架乃ゆらと聴く昭和歌謡の夕べ~第2夜~イベントレポート!
昭和大好き女優として、これまでも昭和にまつわる数々のイベントを行ってきた架乃ゆらちゃんが7月22日、東京・阿佐ヶ谷ロフトAで「架乃ゆらと聴く昭和歌謡の夕べ~第2夜~」を開催。会場は超満員となりました。
同イベントは昨年も「架乃ゆらと聴く昭和歌謡&シティポップの夕べ」として、音楽ライターの成松哲さんが主催。大好評につき2回目の開催となりました。また、同イベントでは本格的な音楽関係者をゲストとして迎えるところが、イベントのブランドとなっており、今回はDJの臼山田洋オーケストラ氏を迎え、2時間たっぷりと昭和歌謡の世界に浸らせてくれました。
イベントはゆらちゃんが好きな昭和歌謡を10曲推薦し、会場全員で聴く趣旨となっています。ゆらちゃん曰く「前回は好きな曲を選んだ。今回は夏なので、夏っぽい曲を10曲集めました」と選曲コンセプトを語ってくれます。
まず1曲目にゆらちゃんが推薦したのは『FANTASY』(中原めいこ)です。イントロが流れる段階で、「かわいい!」、「キラキラ感がある」、「イントロが長い」と目を輝かせて喜ぶゆらちゃん。そう言えば、昨今の楽曲はイントロを重視していないどころか、イントロなしで急に始まる楽曲が多いので、イントロが長いことは昭和歌謡では重要なファクターなのです。
選曲理由を聞かれると、「最近、またTikTokでこの曲が流行っているんです。イントロが長いところがショートムービーに合う。めっちゃかわいくて調べたら中原めいこで、『やっぱり』と思った。中原めいこさんの歌はトレンディより、昭和のファンシー、キラキラ感がある」と1曲目から熱く語ってくれました。
これに対して臼山田氏は「中原めいこは名曲の宝庫です」とコメントします。
2曲目もこれまた中原めいこの『宇宙恋愛(スペース・ファンタジー) 』という壮大なタイトルの楽曲を選曲したゆらちゃん。
「『中原めいこ文脈』でググり見つけた。宇宙という響きが好きで再生したらイントロがかっこよくて『うわ~!』となって、キャッチ―でかっこよかった。サビの音の浮遊している感が宇宙だなってなった」と選曲理由を語るゆらちゃん。この調子でどんどんイベントは進行します。
3曲目は『SUNDAY BRUNCH』(和田加奈子)という曲を1987年に発売されたアルバム『KANA』からピックアップ。「BRUNCH」という言葉を1987年に使っているところがオシャレです。
選曲理由は「洋楽っぽい感じがする。このオシャレ感はなんですか?」とゆらちゃんが質問すると、すかさず臼山田氏が「当時の洋楽をトレースしている」と回答。こういうやりとりがスムースにできるのも同イベントの魅力なのです。
さらに成松さんからは「和田加奈子はマイク眞木の嫁さんなんです」というトリビアも飛び出し、臼山田氏、成松さんからのコメントも聞き逃せないのです。
さらにはDJである臼山田氏からは「これまでの3曲の流れはDJ的にいい」との評価をゆらちゃんが受け、選曲の凄味を見せるゆらちゃんでありました。
4曲目は『オリエンタル・プレイボーイ』(ラ・ムー)を選曲。結成当時は人気絶頂のアイドルだった菊池桃子の突然変異に誰もついていけず酷評されたラ・ムーですが、令和の世にゆらちゃんに見いだされたのですから幸せ者です!
選曲理由は「ダルい感じがいい。タイトルに『オリエンタル』ってある通り中華っぽい。これを聴くたびにホニャ~となり、昔からめちゃくちゃ聴きました」と同曲のEPレコードを手にして解説するゆらちゃん。昭和のアイドル・菊池桃子と、令和のアイドル・架乃ゆらがここ阿佐ヶ谷ロフトAで邂逅しました!
この選曲に臼山田氏は「ラ・ムーは現役当時、『菊池桃子、突然なにを始めたんだろう』という戸惑いの声が大きかったけど、のちに評価が高まって、昨今のシティポップブームにもつながっていく。かつマニアの間では『シングルはA面よりカップリング曲がヤバい』が定説だったので、さすが架乃さん」と解説してくれました。
LPレコードでいうところのA面最後は歴史的名曲『タイムマシンにおねがい』(サディスティック・ミカ・バンド)をチョイスしたゆらちゃん。
「たまたまディグっていた時に出てきた。最初に聴いた時は最近の曲かと思ったけど、70年代の曲と知り、『70年代かっこいい!』と思った。旅っぽいイメージがあり、開放感がある。古着屋さんのイメージ」と選曲理由をコメント。
そして、この曲に関するデータや解説を臼山田氏と成松さんがすると、台本にメモ書きをするゆらちゃん。2人の「オシャレでインテリジェンス」という解説には感動すら覚えるゆらちゃんでした。
A面5曲を駆け抜けましたが、成松さんが「ここまで5曲披露し、シャレています」とゆらちゃんの選曲を誉めると、「やったー!」と無邪気に喜ぶゆらちゃん。
この勢いのままB面の後半へと移りますが、ここでファンからシャンパンが贈られます。しかし、シャンパンを開け慣れていないゆらちゃんは封をおっかなびっくり開ける仕草が超キュートでした! そして、再び乾杯をして後半がスタート!
