あまりに自分が嫌いで、練習中のビデオ撮りを見てしかめっ面になってしまうんです。「うわこの人キモ!ヘタクソ!」って(笑)
── でもそんな樋口さんにも後輩が出来て、色々と教える立場になって来てるんじゃないですか?
樋口 実は私はまだ後輩と一緒になる機会が少なくて、どこに出ても一番下の事が多いんですよ。ほんの何週違いかの同期と一緒とか。それに22年組の皆はほんとしっかりしている子ばかりで。私が後輩にアドバイスできる事なんか何もなくて、私の方が教えて貰いたいです。
── ここまでお話を伺って感じたんですが、樋口さんのその自分をとにかく下に下にという自己評価の低さから察するに、もしかしてオタクですか?
樋口 オタクですよ。オタクで引き籠もり体質でメンタル豆腐で、浅草のスタッフさんにも振り付けの先生にも自己評価が低すぎると怒られました。もっと自信もってやりなよって。
いやでも事実、私なんて特に踊れる訳でもなく、特に華がある訳でもなく、特にスタイルが良い訳でもなく、何となく乗せて頂けているだけだと思うので。
── 直球になってしまいますけど、自分が嫌いって感じなんですか?
樋口 あ、嫌いです。だからなんか気持ちが難しいですね。あまりに自分が嫌いで、練習中のビデオ撮りを見てしかめっ面になってしまうんです。「うわこの人キモ!ヘタクソ!」って(笑)
── え~、でもお客さんからの支持もあるんですし、自分を好きになれる時もあるでしょう?
樋口 あ、浅草って休憩の時に次回公演の紹介ビデオを流すじゃないですか。
ついこの間、そこに出ている自分を見て「あ、これはかっこいい」と思いました。その時流れたのは夏の祭音(※)だったんですけど、あれは良い役を貰えてたんだなって。
※祭音 ZAION 3rd season(2022年8月公演)
お客さんがステージ写真を買ってくださって、それを見せてくれたりするんですけど、そういうのを見て「かっこいいかも」と思える事は増えて来ましたね。
……私、暗いんですよね。
── なんでしょうね、でもオタク気質で病んだ人間が誰しも一度は通るところですよね。自分が嫌いって。だけど心の奥底では自分を好きになりたくて。肯定したくてっていう。
樋口 そうなんですよ、それが難しいんですよねえ。
── 誰かに褒めて貰えたとか、成功体験を味わえたとかで、少し自己評価が上がるって事はありませんか?
樋口 お客さんやお姐さん方に褒めていただけても申し訳ないなって。嬉しいけど、ホントにいいのかなコレでって。
── いっそのこと、そのままネガティブ芸を磨いて武器にしてしまっては? ひとを不快にさせるネガティブと、面白くて金になるネガティブとあるじゃないですか。後者を目指してはどうですか?
樋口 あはは(笑)
── ここでちょっと話題を変えまして、樋口さんにどうしても聞きたいんですが、某ネット配信番組で見かけた家族へのAVバレの話がありますよね。お父さんは気付かず娘のAVを買い、弟は違法アップ動画で見付け……
樋口 あの番組は色々な方が見て下さってるみたいで、どこに行っても言われるんですよ。あの頃は1年くらい引き籠もっていて、犬の散歩以外では外に出ませんでした。それで外に出る言い訳が欲しくてAVに出たんです。
あまりにやる事がなさ過ぎて、おかあさんといっしょとか見てましたよ。
── わかるー、メンタル病んでたり、身体を壊して寝込んでたりすると、変な時間に目が覚めて、TVつけると幼児番組が目にとまるんですよ
樋口 そうですそうです(笑)人は疲れるとNHKを見るんだと思う。
── 毎日引き籠もっておかあさんといっしょを見ているよりは、AV出て働く生活の方がいいですよね。
樋口 ええ、ほんとにそうですよね。
── でも家族からしたら娘が引き籠もり生活をやめてくれたと思ったら間髪入れずにAVに出てて、なかなかハードモードですよね。
樋口 ですよね、即身バレしましたし。でも親にバレたのは意外と遅くて、早かったのは前に務めていた会社の人達です。デビュー作の予約段階でもうバレて、ひとってAVを見てるもんなんだなと思いました。その後にお父さんにバレ、弟はXVIDEOSで私のAVを見てたってあり得ない話で。
── 本人はキツイ事も多いでしょうが、他人事だと思うと面白すぎる状況ですよね。答え難かったら構わないのですが、家族仲は良好なんですか?
樋口 ん~~、そうでもないですね。まだ仕事を肯定して貰えるような家族仲ではないです。
でも、ポラ館の個人演目の音源の編集とかは弟がしてくれています。
── じゃあそれはもう認めて貰えてるじゃないですか
樋口 いえ、それは弟にはお金を渡してるからです。弟はお小遣いを稼ぎたいがためにやってくれてるだけで(笑)
お姐さん方の仲には、ご家族が観に来られる方もいらっしゃるんですけど、自分はそこに至るまでには時間がかかるなと思います。
ただ、そこまで強く家族に認めて貰いたいと思ってる訳でもないですし、自分は自分ですからね。