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【縛師・鵺神蓮さんインタビュー】AVでも縛りを担当されご活躍される鵺神さんに聞く、TOHJIRO監督との出会い!「神納花さんの〝幻の一本〟って言うのがあるんです」【後編】

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── 初めて知りました。何が幻のなのですか?

鵺神 管野しずかでもなく、神納花でもなく、一文字で「花」っていう名義で出してる作品なんです。

── なるほど。休暇期間だったので、正式に女優名が無かったから幻なのですね。

鵺神 そうです。これが私のデビュー作になったんですけど、撮影前は「今までのAVのノリで、ある程度やってお終いなのか?」って思っていたら、TOHJIROさんが「君の本気を見せてほしい」って言ってきたんです。

── ある程度、魅せる為のAVなのでセーブしてやっていたところを、壊し屋時代の本気のもう一度見せてくれっていう感じですね!

鵺神 相手は鉄人の神納花さんですからね。どんな豪速球を投げても、全てを受けられる名キャッチャーな訳ですよ。

── 今までは160キロ投げれるところを130キロくらいで、相手が取れるように投げていらっしゃった訳ですものね。

鵺神 でも今その作品を見返すと、「これはダメだよ、やり過ぎだよ」ってことばっかりやっちゃってるんですけどね(笑)。

── 若かりし頃の貴重映像だ(笑)。

鵺神 あの人はよく「死ぬこと以外かすり傷」って言うんです。きっとその思いがそれらを生むんでしょうけど、私はその後、彼女と共演すると怒られることがあるんです。

── 何で怒られるのですか?

鵺神 AVの撮影をやっていると「これくらいでしょ?」っていうのがある訳じゃないですか。画的にも迫力も十分で、もう凄いよ。ってところなんですけど、引の画でお互い寄った時に、マイクで拾えないような声で「手を抜くな」って言われるんです。

── 痺れるお言葉ですね……

鵺神 「私はこれだけね、命かけてる訳じゃないけれども、タマ(魂)張って本気でやってるんだから、そっちも真っ直ぐに本気で向き合ってくれなきゃ困る」って。

── AVの域を越えた本気のぶつかり合いを魅せてくれるからこそ、その映像作品を我々ユーザーが見た時に、本気で感動をさせてもらえるのでしょうね。

鵺神 それはもちろん神納花さんだけじゃないですけど、本気のぶつかり合いっていうのは見ている人に伝わるんでしょうね。不思議なエロでもあり、人を惹きつけてしまう何かがあるのだと思います。

── そのようなキッカケがあり、TOHJIRO監督との出会いになった訳ですね。

鵺神 最初に話していた時からTOHJIROさんとは馬が合うなっていう部分があって。一本目を撮り終わった時に、TOHJIROさんが私のことを「凄い荒削りだけど、しっかり舵を取ればいいものになるかもしれない」って思ってくれたのだと思います。エンジンは凄いの持ってるけど、あとはギア次第みたいな。

── 最初からまとまっていない、荒削りなところがより魅力的だったのでしょうね。

鵺神 役者だとしたら、殺人犯の役で今から目の前の女優さんを殺さなきゃいけないってなって、それが危機迫るシーンだとしても、言っても役作りなので本当には殺さないじゃないですか。でもそれが凄い俳優さんだと「ちょっと待って! 本当にやるでしょ?」って、見ている側が錯覚に陥るくらいに入り込んでいる方っていらっしゃると思うんです。カットがかかっても、なかなかスイッチがオフにならないみたいな。

── TOHJIRO監督の目には、鵺神さんがそのような憑依型のお方だというのが、一瞬でわかったのでしょうか。

鵺神 そう言っていましたね。元々TOHJIROさんは映画監督だから、そういうのがわかるんでしょうね。こいつヤベーなみたいな(笑)。

── TOHJIRO監督とは素晴らしい出会いで、素晴らしいご関係ですね!

鵺神 面白い出会いではありましたね。

── 鵺神さんが縛られてきた中で、特に印象に残っている女優さんを教えて下さい!