6曲目は『フェミニスト』(井上陽水)という井上陽水の隠れた名曲をチョイス。
選曲理由は「舐められたくないので陽水を入れた」と、前回のセクシャルバイオレット現象を再現したゆらちゃん。続けて、「歌詞がダジャレで、その軽さが最高」とも言います。
この選曲に臼山田氏は「シティポップの文脈で陽水を選ぶのはすごい!」と驚き、成松さんは「名選曲!」と絶賛します!
ますます勢いに乗るゆらちゃんは大好きなおニャン子クラブから『なぜ?の嵐』(吉沢秋絵)を選曲。ここで一気に架乃ゆらワールドがスパークします!
「壮大なイントロが完全に前フリ。おニャン子のこういうところが好き。一生懸命感が伝わるから『頑張れ!』ってなる。いちばん最初に聴いた時から大好きで、『これが許されるんだ』と思った」とコメント。
おニャン子クラブの出現は確かにエポックメーキングで、隣のキレイなお姉さん路線を遂行したため、不安定さとかわいさが同居する新しい世界観を生みだしました。
そこでゆらちゃんとおニャン子クラブの出会いを聞かれると、「おニャン子との出会いは『うしろ髪ひかれ隊(生稲晃子・工藤静香・斉藤満喜子)』で、『こんなアイドルがいたんだ!』と驚いた。80年代はバキバキだと思っていたけど、こんな人たちがいたんだと思った。ゆうゆ(岩井由紀子)はあえて出している緩さ。でも、『なぜ?の嵐』はムキ出し! いまのアイドルはこの精神があるのかと! 上手い歌は溢れているから、ムキ出しがいい!」と「ムキ出し」という名言が飛び出します。
確かにダンスやフォーメーションや歌唱力はかなりの実力ですが、おニャン子クラブ的なノーガード戦法のムキ出し感は令和の時代に存在しておらず、いい意味での緩さが許されないキツい時代になった感があります。そこをゆらちゃんは敏感に察知し訴えているのです!
おニャン子クラブ話になると熱くなるゆらちゃんは、さらに『風のInvitation』(福永恵規)を選曲。
「おニャン子の推しメン! キリっとした女子高の王子。ビジュアルがど真ん中。一人すごい都会的な子がいると思った。爽やかでスポーティーでステキだと思った」と、誉め言葉が次々と飛び出します!
この楽曲を聴いた成松さんは「佐野元春っぽい」と語り、臼山田氏は「ドラムが本気を出しすぎて歌の邪魔をしている」と両人が音楽面からのアプローチをはかり解説。
そして、いよいよ選曲も佳境に入ると突如、平成の楽曲が入ってきます。
9曲目は『愛の言霊~Spiritual Message~』(サザンオールスターズ)をピックアップ。
選曲理由が面白く、「平成初期って昭和なんです。昭和の延長線。世間的にはカチって変わったかもしれないけど、音楽のテイストはそんなに変わらない」とコメント。
これには「小室サウンドが入ると平成な感じ」と成松さんから絶妙な解説が入ります。
同曲の感想がかなり面白く、「サザンの曲でも変じゃないですか。幼いころに聴いた時はなんだと思い、怖くてお父さんに聞けなかった」とコメント。
架乃家ではドライブの時に両親がサザンオールスターズや松任谷由実をかけていたそうです。
続けて、「家族と遠出する時にこの曲が流れていたので、個人的に夏の思い出の曲。3、4歳の時の私には怖い曲だった。最後のラップも怖くて、全部が怖かった。強烈な印象がゾワ~っとくる」と独特の思い出を抱くゆらちゃんでした。
ここまで9曲、ものすごい熱量で語ってくれましたが、栄えあるラストの楽曲は『サマーヌード』(真心ブラザーズ)と意外な1曲をチョイスしてくれました。
イントロが流れただけで、「ワクワク感がたまらない」とご機嫌なゆらちゃん。続けて、「本当にかっこいいですよね。きっかけがあったわけではなくて、どこかで聴いていて覚えていた。歌詞の世界は夜だけど、日陰から日向に出た感じがする。ノスタルジーな感じ」と文学的な解説をしてくれます。
この楽曲を聴いた臼山田氏は「前後を振り返ると阪神大震災、サリン事件、サマーヌード、エヴァという流れ」と歴史的な年になった95年を振り返ります。
ここまで2時間、10曲をたっぷりと味わったゆらちゃんとファンは大満足! ここまでコンセプトがしっかりしており、解説も詳しいイベントはないので本当に充実した時間となりました!
最後に主催した成松さんは「曲の並べ方と選び方がセンスがある」と再びゆらちゃんを誉め、臼山田氏も「選曲にストーリーがある」と絶賛します。これがAV関係者の声ではなく、音楽関係者からの声なのでファンとしては喜びを感じます。
これを聞いたゆらちゃんは、「DJをやりたい! DJいいですね! 来年はDJデビューかな」と昭和歌謡イベントでのDJデビューを視野に入れました!
最後まで盛り上がった同イベントは今後も回を重ねて、より深く、より面白く成長していってほしいものです!
以上、「架乃ゆらと聴く昭和歌謡の夕べ~第2夜~」イベントレポートでした!
(撮影・取材 神楽坂文人)
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