
あべ 難しかった・・・。
── 役作りはしましたか?
あべ どうなんでしょう? あまりなかったですけど、舞台では特に動きを決めないようにしました。他の出演者は決まった動きをするんですけど、私はこのセリフを言う時にはこう動くと決めないで、思ったように動こうと思ったんです。その方が「M02(演じたマウスの名称)」らしさが出るかなと思い、毎回違う動きをしました。
── その動きから天真爛漫さが伝わりましたよ。
あべ 舞台でも映画でも役柄として毎回スケッチブックを持っていたんですけど、舞台の時は毎回、絵を描きなおしていました。観客には見えないんですけど、毎回、公演ごとに絵を描き続けていました。
── そもそも監督を務めたカジさん(多くのAV女優とニコ生配信などで共演している芸人)から、どういう経緯で話が来たんですか?
あべ もともとカジさんが「カジチャンネル(ニコ生配信番組)」に出演した女優さんたちと舞台をやってみたかったそうなんです。そこで「あべさんは演技に興味がありますか? 舞台はどうですか?」と聞かれたので、「もちろんあります。いいですね!」というノリで決まったんです。
── ノリにしては、ものすごく反響がありました。自分で演じていて泣きそうになりませんでしたか?
あべ 毎回、泣いていました。
── 一番のキーマンでしたからね。
あべ 難しい役でしたねえ。
── クラウドファンディングで資金を集め映画化もされましたし、池袋シネマ・ロサという大きな映画館で2週間も上映されましたから。
あべ でも、私って認識されていないんだろうなって思っていました(笑)。
── どういうことですか?
あべ 顔を真っ白に塗っていたからです。舞台挨拶に出たら「え~?」みたいに思われているんじゃないかと。
── でも、その反応は役になり切り、普段とは違うということなので、役者としての凄味を感じます。映画は舞台やAVと違いカット割りもあるので感情移入が難かしくないですか?
あべ カジさんには勝手に動いていいと言われたので、再度、同じシーンになると、「同じ動きはできません」ってなったんです(笑)。
── それがあったから自由奔放で無邪気な「M02」の魅力が出たんですね。一番、印象に残っているシーンはありますか?
あべ 印象に残ているシーンは全部と言えば全部なんですけど、私は「M01(加藤あやの」と初めて出会うシーンが特に印象に残っています。舞台と違い回想シーンが含まれていたので、こういうふうに出会いのシーンも舞台で描かれていたら、もう少し違う感情になっていたのかなとは思いました。
── 最後のシーンも舞台と映画では違いましたからね。一般映画に出演し、本格的な女優に目覚めましたか?
あべ 舞台やピンク映画に出演した時点で演技は大事にしようと思っていたので、あまりその意識はないかもしれないです。
── しかも、上映後には「ハンブルク日本映画祭賞」で「映画祭賞」を受賞しましたが、受賞の知らせを聞いた時はどう思いましたか?
あべ 「え~!」みたいな! 観に来てくれたみんなが作ってくれた意識があります。
── あべさんにとってもいいきっかけになる作品でしたか?
あべ 「演技いけるな!」って自信になりました。
── その言葉を聞いて今後の活動が楽しみになりました。AV女優としての引退が迫っていますが、引退記念ベントはやりますか?
あべ 今回、実際の結婚式場を借りてウエディングドレスを着てお嫁さんになって引退します(笑)。
── どなたと結婚するんですか(笑)?
あべ ファンのみなさんのお嫁さんになってAV女優を引退するんです。式場でツーショット撮影やいろいろな催しをするんですが、ありがたいことにチケットは完売しました。デビュー時にインタビューで将来の夢を聞かれたことがあり、その時に「お嫁さんです」と答えたんです。その言葉を今回、回収します。
── 10年越しの回収だ! その式は完売したので、みなさんが会えるイベントはありますか?
あべ 式の後に披露宴的な感じで渋谷のLOFT9 Shibuyaでイベントをします。もちろんネット配信もあります。
── 日にちは決まっていますか?
あべ 6月20日の私のデビュー日です。詳しい時間などは追って発表しますが、そのLOFT9 Shibuyaであべみかこコラボカフェをやります。あとはDVDの販売イベントやAVとは関係のないイベントで地方にも伺いますのでツイッターをチェックしてください。
── 引退まで忙しい日々が続くので、最後までAV女優としてのあべみかこを楽しんでほしいです。それでは、最後にファンへメッセージをお願いします。
あべ 引退まで1、2カ月になってしまいましたが、あべみかこはこれからも変わりません。AVでは観られなくなりますが作品は残り続けます。なので、好きなあべみかこでヌイてね。うふふ(笑)。以上、あべみかこでした!
(撮影・インタビュー:神楽坂文人 インタビュー協力:ARCHE )
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