鵺神 色々な女優さんがいて、どの女優さんもいいところがあるので甲乙つけがたいのですが、その中でもちょっとびっくりしたのが、明日花キララさんですかね。

── 国民的レジェンド女優の明日花キララさんですが、ここでお名前が挙がってくるのは意外でした!

鵺神 明日花キララさんは一本だけ緊縛モノを出しているんですけど、それを僕が担当したんです。噂では「お姫様、気難しい人」みたいに色々と言われていたのですが、実際に会ったらめちゃくちゃ腰の低い方だったんですよ。

── 超売れっ子だから勝手な噂を色々とされてしまっていたのでしょうけど、とても謙虚なお方だったのですね。

鵺神 超単体の人って、少しでも痛かったりしたら現場がピリつく訳ですよ。女の子が「ちょっと痛い」なんて言ったら、周りの人が「ちょっと先生!」ってなって、終いには「もしかしてこれ跡ついちゃうんじゃないの? 縛っちゃダメ!」とか言われちゃったりすることがあるんですね。

── 様々な事情がある訳ですね。

鵺神 そんなこともあり、一蓮托生の思いじゃないですけど、これで業界から干されてもいいやっていう覚悟で「これが縛りです」っていうものをぶつけたんです。僕は劇中に登場しなくて、女優さんとはやりとりができないので、縛る形を作るだけなんですけど最善を尽くしました。

── 具体的にどのようなことをされたのでしょうか?

鵺神 スタッフさんにもわからなくて、もちろん視聴者さんにもわからない、縛られている女優さんにしかわからない圧力があるんです。形を作るだけだと、怪我さえしなきゃいいのでこんなのは関係ないんですけどね。

── ご本人にしかわからない、縛る加減があるのですね。

鵺神 でも、おこがましい話ですけど、もしこれが彼女にとって縛りの最後だったら「これぐらいが縛りなんだな」って思っちゃう訳じゃないですか。なのでそうならないように、SMの世界はこうだよ、縛りってこんなに気持ちいいんだよ、これが私のスタイルで私はこういう人間なんです。っていうのを盛り込んだんです。

── なるほど。でも現場の空気は大丈夫だったでしょうか?

鵺神 撮影が始まる前は「痛いとかきついって言われるかな、もう無理って言われて現場がバラしになったら、いくらバラし代払えばいいのかなー」って思っていたんです。でもいざ、始まってみたら明日花キララさんは「これ気持ちいい」って言ってくれたんです。

── おー、凄いお話ですね!

鵺神 1コーナー目が終わり、明日花さんの控室が2階で、我々は1階で照明とかを組み替えたりと場を作っていたんです。女優さんは暇だったら、休むなり携帯をいじっていたりするところなんですけど、わざわざ降りてきて色々と話をしてくれたんです。それを見ていた監督とかスタッフが「あんなに機嫌がいいのは初めて見たよ」って言っていたんですよ。

── 相当鵺神さんの縛りが良くて、楽しかったのでしょうね。

鵺神 マスカッツでいうと、他には川上奈々美ちゃん、神咲詩織ちゃんも縛りましたが、みんな同じことを言ってくれるんです。で、これってなぜかっていうと、危険に鈍い人は、快楽に対しても鈍いんですよ。動物的な本能じゃないですけど、これヤベーなっていうセンサーが働く時ってあるじゃないですか。

── そのセンサーが鈍いと、気持ちいいに対しても鈍いということなのですね。

鵺神 これがなぜかっていうと、同じ痛覚を使っているからです。痛いも気持ちいいも、同じ痛覚発祥なので。

── 科学的に説明するとそういうことなのですね。

鵺神 で、欽ちゃんの名言の「全力は伝わる」じゃないですけど、こっちが本気で向き合ってコミュニケーションを僅かな時間でも「あなたのベストパフォーマンスが出せるように」と取ろうとすれば、縛りが気持ち良いってわからないノーマル女優さんだとしても本質的な部分は伝わるんです。「あなたの持っているセンスを最大限に引き出しますね」ってやっていくと、大概の方は嫌だって言いませんね。

── 改めて縛りというのは、ただ縛るだけが魅力ではないのですね。

鵺神 名が売れて、一流になればなるほどそういった感覚やセンスが凄いなって感じます。

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