監督は「セックスの価値を上げるための立場や役をする」
—— 沢庵監督は、ご自身がどのような姿であったらエロいと感じますか?
沢庵 自分自身がエロいと思われるのが正解かはわからないですが、下心は常に携えていきたいですね。それをどう見せるかは別として、ただ男優と女優を撮るというだけにはしたくないんです。もちろんそれを撮る人間ではあるのですが。
—— 女優さん、男優さんとはどのような向き合い方で撮っていますか?
沢庵 これは色々あって「女優と自分」という向き合い方があっての男優っていうパターンや、「男優と女優」を優先的に考えて自分がいるというパターンがあるんです。スイートルームは完全に前者なので「女優と自分に、プラスで男優」という撮り方です。僕は凌辱モノでドラマでなければ、このやり方が一番エロいと思っていますけどね。
—— スイートルームでは男優さんはプラスという位置付けなのですね。
沢庵 男優は、性欲は強いけど性癖はノーマルな人が多いと思います。なので凌辱モノのS側をやってもらっても物足りないですし、むしろM側の方が多いですよね。そうなった場合に、自分が半ば出ているような人間で接した方がエロくなるのは経験上わかっているんです。
—— では逆に「男優と女優」というパターンでは監督はどのような立ち回りをされますか?
沢庵 このパターンの監督は盛り上げ役だと思っています。それこそ売れっ子の男優と女優だったら色々な現場で毎日セックスをしていて、しかも何回も会っている場合もある。それだと「このセックス前も見たよ」ってなってしまうこともありますし、逆に女優と男優が全然合わないっていう最悪のパターンもあります。こういう時に作品として盛り上がっているように見せるのが監督の役目なので、「セックスの価値を上げるための立場や役をする」というスタンスでいます。これは自分の性欲は関係なくて、プロの意地みたいなところですね。
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—— なるほど。ハメ撮りもされると思いますが、こちらはいかがでしょうか?
沢庵 カメラなんてないのが一番エロいと思います。自分自身ありのままでいられるのが一番いいですね。散々、こんなことしておいてあれですけど、イチャイチャしてるのが好きですよ。
—— 男優さんに求めていることを教えて下さい。
沢庵 「勃って発射してくれればいい」ってことだけですね。でもこれはけっして台本通りにやってくれということじゃなくて、楽しんでくれってことなんです。例えば、貞松とか鮫島とかしみけん、森林原人みたいな男優の何が凄いかって言うと、彼らは「第三の目」みたいな言い方をしますけど、女優の方を向いていながらどこを撮っているかっていうのを見ているんです。
—— プロデューサー目線で男優さんとしてのセックスができる訳ですね。凄い!
沢庵 女の子の方を向き過ぎるとこっちを求めていることに気づけないんです。僕は台本は50%くらい理解してくれてたらいいと思っているのですが、こっちの言っていることを実現しようとしている男優さんは楽しんでいないんですよね。やはり演者が中心になって動いてもらいたいという思いがあるんです。
—— まずは自分が気持ち良くなろうとする思いが大切なのですね。
沢庵 今のように自分がよく喋るようになったのは、男優さんが喋ってくれないからですね。ここまで自分がやるようになったのは、求めても求めても出てこないなっていう経験があったからなんです。
—— 現在のスタイルはそのような経験から確立されたのですね。
沢庵 凌辱作品でオラオラでくる人がいるんですけど「いやそうじゃなくて、責める人間はもっと寛容であれ」って思うんです。バイブが落ちて「落とすな!」と言いますけど、いやお前がそこに挿れたから落ちたんでしょって(笑)。
—— たしかに。
沢庵 「こんなに漏らしやがって」って言ったりしますが「いやだから、それもお前が吹かせたんだろ」って思うんです。言葉遊びが面白くないですよね。プレイ的な部分でメリハリをつければいいので、言葉の部分は責め立ててもしょうがないと言いますか。
—— 沢庵監督の言葉責めは相手を受け入れる心の広さがあるので大好きです。
沢庵 スイートルームについて「男の声があまり邪魔にならない」って自分も含めて言われるのですが、それは状況に即しているからだと思うんですね。一辺倒な声の張り方じゃないというか、色々と温度を変えながらやっていると言いますか。僕は男優に対するディレクションはかなり細かいので、求める部分はこの辺りですかね。